生徒会と朝
「なんで!?」
何言ってんだ……。
「なんで、じゃありません! こちらの生徒、言っては何ですが、中学時代の成績を見る限り、勉学や運動面も特筆したものはありませんし!」
うんうん。
「課外活動だって、目立ったものはありません! しいて言えばあの長谷川君とバッテリーを組んでいたぐらいですよ?」
「むー」
そうだそうだ、だからむー、しないでね? 会長。
「ですから、入ることを認めることはできません!」
「……だけど!」
「何ですか? 会長」
「えっと、その……」
「はい」
「……なんでもありません」
うーむ、一気にポンコツ化したなー。
「ごめんね? 永山君……」
と、会長は謝ってくるが彼女は悪くない。
そもそも、俺に生徒会に入れるほどの能力はない。
「会長」
「なにかな、永山君」
「会長が俺をどう見ているかは知りませんが、俺はそんなすごくありません。だから会長が謝るのはおかしい」
「で、でも……!」
「でも、じゃありません。本当のことなんですから」
と、言い俺は生徒会室を出ようと歩き出す。
ドアの前で一度立ち止まり、生徒会の面々に向かって
「失礼します」
と、言いドアを開けて、廊下に出る。
(本当に俺は普通なんだがな……)
家に帰って、生徒会には入らないと、レインで香野達に送る。
反応を見ずに風呂に入り、飯は食わないと雪に言って布団にこもる。
「はあ」
まぶたを閉じると、意識が遠のいていく。
「兄貴、起きる!」
雪のその声で目を覚ます。
「くぅーー」
眠い……。
「おい、今何時?」
「え、5時半だけど?」
「は?」
いつもの1時間は早いが?
「さっさと起きて、飯食う!」
「あ、はい」
素直に応じてしまったが、これ如何に?
とりあえず、着替えて、1階に降りる。
「で、なんで俺はこんな早起きをしいられてるの?」
「あとで分かるから、今は飯」
「はぁ」
何がどうなってんだ。
とりあえず、飯を食べる。
「いただきまーす」
「はいどうぞ」
うまいなー。
「あれ、母さんたちは?」
「もう、会社」
「早。あ、雪は明日から休み?」
「うん。兄貴もでしょ?」
「ああ」
そこで会話は途切れたが、嫌な感じはしない。
こうゆう静けさって、家族だと嫌にならないよな。不思議。
飯を食べ終わり、もう一度聞く。
「で、なんで俺はこんな早起きを?」
今の時間、6時なのだが、いつもだったらようやく起き始める時間だ。
「美花さんから連絡がきたの」
「香野から?」
「うん」
一瞬俺に連絡をすればいいのでは、とも思ったが昨日は家に帰ってすぐ寝たんだと思いだした。
「で、何の用だったの?」
「今日、一緒に登校しようって」
「ああ、だからか」
「うん」
「じゃ、着替えてくるわ」
と、いって2階にあがり、着替える。
その後、歯を磨く。
現在時刻6時20分。
1階に降り、椅子に座っているとチャイムが鳴った。
「はーい」
と言って、ドアを開けると香野がいた。
「おはよう」
と彼女は言う。
「おはよう」
と俺は返す。
ただそれだけのことだけなのに無性におかしく思えてきて笑い出してしまう。
香野は最初、なんで笑うのよーと言っていたが、なんだかんだ笑い出してしまう。
「おい、バカップル」
という声と同時に背中に衝撃が来る。
「うわっ」
「さっさと行きやがれ」
「はいはい」
雪が持ってきたバッグを持ち香野を見る。
「じゃ、行こうか」
「ああ」
香野の声にそう応え、歩き出す。
なんだかんだ楽しいもんだな、こうゆうのも。
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