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ウラヌールの宿屋さん ~移住先は異世界でした~  作者: 木漏れ日亭
第一部 第一章 運のないパパ。
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生き返ったカード。

 第一章締めです。


 今回は分かりやすいかも。パパ~コトちゃんですね。


 

◇◇◇


 事態が動かない時って、なにをやっても本当にだめだ。あがけばあがくほど、深みにはまっていくし、泥沼に落ち込んでいく。


 三年前、いよいよ進退窮まった時にはまさにそんな感じだった。しかも俺の場合、やや他の人とは異なる対処しづらい問題を抱えていたから尚更だったんだ。


 いやああんときは、数日間仕事に行く振りして誰もいない公園で(幸いおんなじようなサラリーマンには会わずに済んだ。ベンチで隣り合わせになって、コーヒー缶でも持ってたらやるせなさ過ぎるもんな)、答えなくなったカードをただ眺めてるだけだった。咲耶やコトには言えない黒歴史のひとつだ。

 ああやだやだ。もうやらないね、あんなこと。


 今、目の前にはそんな思いがまあったく馬鹿らしいほどあっさりと(手に汗握って興奮したけどなっ!)色鮮やかに復活した、タロットカードの束があった。

 久しぶりに手に取り(すみませんごめんなさい)、一枚一枚に目をやるといくら『力』の弱い俺でも分かる。


 みんな俺をみてないよお。しょぼ~んだ。

 

 恋人たちは、二人して熱い表情をコトに向けていた。

 力の象徴のライオンはコトに向かって、おなかなでて? ってしてる。

 教皇は両の手をコトに向かって広げ、足元の人は尊敬のまなざしをコトに向けている。

 あ、正義のカードは俺見てる♪ 冷たい目でだった。こわいよお。

 愚者にいたっては……元々どこ見てるか判らないや。

 四つのスートからなる小アルカナ。すべてのコートカードが、コトに向かって跪いている。


 なによりかにより、おおいおいっ! さっきはとおっても渋くかっこいいところを見せつけてくれた、隠者のじいさん、自分の格好がかっこいいのがそんなに嬉しいのか? 前照らせよ、前を。角灯ランタンかざして悦に入ってるんじゃあないよってば。


 そんな好意や浮かれ様を、コトはただ面白そうに嬉しがって、一緒にはしゃいでいた。


 コトちゃん、マジ天使じゃね?


 俺、もしかしていらない子? そんなことをふと思ってしまった。


 お? 愚者よ、その手に持った一輪の花、俺にくれるのかい?

 泣いていいかな、俺。



♪♪♪



 よかったあ、みんな楽しそうに動き回って、色の戻った自分たちの世界ではしゃいでるみたい♪

 私はあんまり占いに関しては知らないので、一枚一枚のカードの名前も意味もわかんない。それでもいろんな風景、いろんな人たちに、いろんな興味を惹く物が描かれていてなんだかこっちまでうきうきしてくるよ!


 それに心なしか、というかあからさまにっていうか、う~んなんかみなさん、私見てない? 視線が熱っぽくてすごおいんですけどっ! ど、どうしよう。

 みなさんに色を取り戻してくれたの、あの灯り持ったおじいさんだからね? そりゃあちょっとだけ、ほんのちょおっと私も役立ったかもしれないけど。でも私はきっかけを作っただけだからね?


 私にくるっ♡ っておなかを向けてきたライオンさんをなで回して(うわあゴロゴロって聞こえてくる。けっこう野太いお声でちょっとこわい)、こっちに両手を広げて、賞賛? してくれてるみたいな偉い感じの役人さんに愛想笑いを返したり。な、なんか跪いちゃったりしてるよおっ、やめてやめてね? お願い。


 はあ。びっくりしたあ。まだそんな感じの熱をひしひし受けるけど、それよりもさっきの大事な言葉、パパに伝えなきゃ。聞こえてなかったみたいだからね。


「パパ? もどってきてえ。ちょっとちょっとおってば! さっきね、このおじいさんが教えてくれたんだけ」


「おおう! びっくりしたなあもう。あ、マジ天使だ、へへえ~~ってコトちゃんなあに?」


 ……パパ壊れてる? 大丈夫かな。いろいろあったからね、三年間もみんなと離れ離れだったし。あ、ポーチさんが心配してるって思ったら怒ってる? 朱色っぽくなってるよ、なんでなんで?


『まもってきたの わたしなんだからね ことちゃん ずるいよ ぷん』


「ごめんね、ポーチさんっ! そうだね、ポーチさんが大事にだあいじにしてくれてたんだもんね、ほんとにえらかったね、よおしよし♪」


 ポーチさんをいいこいいこしてあげる。あ、触ったの初めてだったかな? ポーチさんはふるふるしてたけど、落ち着いたみたい。ふう。妙に色っぽかったり、頬を染めたり、ぷんしたり。なんか、すんごおい可愛い♡


「どうした、コト?」


「あわわ、ごめんね、ちょっとポーチさんとね。えへへっ。そうそう、このおじいさんがね」


「隠者のじいさんね」


「隠者さん? 思いっきし目立ちまくりなんだけどっ? まあ、いいや。それでこちらのおじいさんがね、パパにだと思うんだけど、いつものキャッツ? に会いに行けって」


 キャッツって猫だよねえ。パパににゃんこのお友達? ん~いそうだな。パパなら。


「いつものキャッツ? そんなスナック行ったことな、げほんげほん。ああ、キャッツじゃなくて彼奴ね、きゃつ」


 なんかまずういこと口走ったような気もしないでもないけど、まあいいや。

 きゃつって彼って意味ね。パパは誰のことだか分かっているみたい。誰だろ、わざわざ灯りのおじいさん……隠者さんか。が伝えてくれることって?

 お読みいただき、感謝!

このくらいの量が、読みやすく、書きやすいかもです。


 次回ももしかしたら、今日中に投稿できるかもです。どぞよろしくヽ(^o^)丿

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