プロローグ
暗い、光すら射さない森でひたすら異形の獣物から逃げる。そして、木の根に引っ掛かり転んだ。もうダメだ…… 神道アイは、間近に迫る”死”に目を閉じながら走馬灯を見た。はぁ〜不幸だぁ……
ファンタジーな世界とは無縁な世界から来た自分にとってはこの世界はものすごく厳しく辛いのだ。これを不幸とは言わずになんと呼ぶ……
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今週の金曜日は、何時もよりも少しばかり元気を出して登校する。次の日は土曜日最も楽しみにしていた新アニメの初回放送の日だった。 そして誰もが楽しみであろう休日を神道 アイは過ごすはずだった。
キ〜ンコ〜ンカンコ〜ン~
帰りのHRの終わりを告げる鐘がなった。先生が出ていくと教室の扉がいきなり開き一人の少女が教室に入ってきた。
「やほー、アイ一緒に帰ろ。」
僕に声を掛けた少女は、白井 真衣僕の家の隣に住んでおり幼い頃から遊んだりしていた俗にいう幼馴染ってやつだ。僕はこのクラスで悪い意味で目立っていた。彼女のせいで……そう彼女は学園のアイドル的な存在なのだ。男子からは殺気に満ちた目を向けられ、女子からは何であんな奴と帰るの?というこれまた嫉妬の目を向けられていた。第一こんな美少女に一緒に帰ろうなんて言われたら嫌でも目だってしまう。返事をしたくないがしないとしないで目だってしまう。だから仕方なく返事をする。
「……いいけど少し待ってね」
ポケットからスマホを取り出し土曜日の新アニメの情報が掲載されている公式サイトを開いた瞬間教室の床がいきなり思わず目を隠してしまうような光を放った。光が収まりしばらくすると足元には、アニメや漫画などで出てくるような魔法陣が浮かび上がっていた。
「なんだよこれ!?」
ザワザワ
教室の中が驚きの声に包まれた時
ピカッ!!
先程より更に激しく魔法陣が光り始めた。そして教室が暗くなる中僕は見てしまった。自分の手から落ちてゆくスマホの画面を……
新アニメ「真理の追求者」は、時間の都合上来週の土曜日に変更になりました。楽しみにしていた皆様には━━
「……えっ?嘘やん」
これが僕がこの世界地球で発した最後の言葉だった。
そして、強烈な光のあとには机と椅子、筆記用具、荷物などが散乱しているが、そこには人間が誰ひとりとして居なかった。
━━━この出来事は謎の集団神隠しという名目でニュースに取り上げられたのはまた別の話である━━━━