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ありそうでない学園生活  作者: まともになりたい
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プロローグ

出来たのはいいけど……。文才がないせいで凄まじいことになっちゃってる……。

 日差しがまだ暖かいと感じる季節である四月。

 ある学校、秀生学園のある教室で放課の時間となっているにもかかわらず教室内はにぎやかだった。

 男子だけで固まっているグループ、女子だけで固まってるグループ、男女が混じってるグループの三グループに分かれており、男女が混じってるグループの中に机で寝ている男子生徒がいた。


「……zzz……」


 男子生徒は周りが騒がしい中でも構わずにすやすやと眠っている。

 周りもいつものことなのか少年が眠っているのにもかかわらず気にせずに楽しげに会話している。

 そんな中教室にがらりとドアが開く音がし、その方向を見るとそこには腰まである長い茶髪に黒のスーツを着た女性が男女のグループを見ていた。


「あ、さちねぇ。どうしたんですか?」


 男女のグループの中で少女、肩ぐらいまでの長さの茶髪の女子生徒が女性を見ながら疑問気に言う。


「教室内なんだから先生をつけなさい先生を」


 さっちーと呼ばれた女性は女子生徒の言葉にため息をつく。

 その後そのグループの近くまで近づき、持っていたプリントを眠っている男子生徒の近くに置く。


「……なんすかこれ?」


 プリントから離れた机にいる若干染めた後のある髪をしたおちゃらけた感じの男子生徒が隙間から見ようと首をのばす。

 しかしプリントの周りはその生徒以外の生徒が我先に見ようと密着するほど近くに寄っているため上から横からと頭を動かしている。その様子はまるっきり滑稽なものだった。


「……クラブの活動日をまとめたプリント、みたいですけど?」


 みんなが見終わったであろうタイミングで黒くやや短い髪をワックスで立たせている男子生徒が疑問気にそう言う。


「そう。それはある部活のスケジュール表よ」


 先生は自慢げに胸を張りながら言う。

 そのプリントには五月からやることを詳しく書かれており、内容も長期休暇には泊まりで海や山でのキャンプ、休日には日帰りで山に登ったり商店街などでボランティアなどと様々な場所を移動したりボランティアすることが書かれていた。


「……でもなんでこれを持ってきたの?さちねぇ部活の顧問なんてしてなかったよね?」


 女子生徒がプリントを見ながら不思議そうにそう言う。

 この先生、顧問は(生徒の面倒を見るのがめんどくさいという理由で)持ってなかったのだがこのプリントは何かの部活のスケジュール表であることは間違いなかった。


「ふっふっふ~。なんと、この表はさっき私が作ったのだよ!!」


 ドヤァ。と先生はその顔を無駄にイラッと来るようなドヤ顔で生徒たちを見るが皆慣れているのかそれを流してスケジュール表を見ていた。


「作ったって……何か部活の顧問になったんですか?」


 流石に気になったのか少し長め髪をワックスで整えてある黒髪の男子生徒は先生にそう聞く。


「そう。私は部活の顧問になったのだよワトソン君」


「誰がワトソンですか誰が」


 先生の言葉に男子生徒は突っ込みを入れるがそれも流して先生は言葉をつづけた。


「顧問になれば給料も増えるからやろうとは思ってたんだが……」


「金で顧問やろうとするなし」


「運動系は優勝目指して行かなきゃならないから面倒。文学系もやることはずっと一緒だから飽きてくること間違いなし。どれも俺、もとい私には合わなかったのだよ」


「ダメ人間思考回路のやらない理由ですね」


「そこで俺は考えたんだよ。自分が飽きない、かつそこまで面倒でない部活の顧問になるにはどうすればいいか」


「一人称俺のままですよさちねぇ」


「しばらく、そう、とても長い時間考えてたよ。数分考えてるうちに俺、私はピーンと来たんだよ『そうだ。ないのなら作ればいいじゃないか』と」


「全然長くないじゃないですか数分とか……」


「というかどこの団長ですか……」


 先生の言葉に次々と突っ込みを入れる生徒たち。それを流しながらまるで演劇でもやっているかのように大げさに振りまでつけて話す先生。

 それを周りにいる生徒たちはあぁ、またか。といったような諦めムードのような空気を出しながらその様子を見ていた。


「そして!!お、私は適当な生徒を用紙に書き込んでその部活を部活として立ち上げることに成功したのだよ!!」


「「「「「勝手に生徒の名前を使うな」」」」」


 演劇の最後のように決めポーズをとっている先生に見事にシンクロさせながら生徒たちは突っ込みを入れる。


「……大体話が読めてきた……。先生が勝手に決めたその部員ってのが……」


「君たちとあと数人だよ」


「……な~る」


 先生の言葉に苦虫を噛んだような顔をしたりもう苦笑いするしかないと言ったような笑い方をしている生徒が出てくる。

 もちろん全員嫌なわけではない。全員部活に入っているわけではないし家庭の事情で大変であるというわけでもない。放課後にはほぼ毎日こうやってみんなで話していたりするなど暇を持て遊んでいたりする。


「……それで、どんな部活何ですかこれ?スケジュール見るとワンダーフォーゲルのような活動みたいですけど……」


「よく聞いてくれた。この部活がやることは……」


 全員が黙って聞いている中。先生はもったいぶるように言葉を切り待つこと数秒。にやけていた口を開け、


「適当に書いたものだから特に決まっていない!!」


 訳の分からない言葉に数人がずっこけた。


「だが安心しろ。部活名は既に決まっている」


「……さっきのやり取りですっごく不安なんですが……」


 ずっこけなかった男子生徒の一人がため息混じりに言うがそれすら聞いていないのかいそいそと手に持ってた丸めてある紙を構える。


「部活名は……これだ!!」


 バサリ、と音を立てながら細長い紙は垂れ幕のように落ちていく。


「おお~。これはこれは……」


「ふむふむ……」


 何人かはその文字を見て納得したように頷く。その様子を見て先生は再びドヤ顔をするが皆はそれを流す。

 そこには無駄に達筆な字で『自然研究会』という文字が書かれていた。


「……えっと……」


「……なんだろ……。何故かこの先に不安を感じる……」


 ぼそりと呟かれた言葉にその教室にいた数人を除いた全員が頷くのであった。


……一応全員は出していない、よ?

……大丈夫だろうか(ガタガタブルブル)


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