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暦2048年
ありがとぉーって
俺は日々感謝される男だ。
金銀豪華絢爛な鎧を着こんだ、高ランクと見られる冒険者パーティは
「ありがとう、先日は君のお陰で助かった」
質素な服の街娘さんは
「昨日はお世話になりました。その、もしよければ何かお礼を……」
恰幅の良い体型の、人好きよさそうな顔の貴族は
「君には礼を言っても言い切れん。礼と言ってはなんだが、ウチの専属にならんか?」
毎日毎日、いろんな人から感謝される。
人だけでなく、太古を生きる龍、静謐たる大精霊、群体である妖精からも礼を受けた。
毎日毎日、俺は感謝される。
――全く身に覚えはないが。
つたーわらーないー