言葉を綾取る。
ふう。やっと投稿です。今回も向こう側にいくための準備ですね。
【追記】ふう。コトちゃん回ですよ~。よろしくお読み下さい。
♪♪♪
ライブショー? なにを言ってるの、パパ?
ちんぷんかんぷんな私。どうゆうみん?
ライブショーって言ったらあれでしょ、おっきなホールでいっぱあ~いのファンの前で歌って踊って、わあ~っ! きゃあ~っ♪ってなるやつ。? あ、これはコンサートか。
なんだろ、もっと身近っていうか、目の前で歌うアイドルやバンドの演奏? みたいな感じかな。んで、なぜそれをやる必要があるのか私にはさっぱりだ。
「パパ、どういうこと? よくわからないよ」
パパはうんうん頷きながら、目の前のカードを指さした。
「ここに出ているカードたちから感じられるのは、歌と踊りなんだ。歌い手が語りかけるように歌い、聴く者みんなが喜び踊り出すような。そんなものって、もうライブしかないだろ?」
目をキラッキラ♪ させながら、私を見てる。
いやいやパパ違うでしょ、その期待に満ちた目は! 私をなんだと思ってるのか。私はごく普通の十二歳の女の子だよ?
それに、パパには申し訳ないけどライブショーって言うのとはちょっと違うと思うんだ。
今求められてることは、穴掘りグマのコルドレさんとイルマリさんだけでは、トンネルを掘るのは難しいからもっと大勢のクマさんたちに集まってもらうことだ。
そのために歌や踊りが必要なんだったら、私なんかがやっても無駄だと思う。私には荷が重すぎるよ。
そうパパに話すと、パパははっとして項垂れる。ごめんな、ごめんなって言いながら。
私も申し訳ない気持ちでしょぼ~んってなってると、ゼおじいさんがほうってため息? をして私たちに向かって伝えた。
「そなたの申すらいぶしょーか? 悪い考えではない。元来穴掘りグマは土中に穴を掘り、その掘った穴を更に広げて生活をしておってな。ためにか目はあまり良くないが、鼻と耳が優れておる。」
ふむふむ。
「掘った穴は方々に繋がっておってな、その広さたるや王国東部の地下迷宮に勝るとも劣らないものじゃ」
それからそれから?
「よっての、穴掘りグマはさみしがり屋なのじゃよ」
そうかそうかあ。って??
「つまりはじゃ。互いに穴を広げすぎてなかなかみなが集まれなくなり、結果としてより集まることを欲するようになっての」
はあ~ん、なんとなくわかっちゃったかも。
「それで歌を聴いて集まったり踊ったりするのが好きになって、その場所が、甘い物好きなクマさんたちの聖地、このあまざさのもりだったんだね!」
あぐあぐってしてる。ごめんなさい? しゃべりたかったの、横取りしちゃったみたい。反省~。
「ごほげほ……。まあ、そういうことじゃ。ぷん。よって、そのらいぶしょーとやらは良い案じゃとわしも思う」
ぷんだって♡ そうだね、ちりぢりになっちゃったクマさんたちに少しでも楽しい気分になって欲しい。でもそれならよけいに私じゃ無理だよ。
そんな私を見ながら、こう切り出した。
「そこでじゃが、わしの後釜として北部を巡察しておるはずの者を、この地に呼び寄せられぬかと思うておる」
お知り合いに誰か、歌が上手くてクマさんたちが聴いて集まってきたりする、そんな芸達者さんがいるんだ……っていうか、これまで出会った人たちって、みんなゼおじいさんの関係者ばかりじゃない? もしかして、これってなんだかおかしくないかなあ。むむ。
「コトハよ、コトハ。聞いておるか?」
「はいはあい! 聞いてますよお、大丈夫。おかしいなあなんてこれっぽっちもおもっ……こほんけへん」
だあ~、変な咳払いしちゃったよ。今は深くは考えないどこう。うん。
それから、ゼおじいさんの指示通りパパがカードを使って道? 径? を作る。なんだか、魔法使いが描く魔方陣みたいな配置。そこにゼおじいさんが浮かび上がって導くようにランタンを高くかざした。
