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災害

災害が起こった時の皆の考えたことは

 午後1時15分。

 次の時間が体育だったので校庭に移動する途中だった。

「あ……。しまった。ロッカーの鍵忘れてきた」

「私もだ。一樹先行って」

 そう言い残してクラスのある三階に続く階段を上がっていった二人。

「は~何やってんだよ。伸二はともかく原さんまでとはな」

 昇降口まではまだ少しある。

 体操服なので動きやすいのはうれしい。

 この学校は少し変わっていて、昇降口が二階にあり、一年の教室からは一回降りて反対の階段を上がらなくてはいけない。

 なので、一度めんどくさいので、靴を持ち近くの教室の窓から出たことがある。

 それを、先生に見られこっぴどく怒られた。放課後を3時間使った長い説教。

 本来は体育館を使ってやるのだが、今は耐震工事とかゆうやつで使用禁止。で、校庭でマラソンになっているのだそうだ。

「は~。体育館なら一直線なのにな」

 体育館までは、各教室がある階から行ける渡り廊下がある。これは、入口の混雑を防ぐためだ。そのため昇降口が上に……。

 そんな事を考えてたら突然それが起こった。

『緊急放送。緊急放送。今しがた大きな地……――ブツ』

 放送が入ったと思ったら急に切れた。

 同時に低い音が聞こえて、揺れが襲った。

「……!」

 僕は背中を壁にぶつけて気を失った。


 目を覚ました時、周りはいつもと違っていた。

「じ……し……んか?」

 まだはっきりとしない頭で考えた。

 周りの蛍光灯は割れ床に破片が落ちていた。スピーカーは剥がれて落ちていて、天井も崩れていた。壁は……ひびが少し入っているものの殆ど無傷で天井の一部を支えていた。

 僕が気を失ったのは窓の方だが、一番の問題の窓は……割れていない。

「ここの窓……すごいな」

 なんとか持ち直せたので呟いてみた。自分の身体は、擦り傷が少しあるくらいでそれ以外には外傷は無かった。体操着は破れていたけど。

「そうだ。原と伸二は!」

 二人は今どうしてるんだ。

三階に行ったはずだ。

地震などが起こったら、基本的非常口から逃げなくてはならない。

けど、その非常口のある方は、

「潰れていますな~」

 と言う状態だ。

 ここは一階なので上から物が落ちてくる可能性が高い。それでいて、今とれる行動は少ない。階段を上がるか、ここに留まるか、の二つ。

「どっちにするにも頭を守るやつが必要だよな」

 今ある道は左の階段、直進、右の保健室。

 今、三つの選択できそうな道を行った。

 けど、目の前と右は非常に嫌だ。行きたくない。今自分が立っているのは窓の真ん前だ。つまり、階段から一歩離れた左側。

「これじゃ探せないな。状況は絶望的――」

 机が降ってきた。廊下にぶつかる。木端微塵。

「……急いだ方がいいな」

 急いで探す。

 けど、前は電線が切れて何本も垂れ下がりショート音をぶちまけている。右の方は、さっきから何かが落ちる音がし続けている。

「いや~まいったな。しゃーない。このまま上に行くとするか」

 そして階段を上がって二階へ。

 三階に行こうとしたが、見事崩れている。多分落ちる音はここからしたんだろう。

 一階から二階までは踊り場がある普通の階段だが、三階に行くのは真ん前に一直線に延びている。そして、その下が保健室だ。

「三階には行けない……か」

 この学校は変な構造になっている。昇降口を中心にし、上から見ると視力検査のシーの形をしている。

 他にも階段はあるにはあるけど、もう一つの階段にたどり着けるかどうかわからない。

「上にいけないんじゃ、横か」

 左は壁だから右に行くしかない。

 この学校はシーの形をしていて、迷路みたくなっている。一年の教室に行く途中の二階は、特別棟と同じ役目を持っている。

「ちょっと待てよ? この先はたしか理科室が待ち構えていたはず……!」

 この学校には普通科なのにありえないものがたくさんあるらしい。実際のところ一度だけ授業で使ったが、メタノールとか言うものが普通に放置されていた。

「おいおいちょっと待てよ。たしか、あれ第四類アルコールに属してなかったか。こんな時どうす……!」

 上から瓦礫が降ってきた。

紙一重で避けることができたけど、頭が無事だっただけで、砕けた破片が襲ってきた。

「痛! 結構応えるな。こんな時だと」

 衣服が破れてところどころに血が滲んだ。

「だから言ったの! 危ないから気を付けてって!」

「悪い悪い。いや~びびったぜい」

 上から聞こえてきた声に反射的に叫んでいた。

「原さんと伸二か! そうだったら応えてくれ!」

「お! その声は一樹君かいな。無事でなにより」

「一樹大丈夫だった? よかった~。心配してたの」

 間違いない。原さんと伸二だ。

 無事だったらしい。

「そっちは大丈夫なのか?」

「こっちは大丈夫だよ。一樹の方こそ大丈夫なの?」

「こっちも問題ない。ただ、このまま行って合流できるかわからない。なんせ、この先理科室があるんだぜ。それより、他の人たちは?」

 そう、もしかしたら爆発するかもしれないのだ。もし、この近くに他の人がいたら大変だ。


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