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ポルカとワドン

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ギャング制圧依頼を受けることに決定したヒナタ。まず都市オガララから都市オルカに向けた護送車に乗り込む。そして都市オルカで護送車を降り、他の制圧依頼を受けたシーカー達と共に依頼についてもう一度確認するため、責任者から話を受ける。

「ギャング制圧依頼担当者として都市から派遣されたタナベだ。よろしく。これからギャング制圧依頼の詳細について解説する。心して聞くように。」

 責任者一同を見渡すヒナタ。

(全員結構なおじさんね)

(お偉いさんだからね。仕方ないよ)

(そうね)

「数時間後にギャング達に向けて土地を明け渡すよう都市から声明を出す。君たちの役目は、その声明に従わないギャング達の制圧だ。まずはシーカー諸君を二つのグループに分ける。一つはギャング達を戦闘不能にする『制圧班』。そしてもう一つは戦闘不能になったギャングを都市牢獄まで運ぶ『回収班』だ。大部分の戦力は制圧班に当てられると思いたまえ。そして安全性を考慮して制圧班をさらに三つに分ける。複数のステータスブレイク者が確認されているA区制圧班。一人か二人のステータスブレイク者がいるかもしれないB区制圧班。そしてステータスブレイク者がいないと都市が判断したC区制圧班。この三つに分けて、ギャング達をなるべく安全かつ効率的に叩く。それぞれの班には三人ずつの連携行動を求める。これは安全性を配慮した上での都市の判断だ。誰と連携行動を取るかはシーカー諸君の情報端末に送った。確認して事前に連携を取っておいてくれたまえ。緊急事態が起きた場合は今から配るトランシーバーを利用してくれ。制圧本部専用回線を持つ個人用トランシーバーだ。作戦終了後には回収するため、紛失や故障の場合は依頼終了後速やかに申し出ること。以上だ。健闘を祈る。」

 配られたトランシーバーを拡張ポーチに入れるヒナタ。

(健闘を祈る、だって。頑張るのは私達なのに随分の上から目線ね)

(この依頼が終わったらダンジョンに行けるようになるから、それまでの我慢だね)

(そうね。我慢我慢)

 そう言って拡張ポーチにトランシーバーを収納したヒナタは、今度は情報端末を取り出す。

「えーと、私の仲間は……」

 その後、情報端末経由で作戦を共にする他の二人のシーカーと会うヒナタ。すると剣を持った一人が自己紹介を始める。

「よし、これで全員揃ったな。まずは自己紹介しようぜ。ごほん。俺はポルカ。情報端末から俺の情報を見て知ってくれてると思うが、一応レベル78の剣士だ。よろしく。」

「僕はワドン。弓士です、一応レベルは85です。よろしくお願いします。」

「私はヒナタ。剣を主に使ってるけど、一応魔法も使えるわ。レベルは83、よろしく。」

 ヒナタが紹介を終えると、ポルカがヒナタに疑問を投げかける。

「えーと。ヒナタはどんな魔法を使うんだ?」

「うーんと……目潰し、光魔法、回復魔法、バリア……そんなもんかしら?」

 するとよく分からないという表情を浮かべるポルカ。

「なんでそんなに魔法が使えるのに剣士なんかするんだ? 魔法一本でも食っていけそうだと思うんだが……」

「近くに寄ってきた魔物を殺すためよ。魔法しか使えないと、近付かれたらどうしようもないでしょ? だから剣も使ってるの。」

「お……おう?」

(戦闘狂か何かか? ……とんでもないな)

 どうやらポルカは理解できていないようだが、無理はない。普通、魔術師は前衛とパーティを組む。その貴重さから余程の前科がなければ相手に困ることは少ない。器用貧乏を避けるために魔法一本を鍛える方が普通で、ヒナタがおかしいだけなのだ。

「まぁ、とにかくよろしくな。俺とヒナタちゃんが前に出て、ワドンが後ろから攻撃するって感じでいいか?」

「それで文句ないわ。」

「うん、僕も賛成。」

「よし。ならパーティ編成的にはバランスは良さそうだな。後は、スキルを持ってるやついるか? 俺は持ってない。」

「僕も持ってないよ。自分の腕一本でやってきたから。」

「おう、そりゃかっけえな。ヒナタちゃんの方は?」

「私は一個持ってるわ。動体視力を含めた身体能力を向上させるスキルよ。でも使った後は倦怠感と眠気がくるから長時間は無理ね。使うとしても短時間。」

「スキルも持ってるのか? すげえな。」

(魔法も使えて戦闘系スキルも……至れり尽くせりだなこりゃ。羨ましい限りだ)

