続 ハロワに行く。
こんばんは^^。
昨日のうちに投稿できるかと思いましたが、思いのほか時間がかかってしまいました。
ではどうぞ~♪
今回は分かりづらい!
ママ~パパ~コトちゃん~パパとなっています。たまにママが出たがるので、よろしくお付き合いくださいませ♬
♡♡♡
だいぶ遅くなってきたから、そろそろお開きですよおって言いに行かないと。あの二人は、本のことになると時間なんてさあっぱりさんになっちゃうんだから。私なんてすっかり出番もな、けほけほ。まあ、ただ言いに行くのもなんだかだから、なにか持っていこうかしら?
私は手間をかけないで美味しい、白玉を作ることにしたの。
作り方は簡単♪ 白玉粉を適量、お水を適量。ゆうっくりお水を注ぎながらまぜまぜ、こねこね。みみたぶくらいのかたさ(これわかりづらいわねえ)になったら、むちゅって取って丸めて沸かしといたお湯にぽとんぽとん。浮き上がってきたら、ざるに入れて冷水でころころころころ。しまってきたら、い、いつの間に用意していたの私? ってきなこを添えて、出来上がり♡
簡単でしょ? わかりづらいって、そんな。むう。
誰に言うともなく私は、作った白玉をお盆に乗っけて本部屋に向かった。
キャッツがどうとかこうとか。パパ、まさかそんなあ! 私に内緒でコトと二人で観に行こうっていうんじゃあないわよね? そんなのやだあ!
◇◇◇
「むほっ? どうしたママ?血相変えて」
咲耶がなにやらお盆を抱えて、ふるふるしながら部屋に入ってきた。
別に隠し立てするようなことじゃあないけど、テーブルの上には息を吹き返したカードが、コトが見やすいようにあっちこっちに散らばらせたままだった。
「あのね、あのね、二人ともずう~っと私をほっといて、忘れてるんじゃないのかなあって思って。それで寂しくなって一緒にと思って白玉作ったんだけど、キャッツってなあに、ふみあ」
「おひょひょひょ~! さすがママ、お耳がよろしいようですますもごもご。あ~一緒にみんなで観に行きたいかなあなんて話したりしてたんだよ、なあコト!」
俺の今の状況を理解してくれたのか、コトが相槌を打ってくれてその場を切り抜けることが出来た。ふう、コト感謝。
とりあえずカードはいったんしまうことにして、俺は一枚一枚カードを重ねていこうとしたが、どうにもカードたちの意識(視線?)はまんまコトの方を指しているので誠にやりづらい。あの~持ち主俺なんですけど、たった一夜にして心奪われてしまったのですかい?
まあコトだからいいか。いやよくないよな、やっぱり。
本部屋のソファーセットは、三人だとかなりきつめのローソファーと、まあるい小さ目のローテーブルのひとつだけだから、家族揃っておしくらまんじゅう状態だ。よっぽど寂しかったのか、咲耶がコトを挟んでぎゅうぎゅうしている。その顔はふるん? ってしている。どんな顔だ。白玉は皿の上に山盛り、きなこもたくさんある。俺は砂糖醤油が好きなんだけど、三人仲良くきなこにつけて食べた。
咲耶が口いっぱいに白玉を入れて、もっきゅもっきゅしている。満足そうな顔してる。うん。
♪♪♪
朝ご飯を食べて、ゆっくり学校に行く支度をする。
小さい身体にランドセルの重さはけっこうきついものがあるよね。ふうふう言いながら、玄関を出る。よっちゃんが、低学年の子たちとすでに待ち合わせ場所にいたので、手を振って近づいた。
「よっちゃん、みんなおっはよ~! おまたせしてごめんね?」
「おっはよう、コトちゃん!だいじょぶだよ、さあ行こうねえ♪」
ゆるふわあな髪の毛を、ふぁさあ~ってして歩き出す。はああ、なんて絵になるんだろ。よっちゃんは大柄なほうだから、ランドセルがちっちゃく感じる。でもそこがまたええのん♪ って私だいじょぶじゃないね、落ち着こう。ふう。
学校までは私が前で、中に低学年が入ってよっちゃんが一番後ろ。しんがりってやつだね、ちょ~安心感あるよ。私のテンションが良いので、よっちゃんもすこおし安心しているようす。でもなんて説明しよう。まさかパパが魔法のタロットカードを操る占い師さんで、そのカードさんたちがパパを応援してくれてるなんて。しかもツンデレの可愛いポーチさんまで! うむむ。
今考えてもしょうがないね。後回し後回し。
◇◇◇
「いやあ、よく来たねえ、ちょうど良かったよ。さっき薦めたい求人がきてねえ。え? 席についてもらえって? その前に整理券ね。はいはい、ええ忘れてませんよ。まだまだ大丈夫」
……なんか自分でまだまだ大丈夫って言ってるよ。葉山さんのためにもここは整理券、取って大人しく順番待ちだ。だかあらあ、そう拝みこまないでって葉山さん。いいから仕事しような?
相変わらず職安には、大勢の休職中の人たちが列をなしていた。
日本は諸外国に比べれば、失業率は高くない。という割には、俺を含め結構な人数の人がこうして職探しに動いている。学生の頃からさまざまな仕事をしてきたので(良いか悪いかは別として)、求人情報誌を読み比べたり、こうして職安なんかに通うのは別に嫌じゃないんだな、これが。
みんないろんな理由があって働いて、いろんな理由があって働けずにいる。俺には占い師として生計を手助けする手段はあるけど(コトに感謝!隠者のじいさんにも……ね)、本業にするには不安がある。なかなかそれだけで家族を支えることは難しい。いくら占い大国のここ、日本でもね。
それだから、正業になるものをこうして探しに来ている訳だ。
あ、葉山さんが手招きしている。俺は椅子に手をかけて立ち上がって、ブースの方へと向かう。
「はい、お疲れ様。いやあもう毎日盛況でさあ、忙しいのなんのって」
葉山さんはそう言いながら、書類の束をぺろりしながらお目当てのものを探し始めた。しかしこの葉山さんって人は、なんだか職員くさくないよなあ。だいぶ長くお世話になっているけど、すこおし毛色が違う感じがする。不思議な人だ。
「ええ~っと、この辺この辺にっとあった! これですがねえ、ちょっと変わった求人でね、書式も、ん? って思わないでもないんだけどまあいいかと」
いいのかそれで?ほんとに大丈夫か、この職安。不安だなあと思いつつ、不思議と嫌悪感はなかった。それはお世話になっている葉山さんを、なんだかんだで信じているからと、なによりコトが頑張ってくれたおかげでこうして仕事にありつけそうだからだ。
言ってみれば、コトが『径』を、仕事を探し出してくれたようなもんだからな。
「ええ~と、仕事の内容だけどね、天国さんあんた、宿屋をやる気はないかい?」
いつもお読みいただき、感謝!
次回に続きます。葉山さんの差し出してきた書面の詳細は?乞うご期待^^!