移動
「大丈夫だぜい。俺達と他の生徒は地震が起きたことで分断されてな。反対側にいるのさ。後で迎えに来るとか先生が言ってたが、無理だろうな」
ここに来る道は一つしかないので無理。
じゃあ、僕たちの脱出はと言うと、
「たしか、二階に救助袋かなにかあったよな。そこで待ち合わせってどうだ?」
「そうだね。そこで待ち合わせをしよう」
「じゃあ、また会う時まで。一樹さらば」
二人は遠ざかって行った。
僕は歩みを再開させた。
「とにかく急がないとな。あれに引火したら大変だぞ」
そして、理科室を覗いた。理由は簡単なことであれが充満していないかとゆう事の確認。
「よし。問題ないな」
そう言って通り過ぎた。
中の状況は電線がたれて、耳触りの音がしてたが特に問題が無いように見えた。
確かめてからまだ3分もたっていないのに、突如揺れが襲った。
今回のはさっきよりは小さく、けれど大きいことには変わらない。
僕はしゃがんで揺れをしのいだが、上から落ちてくる細かいものは避けきれない。
当たり前だが。
「おさまったか」
走らない程度に急いで歩いたが、後ろから爆発音が聞こえた。
「……」
その場で硬直していた。後ろを向く。ガラスが割れていて、揺れが来た。
「やばくないか」
視界の隅にちらつくオレンジ色のメラメラしたもの。
爆発しましたね。無造作に置いていたあれ……メタノール。
「やばいぞ。急がないと死んじまう。それに、この変な臭いは……硫黄か。まじかよ。火に硫黄ときたら決まっている二酸化硫黄だ」
毒ガス発生。急がなければならない。
丸型の校舎のおかげで、ここまで崩れなかったものの。火とゆうか炎からは逃げられないだろう。壁がまだ残っているし、壊れたことで酸素が供給され続けるし。
運動が苦手なのに大丈夫なのかとさえ思う。
「急がなきゃな。けど、足場が悪い」
さすがに、さっきまでは何もなかったが、爆発が原因でもろかったところが崩れた。
「くそ」
とにかく急ぐ。硫黄は吸い続けると、もといい、二酸化状態だから火山と同じかな。そんな状態のは最悪、気管支炎になりかねない。
「ここから無事で出れたら、理科の先生にぐちってやる」
とにかく急いで、救助袋のあるところまでいかないとな。
できるだけ、しゃがみながら走った。
すると目の前に大きな扉が見えた。
灰色の扉に緑の文字が書いてある。
『非常用救命口』
はて何に使うかわからないが、とにかく入った。
「まさか、あんだけ揺れたのにびくともしないのかよ」
入ると先着がいたらしく、確認すると伸二と原さんだった。
「よう、一樹。今セット中。それより、どうしたんだよ? そんなに慌てて」
「そうね。なんかあった? それと、ここに来る途中大きな音がしたけど」
二人は作業の手を止めずに聞いてきた。
「いや、それなんだが下手したら、天に召されるかも」
怖い。そう言ったとたん沸き起こった感情だ。
「どうゆう事だよ」
「まさか!」
原さんは分かったらしい。
「多分……思った通り。この階理科室あるだろう? そこが爆発したんだよ」
簡単に言った。それ以上は気持ちが耐えられるかわからなかった。
「そうなの……。一樹がそんなこと言うからには、本当なんでしょうね。伸二急ぐわよ」
「お、おう。後で聞かせてくれよ」