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ウラヌールの宿屋さん ~移住先は異世界でした~  作者: 木漏れ日亭
第一部 第四章 ウラヌールへの道。
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マイヤ・ミレンさん。

 まずは服、着てもらわなきゃね!


【追記】最近、コトちゃん回多くない?


 そ、そんなことないよ? たまたまですよ、作者さん♡


 許す。

♪♪♪


 私たち女性陣は急いで、身体をきゅ~~ってちぢこめてる彼女を毛布で保護しつつ、着られる洋服を探した。といっても、こちらで出会った初めての人族? の女の人なので、ママが自分の服の中から合いそうなものをチョイスしてくる。


 その間、私とイルマリさんと、よく事情を理解してないフィルフィリちゃんとでガードをする。そのフィルフィリちゃんの、むふん! って張り切ってる表情が可愛いなあ♪


 私たちの後ろでは、地べたにひれ伏すようにして謝るゼおじいさんの、情けない声が聞こえてくる。


「じゃからの、狙ってした訳ではなくての、そなたが風呂好きでたまたまタイミングが重なってしまっただけで……」


「たまたまとはなんですか、たまたまとは! それと、たいみんぐ、とはなんのことですか?」


 こくん? と首を傾げる。


「すまぬと申しておるではないか、しつこいの……げふんげふん、ああ、タイミングとはあちらの言葉でな。時期であるとか、機会といった意味じゃよ」


 ん? 二人の会話を聞くとはなしに聞いてると、伝わらない言葉もあるんだね。単語としては耳に入るけど、理解出来ない外国語みたいなもんかな。


 そうこうするうちにママが服を持ってきて、私たちが広げた毛布の向こう側で、着るのを手伝ってあげている。


「おおっ、助かります、奥方様。む? これは、な、なんともスベスベな! ……この形から察するに、ん~、乳当ちちあてでしょうか?」


「ちちあて……まあそうだけど。ブラジャーって言うのよお」


 ほうほう言いながら、ひとつひとつ身に着けていく。肌触りが良いのか、いちいち感動の声をあげている。下着の履き心地や機能性の高さなんかを説明するのに、あんまり具体的に、その、いろいろ言うので聞いてるこっちの方がはずいよ。ふう。


 ママが用意してきた服は、上が白いフリルのブラウス、下がゆったりめの若草色のラップキュロット・スカート。一見するとスカートみたいだけど、ひらっ♪ ってめくると短いパンツになってる。行動的な印象の彼女にぴったりで、とても似合っている。上着にはリネン生地のコクーン ショート ジャケット。まあるみがあって柔らかい印象のジャケットね。色が淡いピンクで、若草色のキュロット・スカートとマッチしていて可愛い。春っぽい装いだね。


 靴はサイズが合わないのか、かなりぶかぶかだけど仕方ないよね、茶色のローファーで歩くのには支障なさげだし。


 それにしても、まじまじと彼女の姿を拝見すると、ものすごおく綺麗なお姉さんだなあ♡ って思う。


 だってね、身長がパパとおんなじくらいに高くて(百七十センチはあるかな?)、すらあってしてて(その実、あのボン・キュッ・ボ~ンだもんね!)、お顔が小さいの。髪の毛が肩先くらいのブロンドヘアーで濡れているのもあってか、つやっつやなの! 目もパッチリ二重、まつげなんかきゅるんってしてて、お鼻はつんって感じで小さめに主張してて。お口は……もうね、ぷるんぷるん。そう、ぷるんぷるん。二度言っちゃいました! 女の子の私から見ても、と~ってもとお~っても最上級の美人さん♡ って思える。んで、さらにその態度、姿勢、しゃべり方、みんな洗練されててそれでいて可愛らしくて。もう完璧だよ。


 比較対象にするのはおこがましすぎるけど、私はしょぼ~んってなる。

 やっぱり大人の女性、憧れるなあ。早くああなりたいなあ。って思うのは自由だもんね!

 

「奥様、私ども身内の不祥事にかようなご配慮を賜り、いくらお礼を申し上げてもしたりませぬ。さても美しく、気風ある高価なお召し物の数々、此度のような事でもない限り、一介の巡察使風情では一生袖を通すことも叶いますまい。心より感謝致します」


 そう口上を述べながら、綺麗なお姉さんはキュロットの端を優雅につまみ、軽く膝を曲げてお辞儀をした。


 あれだよ、あれ! そう、よく宮廷とかで貴婦人さんたちがやってるご挨拶ね。初めて見たよ、こんな洗練された挨拶は!


