第三猫 猫だって色々知りたい。
あれ?予約投稿失敗?まだ慣れませんわー。
朝、朝日と共に目覚めた俺に気付いた門番さんがご飯を用意してくれた。
木をくり抜いて作った容器に、ポトフのような料理が盛られている。
ジャガイモとニンジンと何かの肉。味からすると豚肉っぽい。
塩気の少ない素朴な味、やっぱり塩や故障は高級品なのかな?
量はそんなに多くないが、この小さな身体にはそれで十分満たされる。
というか、迷い猫に餌を上げられるほど、この街の食糧事情は整っているのだろうか。
無理に門番さんの分を分けて貰ってるとしたら、申し訳ないな。
ご馳走様でしたという思いを込めて、みゃーと一鳴きすると、門番さんが食器を下げてくれた。
お礼を言いたいけどみゃーとしかいえないので、代わりに『つぶらな瞳アタック!』からの『首コテン!』コンボを決めておく。ふふふ、存分に癒されるがいい。
門番さんが木箱から出るように促してきたので、飛び出て街を眺める。
門からまっすぐに伸びた街路は石畳が引かれ、その路挟むように、3階建ての建物が規則正しく並んでいる。
街路の先には噴水かな?、その更に奥に大きなお屋敷が見える。
路行く人々はまばらで、まだ街が目覚めてないといった様相だ。
朝日に照らされて黄金色に染まった街はすごく幻想的で、思わず見蕩れてしまった。
と、突然その景色に影が落ちた。
見上げると門番さんと同じ全身鎧を着た男が見下ろしてくる。
不機嫌そうな顔。朝が齢のかな?それとも、猫が嫌いなのかな?
男はすぐに視線を逸らすと、門番さんと言葉を交わしながら、2人で詰め所の中へと入っていった。
10分もすると背嚢を背負った門番さんだけが出てくる。
そして、俺に二言三言何かを告げると、街のほうへ去っていった。
さっきの男は交代要員で、門番さんは夜勤を終えて帰ったてことかな。
それじゃ、俺も街の散策に乗り出すとしよう。
☆
あー疲れた。
街を一日歩き回り、俺はまた詰め所に戻ってきた。
期待はしてたけど、やっぱり詰め所の隣の木箱は片付けられて無かった。今夜も門番さんのご厚意に甘えるとしよう。
今日一日街を散策して気付いたことを毛布に包まれながら思い返す。
・この街の形は凡そ800m四方の正方形。
・西側と北側の塀中央に街の外に繋がる門があり、門の形は西側も北側も一緒。
・それぞれの門から街の中を縦横断するように、街路が延びている。
・その交点には噴水と広場が設けられている。
・俺がお世話になったのは西側の門内詰め所で、東側に見えた屋敷は恐らく領主の館。
・街路南側の行き止まりには教会っぽいのが建っている。
・中央街路の脇に立つのは商店が多い。
建物にガラス窓は無く、当然商店にショーウインドウもないため、扱われている商品までは判らなかった。文字も読めないしなー。
中央広場にはいくつか露天があり、そこではリンゴやミカンみたいな果物、ニンジンやジャガイモ、玉ねぎのような野菜、後は何かの肉の串焼きや、朝食べたポトフのような料理が売られていた。
噴水前でイチャイチャしていたカップルに、必殺『つぶらな瞳アタック!』からの『首コテン!』コンボを決め、串焼きをゲットできたのは良かった。
明日以降もこの調子でご飯をゲットしよう。
他の猫に関しては、両手で数えられる程度しか見かけなかった。まぁ、今の俺には足しかないんだけどねっ。
この感じなら意外と早く例の猫が見つかるかも?
あ、いや、今日は地理の把握を主目的にしていたからってのが大きいだろうな。過度な期待は止めておこう。
あと、この身体の使い方も成熟してきた。
後ろ足に力を溜めて、2m位の高さの枝にジャンプしたり、3階の屋根からひらりと降りる事も出来るようになった。
走る早さも人だった頃より早いくらいだ。
勿論、最終的に人に戻りたいと思っているから、本当にこれで良いのかは疑問が残るんだけどな。
あ、それから、この身体は妙に燃費がいい。
一日結構走り回ったのに、二度の食事で不調を感じない。
猫が凄いのか、異世界の猫だから凄いのか、どうなんだろうな。
ふぁぁぁ。
とはいえ、食欲と睡眠欲は別らしい。迫りくる睡魔に抗えず、俺は意識を落した。
☆
今日も朝日と共に目を覚ますと、門番さんが朝食を差し入れてくれた。
昨晩帰って来たときは違う人だったから、この仕事は3交代制なのかもしれない。
食事を済ませ、また門番さんと一緒に街に繰り出す。
昨日で街の概要はつかめた気がするから、今日は猫探しを進めてみよう。
とりあえず中央広場に行ってみると、猫が3匹丸まっていた。
これは幸先いいな。
「おはよう。」
早速話しかけてみるも
「「「にゃ?」」」
3匹とも不思議なそうな顔でこちらを見てくる。
少なくとも仲間になりたそうにこちらを見ているわけではないな。
悪いほうの予想が当たったようで、同じ猫同士でも意思が疎通できないらしい。
これじゃ、たとえあの時の猫を見つけられても、何も聞けないな。
何か動物と意思を疎通させる方法って、あるかな?
3匹と別れ、街路を歩きつつ考える。
思い浮かべるのはのは地球で読んだファンタジー小説や、漫画の事。
あ、この世界って、魔物使いとかいないのかな?
魔物使いは、モンスターと心通わせられるっていうし、この世界の魔物使いがどうかは知らないけど、もしそういう事ができるなら、通訳として間に入って貰えないかな?
いや、居るかどうかも判らない魔物使いを探すより、もっと別の方法を探したほうが早いか。
んー。とにかく情報が足りない。でも、その情報を得る手段がない。困った。
そんな事を悩みながら進んでいると、街路の南端の建物にたどり着いた。
建物正面にある大扉と、その上につけられたΨみたいなマークから、多分教会だと思うんだけど。
近づいていくと、敷地内に立てられた小屋から、何人かの高い声が漏れ聞こええてきた。
何をやってるんだろう?
気になった俺は、ちかくの木の枝にひらりと飛び乗ると、小屋の中を覗いた。
小屋の中では十数人の子供たちが椅子に座り、その前に年老いた女性が向かい合って立っていた。
時に笑い、時に質問しながら、どの子も一生懸命女性の話を聞いているように見える。
子供の年齢がバラバラだけど、これはまるで小学校のよう。
……そうか!これは、日曜学校ってやつか!
もしかすると、この世界でも地球同様に教会による児童教育が行われているのかもしれない。
児童教育!それは今俺が尤も欲していると言っても過言ではない。
この授業を聞いていれば、この世界の言葉や文字が少しはわかるようになる可能性がある。
まずは日常会話だけでも理解できるようになりたい。
よし、決めた。毎日ここに通おう!
正確な方角は不明ですが、前の話にあるように、この猫は草原を南ととらえています。




