脱出
そう言いながらでも、設置の方は最終段階らしい。
台は設置が終っていて、後は紐を下ろし滑り台みたくするだけだった。
背後が熱く感じた。
「おいおい。マジかよ」
本来は耐火や熱を通しにくい素材なのに、今は赤くなっている。
その赤くなっているところの周辺は……錆びついていた。
「原さん! 伸二! 後どれくらいで終わる!」
「まって。後布を落とすだけだけど、木にぶつからないようにするにはもう少し」
「急いでくれ。扉が持ちそうにない」
それと同時に、扉の一か所から炎が進行してきた。
「温度が上がっている気がするんだよ。一樹どうし――!」
振り向いた伸二が右下から向かってくる虹色の物に気づいた。
「おい一樹それなんだ?」
「炎だよ。理科室の爆発で。見たらわかるだろう」
「なぜ早く言わないの! この際しかたない。少し無茶があるけどこのまま投げるわ」
「ええええ、それはまずいっしょ! ひっかかったらどうするんだい?」
討論を始めてしまった。今がどうゆう状況なのかわかったるんだろうか。
「いいからさっさとやってくれ。天に召されるぞ」
「あ、うん、ごめん。一樹」
その後、木の揺れる音が聞こえたのち、原さんから声がかかった。
僕は急いで袋の中に入って下に降りた。他の二人はもう降りていたらしく、3メートル先にいた。
「ここって、昇降口の前じゃん」
「そのようね」
「さっきは見えなかったが、反対側に校舎があるな」
追いついた僕はそう言った。
ここは視力検査の記号で言う、空いたところ。その内側に昇降口がある。
「さっさと校庭に行こう。無事を知らせようぜ」