表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウラヌールの宿屋さん ~移住先は異世界でした~  作者: 木漏れ日亭
第一部 第四章 ウラヌールへの道。
36/104

ゼおじいさんのお話。

 さあ、いよいよ宿屋のあるウラヌールに近づいてきましたよ! そう、けしてタイトル詐欺じゃないですよ~。信じてください。


 でも前途多難です。なにせ目の前には……。


【追記】コトちゃんよろしくね~。

 

 はい、わっかりましたあ♪

♪♪♪


 おじいさん、ゼってお名前だったんだね。なんか珍しい? お名前。でも本名というかほんとのお名前は、もちょっと違うみたいね。まあいいや。


 んで、そのゼおじいさんから、びい~っくりするお話を聞いた後、みんなが黙り込んじゃった。

 そりゃそうだよね。私だって全部理解できたわけじゃないし。



 ゼおじいさんのしていた、巡察使ってお仕事はどんなお仕事なんだろう。


 なぜゼおじいさんは、巡察使を辞めてカードの隠者さんにならなければいけなかったのか。


 ゼおじいさんの同僚? だったゾーンって人は、なぜあんな姿で悪さを方々でしてるのか。どうせこれ以外も、いろいろしでかしてるんじゃないの? って思っちゃう。


 もしかしたら、私たちがあの廃屋みたいな転送場所に転移してきたのも偶然とかじゃなく、なにかふかあい意味があったんじゃあないのかな。だって偶然にしては出来すぎだもん。


 

 いろいろわからないことばかりだけど、判ったこともある。


 それは、


 一秒でも早く、山の向こう側に行かなければいけないということ。


 私たちは、宿屋をやるために早く行かないと。会うべき人たちが、首をながあくして待っているはずだしね。

 コルドレさんたちは、あまざさのもりがとても大事みたいだから、元気な森がそばにないとだめみたい。だから山の向こう側にあるっていう、あまざさのもりにすぐにでも行きたい。


 ゼおじいさんは、ゾーンのことを(もう呼び捨てでいいや)どうにかしなきゃならないみたいだし。関係機関? かなんかに報告したりするのかな。スパイ小説の読みすぎ?



 でもねえ。目の前にあるこの山、山、やまっ!


 この山を越えて向こう側に行くには、いったい何日かかるんだろう。そもそも、越えられるの? 

 山の上の方は雲で見えなくて。白く光って見えるから、きっと雪が積もってる。

 ウホイさんやコルドレさんならなんとかなるかもだけど、私やフィルフィリちゃんは無理だし、ママは身重さんだ。とてもじゃないけと無理。


 なにか特別な方法でもない限りこんな難題、解決できっこないよ。もうお手上げ状態だ。はあ。


「ねえ、おじいさん。この山をちゃっちゃと越えられるような、そんな魔法ってないかな?」


 ん? ゼおじいさんが首を傾げてる。私なんか変なこと言ったかな? ああ、と納得したようなお顔で、


「魔法とはまた俗な言い方じゃな。ロストールでは通じぬ呼び方じゃ。それを申すのならば、単に『力』かの。敬して言うならば、『繋ぐ力』、『繋がる力』かの。そう言えばそなた、父のことを魔法使いと申しておったな? それを言うならば、力使い、もしくは力持ちじゃ」


 ププ~ッ! 力使いは良いとして、力持ちって。それはないよ、さすがに。ってその前! ロストール? 始めて聞くけど、私たちが行くのはウラヌールって名前の町だ。ロストールって知らないよ?


「おじいさん、おじいさん! ロストールってなに? 今まで聞いたことないよ」


「おお、そうじゃったか。これは先に申すべきことじゃった。相済まぬの」


 そう言ってゼおじいさんが居住まいを正した。


「この地を治める国の名を、『ロストール王国』と申す。英明王であられるファルラーエン・ダラ・ロストール陛下の治世が長く続いておる、それはそれは豊かで平和な善い国じゃ」


 ゼおじいさん、なんだかものすごおく誇らしげに語ってくれた。きっと大好きなんだね、自分の国だもんね。もう疑問も何もないね、それこそ繋がってたんだ。納得。


 

 それにしても『繋ぐ力』、『繋がる力』かあ。なんか魔法って言葉より、清くて正しい、それでいて、あったかあい響きだね。私は好きだな。

 

 繋ぐ、繋がる。思わず胸元の♪ の石に手を当てる。



「じゃあこのロストールって国でなら、おじいさんやパパの『力』で、何とかできるのかな?」


 私は期待の目でゼおじいさんを見上げる。


 ゼおじいさんは私をじい~っと見つめながら、ふわふわと近づいてきて手の中に納まる。


「コトハ。そもそも『力』は限られた者しか持ち得ず、現世での繋がり方も各々異なっておる。そなたの父が持つ『力』は元々持ち得たのではないでな、わしらを用いて初めて繋がりが出来るのでまず無理じゃ」


 そうかあ、『力』があるからって、何でも出来るわけじゃないんだね。っていうことは、おじいさんも無理だということかな。だっておじいさん、カードの中の住人さんになってるんだもんね。


「とは言え、このままでは埒があかぬのも事実じゃ。山を抜ける隧道ずいどうでもあれば違ってくるが、いかんせんこの地は辺境ゆえそこまで整備されてはおらぬからのう」


 そうなの? 私たちの行く町って辺境、つまり田舎ってことだよね。そうだったのかあ。むむ。



 ん? 今のおじいさんのお話、なにかが引っかかるぞお。なんだろ、辺境……ううん、その前だ。山を抜ける隋道、これってトンネルのこと?



 私の横には、ふわもこの可愛いクマさんのフィルフィリちゃんがいる。


 そのおててには、黒くてつやっつやの、おっきなおおきなツメが、まるで穴掘りをするためのシャベルのように輝いていた。

 毎度お読みいただき、作者、感謝感激であります♪


 今回新しい名称が出てまいりましたが、少しずついろんなことをコトちゃん、知っていきます。作者も初めて聞いたことがあってびっく……もごもご。


 ではでは次回も、どうぞよろしくお付き合いくださいです~♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