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通常個体

36

ヒナタ達がいるのは43階層。下に降りる前に43階層の通常個体で戦闘訓練をしておいた方が良いという話になったので、結局下の階層に降りずにそのまま43階層で狩りをすることになったようだ。

 (この先、ロックアーマー。)

 (了解よ。私1人でいいわよね?)

 (うん。ヒナタ1人で十分。)

 (ん。それじゃあいくわよ。)

 そうしてロックアーマーのいる通路に飛び出すヒナタ。ロックアーマーの推奨討伐レベルは85。ちょうどヒナタなら単独でも倒せるレベルの魔物だ。スキルを使う事もなく、素の身体能力のみでロックアーマーと相対する。ロックアーマーは人型の魔物で、緑に光る体は強固な岩石で構成されているが、関節部分は繋ぎのため脆く、心臓付近にあるコアと共に弱点である。コアを狙うのであれば魔法で心臓部の岩石ごとコアを消し炭にするしかないので、ヒナタが取れる攻撃手段と言えば関節部分を攻撃する事くらいだ。ヒナタが近づいて来た事を感知したロックアーマーは、拳を地面に向かって振り抜く。ヒナタはその攻撃を後ろに下がって避け、ロックアーマーの動きを見る。どうやら素早さはその重い体のせいで随分遅そうだ。その代わり1発でも喰らえば致命傷にはなりそうだが。その動きを見たヒナタはすぐさまロックアーマーに近づき、先ほど同様に飛んできた攻撃に合わせて右腕を切断する。ロックアーマーが悲鳴を上げる。そして左手を横に振り払ってヒナタの顔面を潰そうとするが、ヒナタはしゃがんでそれを避け、逆に左腕までもを切断する。両腕を失って重量バランスが崩れたロックアーマーは体が後ろに持っていかれ、尻餅をつく。ヒナタはそこに馬乗りになり、その顔面と体の接合部分を真っ二つに斬る。胴体と足のみになったロックアーマーはすぐに消え、地面に魔石のみが残った。

「ふぅ。まぁ、余裕かしら。」

 そう言って右手の剣をしまって、汗をハンカチで拭くヒナタ。魔法障壁を作る用意をしていたキューネも両手を下ろして近づいてくる。

「お疲れ様。1人で倒すなんてヒナタ流石。グッジョブ。」

 そう言って右手でイイネマークを作るキューネ。ヒナタは少しドヤ顔を見せつけながら言う。

「まぁギルドの討伐推奨レベルを超してるからね。これくらい余裕よ。えっへん。」

 そう言って両手を腰にやるヒナタ。確かにギルドは安全面を考慮して少し余裕を持たせて推奨レベルを決定しているので、何度もジャイアントキリングを決めているヒナタにとってロックアーマーは容易な敵であった事に違いはないだろう。ヒナタを見ているせいで感覚がバグってくるが、やはりレベルはレベルなのだ。

「そんじゃ次ね。」

「うーんと。こっちだ。鉄殻甲虫がいる。」

「了解よ。」

 そうして歩き続けて数十秒、キューネが立ち止まる。どうやら鉄殻甲虫がいる通路の前まで着いたらしい。

 (こっちの方にいる。)

 (了解よ。)

 そうして鉄殻甲虫のいる通路に出るヒナタ。ロックアーマーに比べればかなり小さいが、その討伐推奨レベルは80なので、ロックアーマーより容易に倒すことが出来る相手だ。鉄殻甲虫は鉄の鎧のような甲殻を纏った甲虫で、剣で甲殻を傷つけるのは不可能に近い。もちろん、大きなレベル差があれば可能かもしれないが、今のヒナタでは不可能だ。そのため、鉄殻甲虫にダメージを与える手段としては本体にダメージを与えることが1番の有効策であろう。ヒナタは昨夜の魔物勉強会でキューネからロックアーマー同様、鉄殻甲虫についても散々教えられているので、もちろんこれについては良く知っている。そのため、鉄殻甲虫には近づくが、無理に攻撃を与えようとはしていないようだ。鉄殻甲虫の主な攻撃手段は足のうち2本に付いている鋏だ。ここだけ切り取ればザリガニのような形をしているが、必要以上に足が多く純粋に気持ち悪い。ヒナタは何度か鉄殻甲虫が鋏で攻撃する動作を見た後、上手くタイミングを掴んで足ごと両断する。攻撃手段を失った鉄殻甲虫に待ち受ける末路は決まってしまった。そのままヒナタは蹴りで鉄殻甲虫を裏返し、露出した本体に剣を突き立てる。そうしてまた魔石のみが地面に転がる。緊張感を感じさせない程度には余裕そうな様子を見せるヒナタ。やはりレベルの差は絶大だ。魔石を拾って拡張ポーチに入れに来たキューネが言う。