「うし。そんじゃお互いの情報共有は終わったし、後は雑談でもして士気を高めようぜ。」

「そんな事で士気が高まるの?」

「僕は別にどっちでも良いけど……」

「これから一緒に動く奴と会話をしとくって結構重要だぞ? いざと言う時に助けてもらえる確率が上がるからな。」

「うわ、何そのクズみたいな理由。」

「俺だって情が湧けば助けやすくなる。お互い様って奴だよ。」

「本当かしら? 怪しいわね?」

「本当だって。まじまじ。」

 こうした雑談は確かに案外重要だ。それはポルカの言った通り、いざという時にお互いを助ける気持ちが湧きやすいからだ。見知らぬ人を見捨てることは容易だが、少しでも知ってしまった人間を見捨てるのは勇気がいることだ。こういったさりげない会話というのは生存率に直結する。そうして雑談を続けた三人。長いように思われた待機時間は案外すぐに過ぎ去ったのだった。

「C班出動! 行ってこい!」

 その合図と共にC区域担当のシーカー達がギャング達の制圧に向かう。レベル構成としては大体レベル100未満のシーカーが多く配置されているようだ。比較的安全な地域だからということであろう。ヒナタ達は情報端末で都市に逆らったギャンググループに一通り目を通して、C区域で制圧作業を行なっている。

「ここであってるの?」

「ああ、ギャング組織『灰狼団』の拠点だ。都市の調査では一番強い奴でレベル70代。いくぞ。」

「暗い……」

 三人は灰狼団の拠点があるであろう建物の目の前にまで迫っていた。ポルカが一番先頭に出て扉を開けようとドアノブを回すが、開かない。

「クソ、バリケードかなんか作ってやがるな。」

「多分裏で待ち伏せしてるんじゃないかな。」

「それなら良い方法があるわよ。それはね……」

 灰狼団拠点。都市から立ち退き命令を受ける。組長のアルコは都市が制圧に来るであろうことを予期し、バリケードと銃をなるべく多く用意してシーカー達を待ち受けていた。

「お前ら! 灰狼団としての意地を見せやがれ! 俺らを舐めた都市とシーカー達に俺らの恐ろしさを思い知らせてやるぞ! いいか!」

「「「うっす、ボス。」」」

 そうしてシーカー達を待ち構えて数十分。どうやら外が騒がしい。いよいよ都市がスラム街に介入してきたようだ。それを察知した灰狼団の組員は銃を詰め込み、照準を扉の方へ向ける。この建物の入り口はこの一つしかない。すなわち、シーカー達がこの建物を制圧するにはこの扉を経由するしかないのだ。そして入ってきたシーカー達を一網打尽にする。そのはずだった。

 ギャング達が扉を睨み続けていたまさにその時、部屋が光に満ちる。

「おい! 誰だ急に照明を点けた奴は! 眩しいだろ! 消せ!」

「誰だ! 早く消せ!」

 そう建物の中が混乱したその隙を、ヒナタ達は見逃さない。ヒナタとポルカが足で思いっきり扉を蹴破り、建物の中に入る。ギャング達は目がやられてまともに対応することも叶わない。扉が開いて敵が見えたその瞬間――ワドンの弓が敵に当たる。一人が戦闘不能となった。しかし、それどころでは止まらない。ヒナタとポルカが左右に分かれ、目がやられたギャング達を次々戦闘不能にしていく。

「おい! 誰か、あいつらを殺せ! 早くし……」

 そう怒鳴り声を上げて果敢に姿を現した組員が、また一人ワドンによって戦闘不能となる。ギャング達のほとんどが倒されたその頃、ようやく目が回復してきたアルコ。目の前には女の餓鬼がいるようだ。目の前の少女を殴って逃げ出そうとする。しかし、届かない。逆にヒナタに顔面を殴られ、仰向けで気絶する。そうして間もなく、すぐに全てのギャングを戦闘不能にすることができたようだ。

「制圧完了。やっぱ魔法は偉大だな。こんなに楽に倒せたぜ。こいつらもこんなに武器を用意してたのに、可哀想に。」

「本当ね。まぁ悪いことしてたのだから自業自得だけど。」

 そう言ってギャング達の銃を集めて袋に入れるヒナタ。ポルカは回収班が回収しやすいように、武器や気絶した人を一箇所に集めておく。

「僕から制圧完了って本部に伝えておいた。これで回収班がすぐに来るはずだよ。」

「おっけ、サンキューな。」

「さっさと次行くわよ。」

 そうして別のギャング拠点に向かう三人であった。

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