クマの親子。
ふう。すっかり深夜に投稿って感じです。
今回は、ママからコトちゃんの順で話が進みます。
♡♡♡
まあ、まああ~~っ♡♡
な、なな、なんて可愛らしいの? 愛らしいのっ?
私は今、もお~っれつに感動している。
なんでかって? それは今目の前にしている光景がすべてを物語っているじゃない。ね。
だってね、だってクマさんよ? あわ~い黄緑、ううん、全身が薄緑色したふわもこさんたちが、私の作ったリンゴンベリーの砂糖漬けを美味しそうに、ほんとおに感動しながらむしゃぱくしている姿。それだけじゃあなくて、たぶんこのクマさんたちは私たちとおんなじ家族だと思うの。
最初にコトちゃんのお誘いを受けて、おそるおそるながら家族の前に立って、勇気を出して未知の食べ物に挑戦するパパさんグマ。び~んって感動してくれて、家族をおいでおいでしたら出てきたのが、パパさんより小さくて、もお~っとふわもこのやわらかい印象のママさんグマ。そのふわもこのおててをぎゅ~って握ってとことこくっついてくる、さらにさらにふわもこの、ゆるふわ~っ♡ なちっちゃい子グマさん。
この光景だけで私は、この異世界に来たことに感謝したい気持ちでいっぱいになる。
昔っからお料理は好きなほうだったけど、おおざっぱな性格? のためか大量に作りすぎたり、大体目分量で味付けするものだから、大味になってしまったり。要は、特別美味しい料理を出せる腕前ではないって自覚していたの。
だからって性格や、今までの自分を変えられずにいた私を、そのまま愛してくれているパパや(きゃ~~っ♡)、こんな私の料理を美味しいって言ってぱくぱく食べてくれるコトちゃんに、どれだけ心救われているか。
そんな私の料理を、ウホッホ族のみなさんも喜んでくれたし、目の前で美味しそうに口や手をべちょべちょにしながら一心不乱に食べてくれてるクマさんたち。
ちょっとだけ、ほんのちょ~っとだけ、自分に自信が持てた。だから感謝。
コトちゃんの横に行っておんなじようにぺたんって座る。
大皿に山盛りになっていた砂糖漬けは、きれいさっぱりなくなっていた。作った甲斐があったよお。
私の方をきょとん?って感じで見つめるおおきな黒いおめめ。子グマさんの口の周りやおててについた汚れを持っていたハンカチで拭いてあげたら、とお~っとつにむぎゅう~♡ ってされたのお! ちょっといたい。
私はまるで自分の子供みたいに、頭をいいこいいこしてあげる。ふわもこの毛に、ふにゅっとした可愛らしいお耳。満足げなお顔。
もうたまらんち~~♪ だ。
そんな私を、嫌がるわけでもなくあったかあ~い、優しい目で見守る親グマさん。
本当に来て良かった。
♪♪♪
ママが、またまたここで大活躍してくれた。
ウホッホ族のみなさんと仲良くなれたのもママがお料理を作ってくれて、みんなでわいわい食べたからだし、今目の前でこうしてクマさんたちとも絶対に仲良しになれたと思えるのも、すべてママのおかげだ。
うちのママってすごい。
やっぱり宿屋さんに来てくれた人たちにお料理を作って、喜んでもらえる姿を想像してた私は間違ってなかったんだと確信したよ。って肝心の宿屋さんどころか現地にも着いてないけどねっ!
私たちのことを後ろで見守ってくれていたパパとウホイさんたちが近づいてくるのがわかった。ウホイさんは面識があるのか、パパさんグマに近づいていってしゃべりかける。ん? 普通に会話してる気がするよ? 種族が違っても会話が成立しているってことは、もしかしたら私もおしゃべりできるかも!
そう思った私は、二人の会話が一段落したところで話しかけてみることにした。
「あ、あのう、今お話しても大丈夫ですか?」
「ウホッ? だいじょぶ、コルドレ、すんごいかんしゃ。イルマリ、つくりかた、しりたい。フィルフィリ、ママみたい、だいすきいってる」
「え~っと、コルドレさん? こんにちは。私はコトハ。こっちは私のママのサクヤ、後ろのパパ、フミアキって言います」
「んん~ん? あ、ああ! コトハ? こにちは。コトハ、すごいね。おしゃべりできるヒト、めったにいない。もったいないね。いいね。ウホイ? なまえもらったいってた。コトハのおかげ?」
すごい。通じるよ。だあい感動だ!
「はい、そうです。ウホイさんと、奥さんにウーハさんって名前はどうかなって言ったら気に入ってくれたみたいで良かったです」
「はははっ! なまえあるのはすごいこと。だからウホイ、おはなしできる。こうやって、みんなちがう、なのにおんなじ。なまえあるから」
そうなんだ。名前ってすごい大事なものなんだね、初めて知ったよ。私も言葉って名前大好きだし、名は体を表すじゃないけど、言の葉でコトハ。ん? なんだかふかあい意味があるようなないような……。
なんにしても、偶然にもウホイさんに名前が出来て、こうしてえ~っとコルドレさんともお話出来て。いいことづくめだね。
「コルドレさんたちは、なんでお名前持ってらっしゃるんですか? 最初からそういうお名前だったんですか?」
なんだかコルドレさん、とお~っても遠い目をしながらこう言ったんだ。
「コルドレ、イルマリ、フィルフィリ、なまえもらったよ。ずいぶんまえ。ヒトのけんじゃ? ゼにもらった。だいじなだいじなともだち。いまはもういない」
コルドレさん、すこおし涙目? おおきな黒いまんまるおめめが潤んでいた。
お読みいただき、感謝!
いやあ、作者、感動しております。はい。
それはですね、活動報告にてっ!
だってなが~くなるんだもん。いやでしょ、後書きが長いの。
そういうことで、作者の心境は活動報告にて。本編は、もう少しクマさん話が続く予定です。え、いつになったら宿屋を始めるのかって? …………。てへっ♪