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ウラヌールの宿屋さん ~移住先は異世界でした~  作者: 木漏れ日亭
第一部 第二章 町で、宿屋さんを営みませんか?
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家族みんなで。

 家族会議。三人はどのような結論を導き出すのか。


 わかりきってるじゃなあい?むむ。


 ではどうぞ~♪


 【追記】これもパパ回ですね。よろしくお読み下さい。

◇◇◇


「二人ともごめんっ。俺は、約束を果たしに行かなきゃならない。どうやらはなから決められていたってことみたいだ」


そう言ってから改めて振り返ってみると、ああ、こういうことだったんだなあと腑に落ちた。



 占いを始めるきっかけは、正直どうでもいいようなことだった。元々なにか始めるととことんまでやってみないと気が済まない性格で、あの時も目の前で不思議な光景を目の当たりにしたことで、居ても立ってもいられなくなって声をかけたんだ。


 その結果がここに繋がっていた。俺が占いを始めた時に、定められた道。


 その道に、咲耶とコトまで巻き込んでしまったことに深い後悔と申し訳なさを感じる。


 俺が心の中でそんな葛藤を続けているそばで、二人は、


「う~ん、これだけじゃあどんな場所で、どのくらいお客様が来て、売り上げとか細かいことがさっぱりだね」


「そうねえ、不安にならないって言ったら嘘になるけど、なんとかなるんじゃないかしら? 先が読めないのはこれまでとあんまり変わらないんだし、だったら楽しんじゃえばいいのよお♪」


 コトは現実的(当然のように魔法使ってるけどね)、咲耶は……いつも通りでした。ははは。


「これだけじゃあ見切り発車になっちゃいそうでどうかと思うな。でも……宿屋さんってなんか、私たちにぴったりじゃない?」


 確かに、家族で仲良く幸せに歩んでいける仕事には違いないと思う。俺も心からいいなあと思う。



 ただなあ。現状、二人が言うようになにも判ってないとおんなじだぞ。



 営業形態は自営か、官営か。急募って出されたものだし、一応こちらのではあるけども、職安を通すくらいだから自営ではなさそうだ。


 場所はどこだ?

 なんの予備知識も無く行くのは危険だ。おそらくこの流れなら、この辺の町やどこか日本のリゾート地とかでもなく、更には外国ですらなくいきなり異世界ファンタジー! な国なんて可能性すらある。というより、ドンピシャじゃないかな、それ。


 その宿屋に行く方法は? タロットカード任せってのもなんだかなあだし。そもそも簡単にこっちとあっちで行き来出来るのか? 約束はあっても、保証されてる訳ではないからなあ。


 居抜きで即営業可だそうだが、土地建物の費用はいくらだ? 支払いは? ついでに、支払われる宿泊料金はなに払い?


 つっこみどころ満載だな、冷静になってみると。


 さて、どうしたもんかなあ。


「という具合に、判らないことだらけだ。それでも良いかな?」


「「もう。わかってるくせに」」



 そりゃあ、家族だもん、な。

 


 んで、やって来ましたよ。


「お~来たねえ。いやあ、そろそろかなあって思ってたんだよ。あ、整理券は……大丈夫ね。はい、いただきますっと」


 相変わらず職員っぽくない感いっぱいの、おそらくは俺が思ってる通りの(家族で話し合った結果、みんなしておんなじ意見だった)人物。


 今回は誤魔化されないよ、こっちは家族全員の人生がかかってるんだからな。


「これなんですけどね? くわしいく、話を聞きたいんですが」


 昨日追加された文字。それを見て葉山さんは、ほけらんっ♪ て顔をして(こんなんばっかだな、俺のまわりは。)言った。


「ほ~う、みちはひらいてるのね。なら行くのには問題ないねえ。やっぱり私の見込んだ通りの人だ、天国さんは」


 おいおい、ウィンクしたぞ。

 下手だし。気持ち悪いぞ、かなり。


「天国さん、私は故あってこうして職安、ハロワってほうがなんかいいよねえ。あ、ごめんなさいね。ここで働かせてもらってますけどね、なにを隠そう、転職の斡旋をする役目を承っているんですよ。」


 ……つまるところ、職安職員と変わらないね。


「ああ、なにか誤解されてるようですが、当然向こう側での話ですよ?」


「それはつまり、葉山さんはこの急募の関係者っていうことですよね?」


 にやにや笑いが、なんだかあの有名な猫みたいでなんかやだなあ。


「そうです。はい、私は依頼主からくれぐれもいい人材を紹介してほしいと言われてましてね。そういった意味では、天国さんはうってつけだと思うんですよ。『繋がる力』には乏しいものの、その、タロットカードっていうんですか? あれは良い。使い手の力量以上の能力を引き出してくれますし、なにより生きているってのがねえ」


 そうか、俺がもらった『力』、コトに感じる強い『力』は、『繋がる力』って言うんだな。あとタロットカードには世話にはなってるし。まだコトのこととかは知れらてないみたいだ。ま、俺からは敢て言うこともないし。


「それで、その依頼の内容を詳しく教えてくれませんか? 行くにしても不安要素が多すぎるんですよ、場所はどこでどんなところなのか、危険はないのか、保証は? 教えてもらえますか?」

 

 聞けることはなんだって聞いておかなきゃ。少しでも家族の不安は払しょくしておきたい。ん? 一番不安なのは俺なんじゃないか、うちの家族内では。びびりぃだもんな、俺。


「まあ、仕方ないですねえ。ほんとはあそこから読み解いてほしかったんですが、そこまでは望みすぎかもしれませんね。わかりました、お教えできる範囲でお伝えしておきましょう」



 家に帰ってから、聞いたことや俺が思っていることを伝えて、家族で一緒に踏み出すことを決めた。


 未知の世界で。


 豊かな自然と。


 新しい生活を。


 家族みんなで。

 お読みいただき、感謝!


パパの過去、まつわる出来事。コトの目覚め始めた『力』。ママのまだ誰にも伝えていない秘密。いろんな思いを抱えて、三人は歩みだします。


 ではでは次回もどうぞお楽しみに~!  ……なにげに目立ってるチョイ役のはずだった彼奴。

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