 ママもびい~っくり! してたけど、そこは大人の貫禄? 優しく微笑みながら、肩をぽんぽんして手を添えて立たせる。


「そんな、かたっ苦しいこと言わないの。ね? 可愛いお嬢さんが、あんな目にあったんだもの、こんなのは大したことないわあ♪」


 似合ってるから、あなたにあげるわね♡ ってウィンクしたらお姉さん、ママにむきゅうっ! て抱きついちゃった。あは、おちたね。ママの魅力に♪



 ようやく落ち着いたから、私とゼおじいさんとで事情を説明した。ほんとにタイミングが悪かったんだと納得してくれたんだけど、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいだよ。すみません、お姉さん。


「では改めまして。私はマイヤ・ミレンと申します。ロストール王国地方領巡察府で、ウラヌール地方領の巡察使の任を受けております。普段は、歌を歌いながら旅をしております」


 なんと、綺麗で可愛いお姉さんは、歌のお姉さんだったよ♬ でも、テレビに出てくる歌のお姉さんとは雰囲気が違う。なんか子供向けじゃないっていうか、ん~、アダルト? おとなあ~な感じかな。ポップな歌よりも、バラードとかシャンソン? とか似合いそう。あ、でもさっきのあわてっぷりも天然ちゃんみたいで可愛かったから、ここはアイドル系もあり?


 とか失礼? なことを考えてた私。すっかり会話に遅れてしまっていたみたい。


「奥様がサクヤさん、ご主人はフミャアキさんと。して、私を騎士の如く護りぬいてくださった、見目麗しいお嬢様のお名前は?」


 え? わ、私ですか、私って……の前に、パパがなんだってっ?


 フミャアキ。


 ふみゃあき。


 ふみゃ。


 ぷぷぷっ! 可愛いんでないの~♡ も、もうさいこお~です、マイヤさん!


 なんとか笑いを止めて、息を整えてから答える。


「ごめんなさい、笑っちゃって。パパのお名前が、すんごお~く可愛くなってて。ありがとうございます! あ、私ね、名前は言葉って言います。言の葉でコトハです♪」


 あ、ちっちゃいけど声色出ちゃった。ちょっとピンク色?


 マイヤさんが目を見開いて、♪ の行方をじ~っと見続けていた。見終わると、ゼおじいさんのほうを見て、


「こ、こちらのお嬢さんっ……コトハは、普段からこんなにも自然に、なにごともないように『繋がる』ことが出来るのですか!?」


 そんなに変わったこと、私してないよ? ちょっとだけ色づいちゃっただけだ。


「いや、わしにもはっきりとは解らぬ。わしはしばらくの間動きを取れぬようにされておってな。それをコトハが言葉ことばの持つ『力』を使い解いてくれての。あやつまでもコトハの思いが形になった水晶、じゃと思うが、その輝きに尻尾を巻いて逃げ去るほどだったのじゃ。まっこと末恐ろしいわい」


 なんだか、私ってとんでもないことになっちゃってるの? 全然自覚がないんだけど……。


「コトハ。あなたはきちんと『繋がる力』の教えを受ける必要があるわ。先ほどサクヤさんとフミャアキさんからお聞きしたのですが、この大変な旅が終わりウラヌールに着いたら私も助力を惜しまないから、いい? 必ずよ?」


「う~ん、まだわからないです。今は、なにより早く町に着いて、せっかく家族揃って一緒にお仕事が出来るんだから、そのことだけ考えていたいんです」


 わかったわ、それなら私は出来るだけあなたのそばにいるようにしましょう。そう言ってマイヤさんは、一緒に旅してくれることを誓ってくれた。


 こうなったらさっそくライブを開いて、クマさんたちに集まってもらったら説得して、穴を掘ってもらいトンネルを開通させて、一秒でも早く町に行くんだ!

 

 あれえ?もうこの辺で向こう側に行ってるはずだったのに。。マイヤさんのことを詳しく伝えてほしかったみたいです。次回はライブ。どんな形になるのかなあ。作者には、ウホッホ族さんがウホウホしてるイメージしか。。げふんげふん。

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