「今回も余裕だね。」

「でも見た目が嫌ね。虫みたい。ヒルよりはマシだったけど。」

「確かにゴキブリみたいな見た目してるよね。」

「その名前を出さないでちょうだい。Gの姿を想像しちゃうでしょ。」

 そう言って不快感を露わにするヒナタ。どうやら虫に対してはかなりの嫌悪感があるようだ。ワームくらい大きければマシなのだろうが、あれくらいのサイズで足がわさわさ動くのはどうしても気持ち悪いらしい。

「あと他に下層にいるのは?」

「ハスクだけだね。ちょっと待って。うーんと。こっちだ。」

 そうして歩き続け、ハスクがいる通路の前までやって来たヒナタとキューネ。

 (こっち。)

 (ん。)

 そうしてまた通路に飛び出すヒナタ。フードに包まれた中に顔があり、そしてそこから離れた所に手が浮き、体全体も浮いているようだ。顔は目が何個もあり、鼻と唇は人間のようだが、どこか気持ち悪さが残る顔立ちである。ヒナタを見つけたハスクは手を開きホーミング弾を放つ。ヒナタは飛んできたホーミング弾を剣で真っ二つに斬り裂く。ハスクが使う魔法はホーミング弾を放つ魔法と減速空間を作る魔法の二つだ。前者は追跡機能があるため、避けるだけでは駄目で、ハンマーで粉々にしたり、ヒナタのように剣で真っ二つにする事が対抗策として有効だ。ホーミング弾を防がれたハスクは再度ホーミング弾を生成すると共に、減速空間を自身とヒナタの間に作って攻撃を当てようとするが、ヒナタはもちろん減速空間の事について知っているので、一度走るのをやめて立ち止まり、ホーミング弾を撃ち落としてから減速空間を潜り抜ける事で減速空間とホーミング弾の板挟みを回避する。そうしてハスクはまたホーミング弾を生成しようとするが、今回はどうやら間に合わなかったようだ。真っ二つに斬られた体だけが宙を浮き、すぐさま魔石となる。

「なるほどね。こりゃ確かにあんたの魔法がないと大変そう。ありがと。」

 魔石を拾ってくれたお礼をキューネに言うヒナタ。

「そうなんだよね〜。変異体はホーミング弾の数もスピードも威力も通常個体とは比にならないくらい強いから、近づくのも結構大変なんだよね。」

「そうね。ホーミング弾に関しては数次第では何か対策を練らないと駄目ね。ずっと追いかけてくるんじゃ流石に避けるのにも限界があるし。あんたのバリアで防ぎ切れないの?」

「僕の魔法障壁はそんなに数を出せるタイプじゃないからね。ヒナタが取りこぼしたホーミング弾を全部撃ち落とすのは流石にきついかな。」

「うーん。悩ましいところね……」

 そうして案を出し合う2人だが一向に解決策が決まらない。やがて頭を動かす事が嫌になったヒナタが音を上げる。

「あー。もう、こんなところで悩んでても埒が明かないわ。体を動かしに行くわよ。体を動かしたら何か思いつくわよ。行きましょう。」

「うーん。まぁそうしてみるか。こっち。」

 体を動かしたからといって解決策が浮かんでくるとは全くもって思わないキューネだが、このまま立ち止まっていても解決策が見つかりそうにもないのでとりあえずヒナタの決断に付き従う事にしたようだ。

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