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ウラヌールの宿屋さん ~移住先は異世界でした~  作者: 木漏れ日亭
第一部 第三章 町までの長旅。
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湖での出会い。

【追記】……。

 コトちゃん、よろしくお願いします。

♪♪♪


 さっきの気持ち悪い出来事があって、この場にいるみんながいやあな気分で黙り込んでいた。


 ざっと見てまわったけど、怪我をしている人なんかはいなさそうでほっとした。ほんとによかったあ。


 なにも出来ないで固まってた私なんかより、よっぽど隠者のおじいさんや、よっちゃんとの絆の証(黄色い水晶の♪ね)の方がスマートでかっこよかった。


 なにが私がしっかりしなきゃだ?


 こっちに来て、ウホイさんたちと出会うまでにあんなに苦労したのに、それも忘れていい気になってた自分にかあ~~っつ! しなきゃ。



 あの存在、隠者のおじいさんが確か、ゾーンって呼んでた? かなり前からの知り合いみたいだった。

 どういった関係なんだろう。親しげでいて、逆にとげてげしくて。思い出すだけで暗くなるからやめ、やめ!

 どうせ後からなにかしら判ってくると思うんだ。これっきり遭わないで済むわけじゃなさそうだしね。やだやだ。


 気持ち切り替えてこう。うん。



 そういえば、ウホイさんがここに私たちを連れてきた理由が、クマ? に会わせるってことだったよね? どんなクマさんなんだろう。聞いてみよう。


「ウホイさんウホイさん。会わしたいって言ってたクマさん、どこにいるの?」


「オホッ! クマ、かくれる。あまいの、すき、あまいにおい、おれもすき。じゅる♪ あまいのあれば、でてくるはず」


 そうかあ、隠れちゃってるのかあ。なになに見つけるには甘いものが必要……っていうか、ウホイさん、うちのママとおんなじに、ふるん? って顔してるよっ!


 あまいもの、甘いもの。う~んう~ん。こういう時は、ママに聞くのが一番だね。よし。


「ママ、今から甘いものなにか作れないかな? できればたあくさんあったらいいなあ」


「甘いもの? ふ~ん、それならあ、さっき採ったばかりのリンゴンベリーがいいわね」


 お、ママのお顔がふるん? からじゅる♪ になり、それからやる気に。忙しいね、ママ……。


 せっかくママがやる気満々になってるから、恒例のくっきんぐたあいむ!


♪ リンゴンベリーの砂糖漬け


 リンゴン リンゴン リンゴンベリー!


 洗って洗ってボウルに入れて、


 お砂糖と、少しのお酒を入れたなら、


 ざっくりざっくり、かき混ぜて。


 ボウルごと、お水で冷やして馴染んだら、


 あらかあんたん、リンゴンベリーの砂糖漬け、


 でっきあがり~♬



 おおう、すばやいお仕事♪ こっちのリンゴンベリー、実が大きめで食べ応えありそう。どおれ、お味見を……。


 はわわあ~っ! し、しあわせがここにっ?


 このじゅくっとしたちょっとすっぱめの実が、お砂糖でざっくり混ぜ合わされたことで嫌みのない甘さに仕上がってるよ。すこおしだけ入れたお酒、あれなんのお酒だろう、あ、パパがちょお~っとだけしょぼ~んってしてる。

 高いお酒だったのかな? よしよし。でもあれでさらに香り良いものなったからね。



 大きめのボウルにいっぱい作られた、リンゴンベリーの砂糖漬け。作っては大皿に分けていくのを数回。クマさん? の分をちゃんとよけといて。


 さあ、おやつた~いむ!


 パパがさっきのしょぼ~んから、ぱあっ! って明るい顔になったよ。


 ウホイさん、踊り出した!


 ウホッホ族のみなさんも踊り出した!


 私も嬉しくなって、ママの周りを踊りまくった。ルンルンしたら、口から♩♪♬たちが飛び出してきたよ。あまあ~い、おいしそうな色がね!



 みんなで踊りながら、リンゴンベリーの砂糖漬けをほおばっていると、湖の縁に見える岩陰から、だれかがこちらをちらちら窺っている様子が感じとれた。



 ちらちら。


 ちらちら?


 ちらちららっ!



 あらら、目が合ったら隠れちゃったよお。恥ずかしがり屋さん?


 ちょっと見えたその養子は、小柄でふわもこの、おめめがとおってもつぶらな♡ ぬいみたいなクマさん。

 そのクマさん、もおっと特徴的なのが、


 おててに、でえっか~い! ツメがシャベルのようについていることだった。


 近くに行って話をしようとしたら、ウホイさんが引き留めた。


「コト、まつ。あわてる、びいっくり、かくれる、みつからない」


 そうかあ、臆病な性格なのかな。隠れて見つからなくなるんじゃ意味ないもんね。


 そう思って私は、リンゴンベリーの入った大皿を手に持って、すこおしだけ近づいて地面に置く。後ろに数歩下がり、ぺたんと座って敵意がないことをアピールする。



 しばらくすると、おずおずと岩陰から顔を出し物珍しそうに、私の前にある赤い大ぶりのリンゴンベリーを見つめる。


 その目は、そう、言わずと知れたあの顔ね、やっぱり。流行ブームなのかな?


 私は一つ手にとって、かぷっと口にする。

 う~ん、でりしゃす♪


 我慢しきれなくなったのか、トコトコ近づいてきた。



 お、おふ? ツメだけ黒くてつやっつやしついて、全身は淡い薄緑なクマさんが三匹(たぶん三人ね)。 親子っぽい雰囲気で、一番大きな、っていっても私より頭一つ大きいくらいのお父さんグマ? が最初に私がやったみたいに手でつまむ。あ、ツメか。器用さんだね。


 おめめをいっぱいに開いて、び~ん! ってなった。衝撃的だったのねっ?


 なんだか愛らしい♪


 一度私を見て、こくんと頷くと(わたしもつられてこくんと頷いた)後の二人においでおいでをした。

 クマさん、なかなか出てきてくれません。恥ずかしがり屋さんですね。


 しかし、二千字書くのがいかに大変か。

 みなさまにはよおくお分かりのことと思います。ねえ。


 あ、ひとつ解説を。


どうやらこのお話には、


♪ や♩ ♫(これ、スマホでは記号に無いの……)に♬ がよおく出てきますが、語尾にこれらがある場合(感嘆符扱いですね)は一マス空けています。


 しかしコトちゃんは、音符自体を目に視えるモノとして捉えている場合がありますので、そういった時にはマスが空いていない場合があります。


 すこおし判りづらいかもしれないですが、以降もかようによろしくお願いします。

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