そして、私には、
「ではコトハよ。そなたには、言寄せの言葉を綾取ってもらいたい」
? ことよせの言葉ってなんだろう。あやどるって単語も初めて聞いた。不思議な感じの単語。
「ことよせって、どうやるんですか? それにあやどるって初めて聞きました。アイドルの進化版かなにかですか?」
ゼおじいさんが、それまでの威厳を正した姿からは想像出来ないくらいに、盛大に吹き出して笑ってる。私、なんか変なこと言ったかなあ。
「ぷぷぷ~っ! んほんっ、えへんっ。綾取るをアイドルとは……! 確かに似とるのお、しかし。じゃからそなたらの日本語、好きなのだ、わし」
今まで着てた貴族服から、いつもの格好に着替えた? ゼおじいさんが、なんか嬉しいことをひとりごちていた。
「まあ、いつものようにすれば良い。そなたの思い描くまま、この場所に参るよう願うのだ。アヤドルのそなたにしか出来ぬ『繋がり方』じゃの」
あ、なんか遊ばれた? ゼおじいさんが私で遊んでるよ、ママ! ママは、あらあアヤドル、かわゆす~~♡ ってふるんふるんしてるし。はいはい、砂糖漬けをお口にぽんっ。
なんだかなあと思いながら、私は伝えたいことを頭に思い浮かべて言葉にする。今回は、胸ポケットにしまってあるよっちゃんとの♪ をぎゅってしながら。
綾取られた言葉は、言の葉に乗って音色を付け、光きらめく。
『おもい つたえるみち
おもい かなえるみち
できたばかりで ちいさな
かたおもいで あやふやな
そんなみちだけど つたわるかな
みんなのおもいは つたわるかな
ことのはにのせて ことばにする
あいたいよ』
ボバンッ!!
盛大な音と光を放ちながら、カードさんたちに囲まれた真ん中の空いたスペースに、なにやら人の形が現れてきた。
湯気? みたいな曇りの向こう側から、女性の声がした。
それも、かなりお怒りみたいだよ……?
「っ! こ、この有無を言わせぬ『力』の使い方。『導き手』のはずが、『船運び』の真似事を平然とする所業。さては、戻られたなっ、師匠ゼファーむぎょむぐっ!」
ゼおじいさんがすっぱーん! ってすっ飛んでいって、怒りのボルテージを上げ続ける女性の口元を塞ぐ。
? あれってもしかして、いくらゼおじいさんがカードの中の住人さんでも、描かれた方でお口を塞いじゃったらその……き、キ、キスになるんじゃあないのかなあ? あたふたあたふた。
口に貼り付いたゼおじいさんを取ろうと、両手を口に持っていったところで曇りが晴れた。
ちょうど湯舟に浸かってるみたいな、膝を立てて背もたれに寄っかかって座る、あの体勢で。
身体からぽっぽぽっぽ湯気を立てた、産まれたまんまのお姿で。
はあ~ん♡ なんて美しいプロポーションなのっ? よっちゃんのゆるふわぽよ~ん♪ と違って、磨かれた大人の女性の、いわゆるボン・キュッ・ボ~ンすたあ~いる。
……
……?
……っ!
金縛り状態から私と、ママと、イルマリさんが脱してあわててその女性の身体を、ぽか~ん? とか、おひょお~! とか、目がどお~んっ! ってなってる男性陣から隠した。
「な、な、なんてことしてくれるんでしか、しっ、しひょん!!」
もお~れつな恥ずかしさからか、かみかみになったその女性は、引きはがしたゼおじいさんを力任せにびたあ~んっ! って地面に叩きつけたよ。
ごめんなさい、おじいちゃん。わたしのせいなのにね……。
おい!
新キャラ出てくるって言っていながら、最後のほうにちょろりんって出してきて、あの仕打ちは可愛そすぎるだろ!
ごもっともでございます。作者もそのように思います。名前さえも出てこないしね。
でも、その登場人物が、あまりの恥ずかしさに固まってしまいまして。。日を改めてということになりましてですね。。はい、すみませんです。
今日起きていられたら、この続きをお届けいたしますので。どうかご容赦を。