旅の再開。
こんにちは!
だいぶ旅のお話続いてますが、まだ山脈にさえたどり着いてません。
長い旅路です。どうかおつきあい下さい。
【追記】コトちゃん回。どぞよろ~♪
♪♪♪
あふ。おはよう。
私は久しぶりのお家らしいお家の中で、とおっても快適な睡眠を貪り目が覚めた。
お、おふ。目が覚めたら、目の前にウホイさんの奥さんのお顔がすぐ近くにあったよ。
優しげな黒いおめめ。あまり高くないお鼻におっきめのお口。くちびるは、ぷっくりしてて可愛らしい。体中毛むくじゃらだけど、やわらかな毛でやっぱり可愛い。
うん。掛け値なしで可愛い人だ、ウホイさんの奥さんは。
その奥さんが、私の頭をなでなでしてくれていた。
優しく、やさしい~く♡
なんでこうしてなでてもらってるのかって?
たぶん私が寝相悪くコロコロ転がって、奥さんのところで止まったんだね。そんな私を、静かに喉を唸らすように声を出しながらなでてくれている。
子守歌かな、このお声は。言葉は通じないけど、なんだかとおっても癒やされる。思わずむぎゅう~ってしたら、奥さんも優しくむぎゅう~してくれる。あ、やわらかい感触が!なんだか甘いにおいがするう~♪
その甘いお母さんの匂いと、やわらかな感触をい~っぱい堪能? しちゃってから私は奥さんにお礼を言った。
「あ、あの。そのう、優しくしてくれてありがとうございます、ウホイさんの奥さん♡」
「ウホイ?」
「はい、奥さんの旦那さん。ん~と、私はコトハって名前で、あっちのパパがフミアキ。ママはサクヤって言います」
「ゥ~ゥ?」
「そう、名前です。名前。それで勝手にだけど、旦那さんを、ウホイさんって呼ばせてもらったんです」
ウホイさんを指し示しながら私が言うと、
「ウホイ?ウホイ……! ウホイっ!」
って分かってくれたみたい。よかったあ。そうしたら奥さんが自分のことを指さして、私は? みたいなお顔をした。
いいのかなあ、お名前こっちで勝手に付けちゃって。ま、ウホイさんのこともあるし、いいかとかるう~く考えて、私は頭をひねった。
なにが良いかな。ウホイさんの奥さんだからウホイオ、可愛くない。ウホママってウホイさんのママじゃないし。う~んう~ん。
ウホッホ族のママ、お母さん、ははおや、ウーハさんってどうだろ? うん、いい感じ。
「あのね、考えたんだけど、ウーハっていうのはどう? ウーハさん」
「ウーハ? ウーハ……ウーハ!」
お、喜んでくれた?
ウーハさんは(もういいよね)、お名前が気に入ってくれたのかすごお~く喜んでくれて、ウホイさんを呼んで自分のことをウーハって自慢? してた。二人して名前を呼び合って、なんだからぶらぶしてるよお。
ふう。
それからウホイさんとウーハさんとはさらに仲良くなり、三日くらいお世話になっちゃった。
その間に、パパは狩猟の方法を教わり、ママは仲良くお料理をしたり。
私は、少しでもみんなのことを理解したくて、ウホッホ族の言葉を覚えることにした。初めはものの名前や言い方。火や、水、食べ物の名前なんかだね。
単語がすこおし判ってくると、文化みたいなものもなんとなく分かってくるから不思議だ。
ウホイさんたちウホッホ族のみなさんは、とにかく相手を思いやる心にあふれている。
自分よりも仲間。
自分よりも家族。
そしてなによりびっくりしたのは、いただきますとごちそうさまがあることだった。
だってね、日本人の私からしてみれば当たり前でも、おんなじ種族の他の国の人でもやらないんだよ?
本で読んだりしただけだから絶対に間違ってないとは言えないけど、身体に入って栄養になってくれる食材(動物も植物も)に対してとか、料理を作ってくれたひとにとか。感謝と喜びを表す文化。
ますますウホッホ族さん、好きになっちゃったよ。
そんなウホッホ族さんたちともお別れ。私たちは、山脈越えの旅を再開することにした。
ウホッホ族のみなさん、ありがとうございました。心から感謝します。みなさんに、もっともお~っと幸せが訪れますように。
そんなことを、身振り手振りを交えて伝えた。全部伝わったかはわからないけど、前よりも親しげに抱擁や、肩をたたき合ったりする姿を見ると、なんだか行きたくなくなってきちゃう。
ほろほろ泣いていると、私の頭をわしゃわしゃしてくる人がいた。
「もうっ! びい~っくりしたじゃない、ウホイさんっ」
「なになく? さみしさない。ウホイいく」
「え、ウホイさん付いてきてくれるの?」
「たかいたかいやま。さきいかない。てまえでえ~っかいみずたまり。そこいく。くまいる、あう」
どうやらウホイさんが、私たちに付いてきてくれるみたい。山脈手前にあるでえ~っかいみずたまり……湖かな? そこにいるくまを紹介してくれるってことのようだね。
ウーハさんがうんうん頷いている。ごめんね、旦那さんをお借りします。すんごい頼りになるね。
こうして私たちは、クリスタルのコンパスの指し示す方向から少し外れて、ウホイさんと数人のウホッホ族のおじさんたちと一緒に集落を出ることになった。
その時、パパの腰にあるポーチさんがちかちかした(最近は、直接腰にくくりつけているみたい)。
「パパ、ちょっと待って、ポーチさんが」
声をかけて足を停めさせてポーチさんに触れると、
『やっときづいた おそいよ コトちゃん』
「ごめんね、ポーチさん。どうかしたの?」
『みずうみはきけんよ いかないほうがいいって』
「なにが危険なの? わかんないとどうしようもないよ?」
ポーチさんは言いにくそうに黙ってしまう。
いったい湖になにがあるのか。
不安が大きくなるけど、先に進まないことには、どうやっても宿屋のある町に着かない。それに私には、なんとなくウホイさんの言うとおり湖に行くのが正解みたいな予感がしたんだ。ほんとだよ?
だからポーチさんをなでなでしながら、大丈夫って伝える。
そんな私たちに、ポーチさんは諦めたように紫色を深くした。
ポーチさんがなにかつぶやいたみたいだけど、その時にはもう手を離した後だった。
お読みいただき、感謝でっす!
コトちゃん、すこおしずつ言葉の力の使い方が上手くなってきてる?v作者、想定と違うながれに汗だくです。
どなたかこんな作者に、励ましや応援の言葉を~!




