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第13話 遺された名声、玉座からの招待状

 重厚な扉の前に気配が立った瞬間、部屋の空気が一変しました。

 現れたのは、王都の権威を象徴する二人の巨星だ。

 王都大教会大司教、ヴァルディス・フォン・ローゼンクロイツは、白銀の法衣を正し、胸の前で聖印を結んで深々と一礼しました。

「夜分に失礼いたします。急な王命により、このような形でお迎えすることになった非礼、どうかお許し願いたい」


 その横で、聖都ルーン・ヴィーク守護騎士団長、ゼルドリス・アイゼンガルドもまた、兜を脱ぎ、右手を左胸に当てて騎士の最敬礼を捧げる。

「お初にお目にかかる。ガリアス殿、セレスティナ殿、そしてイゾルデ殿……。あの尊き三人の血を引く若き英雄たちに、最大の敬意を」


 彼らの瞳には、目の前の若者たちの中に眠る「英雄の面影」を幻視するかのような、熱い羨望と畏れが宿っていました。

 村の守護職であった彼らの父ガリアス、司祭であったライナスの母セレスティナ、そして魔導士であり村の教師でもあったディオンの母イゾルデ。その血脈がこの部屋に集っている事実に、二人は震えるほどの感銘を受けていたのです。


「八日後、再び参ります。その時まで、この宿にて英気を養っていただきたい」

 ヴァルディスが、国王の御璽ぎょじが押された極上の羊皮紙を、恭しくテーブルに置きました。


「外出は清廉の開門(八時)から残光の境界(十八時)まで自由。滞在費はすべて国費。ただし……装備品の買い出しだけは控えていただきたい。諸君が手にするべきものは、市井の武器屋には並んでおらぬゆえ。食事もこの宿の至高の品のみを口にされるよう、女王が直々に手配されております」


 二人は再び深々と頭を下げ、嵐のような余韻を残して去っていきました。

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