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城 3
それまではぼくたちには家族がいて繋がりが残されていた。その頃から急に、政府はぼくたちの絆を恐れるかのように、関係性を断つことに躍起になり始めた。ぼくたちはバラバラにされた。家族や友だちと暮らすことも過ごすこともなくなり、それぞれが政府に居住エリアをあてがわれ移動させられた。今まで住んでいたエリアからはみなバラバラにされた上、立ち退きを余儀なくされごく狭い範囲の居住エリアに移されたのだ。住んでいた家や地域がどうなっているかを見ることもない。居住エリアと職務エリア以外に立ち入ることは禁止されているからだ。ぼくは親友のヤンとも家族とも引き離されそこから一人で生きることになった。それ以降、父や母がどこでどうしているのか未だにぼくは知らない。年齢的に考えたら、彼らはもう生きていない可能性が高いだろう。
それからは指示された単純な仕事を繰り返す毎日だった。ぼくはドームと呼ばれる工場で縫製作業をしたり、浄水場の管理業務をしたりした。そんなある日、ぼくに転機が訪れた。ラオ爺の助手をするようにという指示がきたのだ。