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ウラヌールの宿屋さん ~移住先は異世界でした~  作者: 木漏れ日亭
第一部 第二章 町で、宿屋さんを営みませんか?
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家族会議の前に。

 こにちは~♪


 家族会議の前に、ママとお話したいってコトちゃんから。


 ではどぞ~っ!

♪♪♪


 小学校から帰ると、ママからお話があるのって言われた。


 昨日の夜は、結局パパとあれ以上話が出来なかったんで、今日はどうしても話さなきゃって思ってたんだ。でもその前にママとね。たぶんママも私とおんなじ? そんな予感がしながら、手洗いうがいを済ませて居間に行った。


「コトちゃん、なに飲む? 青汁、それともモロヘイヤ?」


「ママ、その選択肢はないよお。コーヒーか牛乳がいいなあ」


 カフェオレが出てきたよ。ママったらおちゃめさん♪


 居間のソファーに並んで座りながら、ママの入れてくれたカフェオレをふうふうしながらこくんと飲む。身体があったまっていくのがわかるね。


「コトちゃん、昨日、パパとお話していたでしょ? その時にテーブルの上にあった、あのカードさんたちだけど、どうしてなのか教えてくれる?」


 ママからストレートな質問がきた。

 私は両手で持っていたマグカップをテーブルに置いて、


「うん。その前にママ、確認したいんだけどいいかな?」


「いいわよ、なあに?」


「……ママはどこまで知ってるの? その、パパの占い? のこととか」


 ママがふう。と息を吐いた。そして優しいお顔で私を見つめながらこう言ったんだ。


「コトちゃんが知ってる以上かもよ? 三年前まで時折、ううん、みんなが困った時や、お仕事問題でどうしてもっていう場合に占い師さんしてたね。コトちゃんが産まれる前からだから、もう十八年くらいになるんじゃないのかな?」


「じゃあ、ママはパパが普通のお仕事とは違う、占い師さんっていうその、なんていうのかなあ、あんまり見かけないものでお金をもらうことってどう思う?」


 ママは、はるん? って顔をした。おなかはすいてないようだね。


「なにか変かな? 占い師さんってそれはそれは立派な、とおっても人のためになるお仕事だと思うわよ、ママは」


 なんだか思い出しながらしゃべっているのか、ママの目が遠くてほっぺがあかあくなってる気がする。


 うん。ママがその点に関して否定的じゃなくて、むしろ好意的にみてるんだってわかって安心できた。良かったあ。


「昨日ね、パパにお願いして占いの道具を出してきてもらったの。今のお仕事がだめんなっちゃうのがもう変えられないなら、パパに聞いたことのある占いでならなんとかできるんじゃないのかなって」


 ママは静かにうんって頷いて、私に続けるよう促した。


「そしたらパパが、カードがその、うまく使えなくなってて、私に触らせてくれたんだけど……」


 うまく言えないよお、だって魔法だよ? ポーチさんとか隠者のおじいさんとかライオンさんとか。どう伝えようかって思ってたら、ママから助け舟?がきた。


「ふふっ♪ コトちゃん、いいのよおそんなに言葉を選ばなくっても。だって、パパとコトちゃんのことなんだよ? ママがおかしく思うわけないじゃない? ねっ」


 軽くウィンクしてきたママ。 かわゆい~♡


 それで私もはっきり言うことにしたんだ。なんだか大丈夫な気がするしね。


「ママは、パパが占いの出来る『魔法使い』さんなんだって知ってたの?」


 やっぱりねえ、コトちゃんなら……ってつぶやいてママが、


「ええ、昔っから知ってたわ。私のだあい好きな人は、『魔法使い』さん。それもとびっきり優しくて、かっこいい、ね♡」


 うわあママ、ちょ~デレさんだったよお!



 この後、ママから高校生の時にあった出来事を聞いた。そしてパパに救われて、恋に落ちて、ずっと思い続けて結婚したことを聞いた。


 きゃ~! なにこれ、ママはこんなにもほんわりふるん? さんなのに、ちょ~らぶあたっか~さんだったのっ?


 後に続く話が耳に入ってこないよ! いかんいかんってふりふりして気持ちを落ち着かせる。ふううっ。



 ママは、その時からパパが不思議な力を持っていて、なにか理由があって積極的にはしていなくても、困っている人や家族のために占いをしていたことを教えてくれた。


 そしてママにも、パパがなにかにずっと悩まされてるって感じてるんだって。そこは聞けてないみたい。


 そんなママだからこそ、家族で仲良く幸せになれるようなお仕事を、今度こそ一緒にやりたいって思ってるって教えてくれた。


 私もおんなじだよ。


 大好きなよっちゃんや、他のお友達も大事だしずっと一緒にいたいって思う。この町も好き。お家からすぐにバス停があって、近くには木漏れ日の公園があって。駅前広場はほどほどに賑やかで、可愛らしいお店もあって。


 でも、なにより家族が一番好き。家族が一緒で、みんなで幸せいっぱいの毎日を暮らしたい。

 そりゃあ大変なことも、辛いこともあるけど、それをみんなで力を合わせて乗り越えたいって思うようになったんだ。


 小学生までの、なんの心配もいらないただ守られてるだけの子供から、家族の一員として一緒に歩んでいける。そんな人になるんだ。


 もちろん子供は子供だけどね。私なりに、せいいっぱい頑張るんだ。うん!



 ママがすって立って、私の後ろに回って髪を触る。


 よく髪を梳いてもらうんだけど、私の髪は黒くて真っ直ぐだから、あんまりアレンジしないでそのままでいることが多いんだ。

 長さは、肩をすこおし過ぎたくらい。


 今日のママはなんだか気合いが入ってるみたい。

 櫛とコーム? かな、用意してさあっ! って腕まくり。


 櫛で後ろを真ん中から両側に分けて、前髪はかる~く流す。分けた髪を耳より下でまとめてから、くるりん。軽く編み込んで留める。反対側もおんなじにする。

 正面から左右対称か見て、うんっ♪ ってした。


「コトちゃんの、ゆるふわツインテの出来上がり♡」



 だだっと洗面台に行き、鏡を見ると。


 耳の後ろの下側で、編み込んだ先がゆる~く波打ってる。

 ちょっと大人っぽい感じのツインテ。


 前髪はいつもみたいにピン留めしないで、自然に分けて流されてて。


 だだっと居間に戻ると、ママにむぎゅ~って抱きつく。


「ママ、だあ~い好きっ♡」



 ママはにこにこしながら、おなかを優しくなでなでしていた。


 お読みいただき、感謝っす!


いやあ、女の子の描写はむずいっ!

あたまんなかで想像働かせて、一人悦に入る……げふんげふん。


 では次回こそ、家族会議ですか?そこんとこはっきりと、え? 任せとけって、あなた言うですか?むむ。

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