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ウラヌールの宿屋さん ~移住先は異世界でした~  作者: 木漏れ日亭
第一部 第三章 町までの長旅。
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【閑話】コトちゃんへ。

 このお話は、コトちゃんの大親友のよっちゃんからのです。閑話になります。

 大好きなコトちゃんへ。



 コトちゃん、お元気ですか?


 私は元気です。とっても、とお~っても元気です。


 きっとコトちゃんも、いつものように元気元気してることと思います。


 中学校が始まってから一週間が経ちました。クラスのみんなも、小学校からあまり変わらないからそんなに違和感無く、すんなりうちとけることが出来て。グループ? みたいなのも出来始めて私もその中の一つに入りました。だから大丈夫、心配いらないから安心してください。



 ごめん、コトちゃん。うそです。上に書いたの、みんなうそです。ううん、元気なのはほんと。クラスのみんながあんまり代わり映えしないのもほんと。グループに入ったのも。


 でもね、でもコトちゃんがいないからだめなの。コトちゃんがいないと、普通じゃないの。ぜんぶがぜんぶぜんぜんだめなの。ほんとじゃないの。みんなうそで、まちがってて、よくないの。



 ごめんね、こんなこと言ったらコトちゃんに心配かけちゃうね。コトちゃんが悲しむの、絶対いやだからこんなこと言ってたらだめだね。


 わかってるんだよ、頭の中では。わかってる。コトちゃんだって、私と離れたくなかったよね? 私と一緒じゃなくなって寂しいよね? コトちゃんが作ってくれて、おそろいでわけあったこの音符の石。


 ずっとずっとず~~っと離さないで持ってるよ。今はね、ママからもらった細い銀色のチェーンでペンダントみたいにしてて、首からぶらさげてるんだよ。コトちゃんだって私のこと思って肌身離さないで持っててくれてる。信じてる。ううん、確信してる。


 こないだね、急にペンダントが光ったの。ぴかあっ! って光って、熱くなったの。もしかしたらコトちゃんに何かあったんじゃないか、困ったことがあったんじゃないのかって。すごくすごくほんとに心配で心配で。だからね、♪ を手で握ったの。コトちゃん!コトちゃん!私がいるよ、そばにいるよ、一緒だよ!ずっとずーっとず~~~~~~っと一緒だからね!大丈夫だよ、だいじょうぶ! って。


 ごめんね、勝手に思い込んじゃって。まとまらないね。こんな手紙読んだら、コトちゃん私のこと心配しちゃうね。ごめんね。


 こんな手紙、出しちゃうとコトちゃんも困っちゃうかと思ったんだけど、このまま出します。今の私の気持ち、間違ってないから。そのまま、ありのままだから。



 コトちゃん。


 私の、大好きな大好きな、心のふかあいところで繋がってるほんものの親友。


 なかなか会えないんだよね。だって別の世界の町だもんね。うそみたいでそんなのありえないって普通なら思うけど、コトちゃんの言うことだからほんとだし、目の前でコトちゃんの言葉で作ってくれたこの♪があるんだもん。すごおく感動したんだからね。嬉しかった。


 この石、どうやら黄水晶っていうみたいだよ。別名がシトリン。可愛いね、なんか。


 石言葉ってあるんだって。この石の石言葉はね、



『自信』、『輝き』、『生命力』、『希望』、『繁栄』、


 そして、『友情』だよ。



 また手紙書くね。今度はこんなまとまりのないものじゃなくてね。


 それよりも会いたいな。いつか必ず会えるよね? コトちゃん約束してくれたし、私も絶対会えるって確信してる。だからそれまでは手紙で我慢だね。コトちゃんに教えてもらった転送屋さん? に近いうちに持って行くからね。コトちゃんも、無理しないでいいからお手紙くれると嬉しいな。


 それじゃあね、お身体にはくれぐれも気をつけて、おじさんおばさんにもよろしくお伝えください。



                     コトちゃんのことが大好きな由愛より。




 私は書いた手紙を、春色の可愛らしい封筒に入れて転送屋さんに持っていった。


 駅を出て、正面に大きな液晶パネル? がビルの上にあって……右のガードをくぐったら信号を渡るんだっけ。まっすぐ行くと、左手に見えてくるアーケードっと。


 あ、これかな、モザイクみたいなタイルの敷き詰められた通り。この中に、そのお店があるってコトちゃん言ってた。どんなお店なんだろ。



 確かにそのお店があった。店員さんはどうやら犬さんで、なんだかとっても申し訳なさそうにしていたのをなんとなく覚えてる。


 家に帰ってきてから我に返った。



船運ふなはこび』の時にトラブルがあって、コトちゃんたちが行方不明になったということを聞いた気がする。手紙はすんなりコトちゃんが行くことになっている町のお店に届いたみたいだ。



 コトちゃんからのお返事はまだない。

 お読みいただき、感謝です!


 え~、活動報告にも書きました通り、よっちゃんは作者まったく考えていなかったキャラクターでありまして、そのためか名前も『よっちゃん』としか判りませんでした。

 今回、初めてご本人から伝えられました。


 手紙の末尾にありました、由愛、よしあ さんです。良いお名前です。



 なんだか、すごおく重要な役どころを振られてますね、よっちゃん。コトちゃんが大好きなように、作者も大好きになりました。今後も出てきてくれると思います。


 次回は、クマさんのお話の続きからのはずです。そうですよね~? みたいです。ほっ。

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