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ウラヌールの宿屋さん ~移住先は異世界でした~  作者: 木漏れ日亭
第一部 第二章 町で、宿屋さんを営みませんか?
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求人の内容は。

 お待たせいたしました(^^)、あれ前話出したの昨日だったかな……


 さあまいりましょう~♪


 はい今回は、コトちゃん~パパ~コトちゃんとなっています。よろしくお願いします♪

♪♪♪


 教室に入って、自分の棚に教科書や筆記用具以外をしまう。


 私の席は、左側の真ん中くらい。窓際だから、明るくていい。でも、冬の寒さが厳しい今頃は、窓際って寒かったりするんだ。

 

 私はかなりの寒がりやで、教室内でも薄手のフリースは手放せない。そうは言いながら、スカートは短めのフレアーだったりする。

 

 パパが職業柄、いろいろ目利きしてくれるから、けっこう服持ちさんの方。


 でも、そろそろパパと一緒のお買い物は……ね?

 いろいろ恥ずかしくなるお年頃、私もパパもね。


 でも占いのことみたいに、共有できる話題があるからまだましだよね(っていうより、秘密の共有?)。


 授業を受けながら、予習もしちゃう。


 休み時間は、次の授業の準備と前の授業の復習と宿題。ほんとは合間にやっちゃだめなんだけど、そのぶんクラブ活動や、生徒会で頑張ってきたからいいんだ。

 あ、もうすぐ卒業だから、もうどれも顔出すだけとかだけどね。


 なんか寂しいな。


 子供ながらに忙しく過ごせたし楽しかったなあって後ろの席を振り返ると、よっちゃんがふるん? って顔してた。


 よ、よっちゃんもしや?


 まだだよ、給食まで後もう少し、もうすこおしだからねっ!

 


 今日パパは、ハロワに行く日だったっけ?

 パパ頑張れ、私もママも、隠者のおじいさんも応援してるぞ♪



◇◇◇



 葉山さんの問いかけに、俺は職安って独立開業も斡旋するんだなあと素直に感心した。そこまでやってたら、いくら人手があっても足りないぞ?


 ああ、そういうことじゃなくてか。


「え、宿屋って旅館業ですか?あれですか、フロント業務やベッドメイキング、送迎バスの運転とかの」


 確かにこういった募集が、観光地の旅館やホテル、都内や駅近のビジネスホテルなんかで出されていたなあ。


 そういえば大学二年か三年の冬に、仲間と泊まった旅館でお礼代わりに(えらく気に入られ、宿代を負けてくれたからね)、ちょっとだけベッドメイキングを手伝ったっけ。


 ベッドメイキングのコツは、相手との呼吸だぞと教えられて、二人でシーツをピンって張れた時には感動したよ。

 

 しわ一つ無いまっさらなシーツ。見た目ふわっとするよう、空気を上手く閉じ込めた掛け布団。枕カバーの端の綺麗な揃え方。

 

 そんな目に見えない気配りが、お客さんの笑顔になって返ってくる。

 

 うむむ、なんだかすんごおくやり甲斐ありそうに思えてきた。ここは前向きに……


「んにゃそうじゃなくてね、『町の宿屋さんを営みませんか? 居抜きで即営業可、ご家族での移住大歓迎!』っていう、正真正銘の、宿屋さん経営の話なんだけどさ?」


 葉山さんが寄越した書面は、何度となく目にした求人票ではなく、『急募』と記された一枚の皮。


 なんだこれ? もしかして羊皮紙ってやつか?そんなものが職安の求人票に使われてるってことあるかねえ。ないよなあ、普通。


 やっぱりそっち関係だろうな。はあ。


「葉山さん、これ羊皮紙みたいですが、どこの求人票なんですか?」


「いやあ~、わたしにもわからないんだよねえ。けども、なぜか天国さんにはこれがベスト、チョッキ、ちゃんちゃんこかなあと」


 ちゃんちゃんこときましたか。あったかそうですな。


「詳細が知りたいんですが、書いてあります?」


 どう見てもなんも書かれてない。なんだか葉山さんの態度にも、おかしなものを感じるのは考えすぎか?


 

 仕方ないな。


 俺はおもむろに鞄の中から、黒っぽいポーチを取り出した。


 ……。


 なんとなく持ってるポーチから、イタい視線? を感じる。

 わ~ったよ、ポーチさん、頼むから力を貸してくれ。なでなで。


 あったかあくなったぞ。デレたな。



 みちをみつけ


 みちをとおす


 みちびくこたえ

 

 かみにあらわせ



 ポーチの中から、無作為に一枚のカードを取り出す。


 出てきたのは、


『ワンドのペイジ』だった。


 その象意は、『いい知らせ』だ。



 明るい前途に期待して、前向きに進もう。僕にはこの知恵の象徴である杖がある。わからないときには素直に聞こう。そうすれば、道は開けるだろう。



 カードを羊皮紙の上に置くと、空白の欄に文字が浮かび上がってきた。


 お、おふ。なんか俺の『力』、強くなってるっ?

 コトお、どうしよ?



♪♪♪



 昼休みに、私は意を決してよっちゃんに昨日あったことを洗いざらい打ち明けた。


 パパが占い師だってこと、そして三年前に突然占えなくなったこと。


 淡い黄色の布のこと(この布もさん付けした方がいいのかな……ま、いいや)。


 中に隠してあった占いの道具一式のこと、ツンデレのポーチさんのこと(よっちゃんがすんごい気に入ってくれたみたい♪)。


 中に入っているタロットカード(ある人から譲られた)が力を失っていて、隠者のおじいさんがかっこよくて、帳を打ち払ってタロットカードたちに色を取り戻してあげたこと。


 そのおじいさんが、パパにヒントをくれたこと。


 (パパがなにかに苦悩してて、辛い思いを抱えてるんじゃないかってことはしゃべらない。当たり前だ)



 ふう。いっぺんにしゃべりまくったら疲れちゃったよ。


 顔を上げると、なぜか私とよっちゃんの周りに人だかりが……。


 ど、どどうしよう?私たち、変な人に思われてる?



 「うおおお~~~!!」


 あ、あれ、なんかすごおく受けてます? 面白くてかっこよくて、ファンタジーだって盛り上がってるよお?


 お、おう。



 みんなにはなんとかかんとか言い訳して、よっちゃんと二人で席を外す。こんな小説読んだ、おもしろかったあもごもご。


 誰もいないのを確認して、よっちゃんに抱きつく。


「え~ん、こわかったよお!」


 すりすり。むにゅ。


「ちょ、ちょっとコトちゃんっ!どこ触ってるのお?や、やめ、てえ、もお」


 至福♡


 

 勝手によっちゃんぱわーをもらい、私は決めた。



 探すんだ。パパにこの占いの道具一式を渡した、おそらくパパになにか思い(呪いかも)を託した人物を。


 その人を探し出してはっきりとさせないことには、私たち家族にほんとの幸せはこないと思うから。


 この作品、主要人物に語っていただいてますが、かなあり自由奔放で当初予定した径に乗りません。しょぼ~ん。


 まあ、おおかた向く先がぶれてなければなんとかなるでしょう。し~らないっと(おいっ)。


 ではでは次回にまた( ^^)/

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