あーかい部! 39話 応援
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!
趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!
同じく1年、青野あさぎ!
面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!
独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河!
そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
「頑張れ。」
「え……あさぎちゃん?」
「頑張れ頑張れきはだ。」
「怖い怖い怖い怖い!?」
「やっぱりかぁ……。」
あさぎは何かを確信したようにガクンと肩を下ろした。
「今日はどうしちゃったのぉ?」
「いや、応援されると力が湧いてくるって、あるじゃん。」
「あ〜、少年マンガとかによくあるねぇ。」
「あれが理解できなくて。」
「で、今の奇行に至るわけだねぇ。」
「奇行?」
「何の脈絡もなく耳元で応援されても怖いだけだよぉ……。」
「そうかぁ……。でもあれだよね、耳元で甘い声で『頑張れ♡頑張れ♡』ってされると
「あさぎちゃんが汚れちまったぁ。」
「違うかぁ……。」
「う〜ん、あさぎちゃんは応援されて力が湧いてきた経験とかないの?」
「あると思う?」
「よし、この話は終わりにしよう。」
「きはだは?」
「人に応援されるような殊勝な人生送ってないやい。」
「哀しいなぁ。」
「応援されて力が湧くかはわからないけど、応援する側は熱い展開なんじゃないかなぁ?」
「ヒーローショーとか煽るよね。」
「そうだねぇ。」
「でもあれって悪者側からしたらとんでもない理不尽だよね?1対1か数的不利でも優勢だったのに……。」
「ヒトは集団で嬲るのが好きな生き物なのさ……。」
「醜いなぁ。」
「醜いねぇ。」
「あ、でもスポーツ観戦はどっちの応援席もすごい叫んでるよね。」
「初見さんが何言ってるかわかんないやつだねぇ。」
「選手の人も何言われてるのかわかってるのかな?」
「わたしなら『うるせえ!』って思うかなぁ。」
「さすが悪役。」
「いや、将棋とかチェスも静かに見守るでしょ〜?」
「アレで大声出してたら確かに『うるせえ!』ってなるなぁ。」
「あさぎちゃん、お主も悪よのう?」
「いえいえ、お代官様程ではありやせんよぉ、」
「「ゲヘヘヘヘ。」」
「え……なに?」
白ちゃん入室。
「あ、白ちゃん先生。」
「今ね?応援って邪魔だよね〜って話をしてたんだぁ。」
「うわ〜、わっる……。」
「「ゲヘヘヘヘ。」」
「それで悪者っぽく笑ってるわけね。」
「はい。」
「でもあんまり人の気持ちを無碍にしちゃダメよ?応援する人は自分の勝ちを望んでくれてるんだから。」
「白ちゃん先生は応援されるとバフかかりそうですよね。」
「ラスト5秒で逆転されそうだよねぇ。」
「プロレスラーじゃないんだから。」
「でも血みどろになって這いつくばってるときに声援送られると立ち上がれるでしょ〜?」
「あのねぇ……血みどろになって這いつくばるシチュエーションなんてないでしょ。」
「例えばのはな
「いい?喧嘩は血みどろになるまで長引かせちゃダメなの。1番強そうな相手だけをさっさと仕留めた方が早く終わるし、怪我人も減らせるでしょ?」
「お、oh……。」
「白ちゃん先生って、もしかして
「はあ!?ないないない!?冗談よ〜、オホホホホ!」
「「……。」」
「と、とにかく!応援されて邪魔に思う人もいれば、応援されて力をもらえる人もいるのよ。」
「白ちゃんは?」
「私はどんどん応援して欲しいかな?」
「へ〜、」
「さて、と。」
話に一段落つけた白ちゃんは自前のパソコンを開いてキーボードをカタカタ鳴らし始めた。
「……。」
「……。」
あさぎときはだは無言でうなづくと、
「「頑張れ頑張れし、ろ、ちゃん!」」
「「頑張れ頑張れし、ろ、ちゃん!」」
「そこだ!押せーー!」
「キーボードがなんぼのもんじゃい!」
「いてまえーー!」
「はったおせーー!」
「頑張れーーー!」
「白ちゃーーーん!!」
「うるせえ黙れ!!」
※応援するときは時と場面を選びましょう。
あーかい部!(4)
あさぎ:投稿完了!
ひいろ:今日は何の話をしたんだ?
白ちゃん:話というか……
きはだ:白ちゃんを応援してた
ひいろ:何それ面白そう
白ちゃん:面白がったら冷やかしなのよ……
きはだ:ねえねえモーラさん
あさぎ:お?ご指名とは嬉しいねえ♪どーしたきはだ!
白ちゃん:毎度毎度よく来るわね
あさぎ:そりゃあ『仲良く』ヤラせてもらってるからね
白ちゃん:まさか手ぇ出してないでしょうねえ?
あさぎ:ところできはだちゃんは〜?
きはだ:はいはい!白ちゃん先生って喧嘩強い?
あさぎ:強いかって?
白ちゃん:相応の報復は覚悟の上だろうな?
あさぎ:オネエチャン、ヤサシイ。ケンカ、ヤバン、シナイ。
きはだ:くっ……、
白ちゃん:あんまり人の過去は詮索しないことね。ほれシッシ
あさぎ:モーラさん壊れたおもちゃみたいになっちゃいましたよ……
きはだ:おかえり〜
あさぎ:ただいま
白ちゃん:壊れてるのはもともとよ
ひいろ:モーラさんと入れ違っちゃったな
きはだ:またまたおかえり〜
白ちゃん:本来は4人のトークルームなのよここ
あさぎ:ひいろは応援されたらどうなるタイプ?
きはだ:やっぱり『頑張れー!』って叫ばれたい?
ひいろ:ワタシは……大声で声援を受けるよりも、大事な人に短い言葉をかけてもらう方が勇気をもらえるな
きはだ:おやおやぁ?これは恋人か?恋人なのかぁっ!?
ひいろ:お婆ちゃんだよ
きはだ:ちぇっ
ひいろ:最近はよくおばさんにもお世話になっているけどな
白ちゃん:おばさん?
ひいろ:白ちゃん、知らないのか?
白ちゃん:え、なになに?
ひいろ:そういえば、ワタシからは話してなかったか
きはだ:もったいぶるねぇ〜、
ひいろ:おばさんっていうのは教頭先生のことだぞ
白ちゃん:ぎゃぁぁぁぁああああ!!!???
あさぎ:白ちゃん先生……?
白ちゃん:上司のご子息!!??
白ちゃん:死んだ……終わりだ
きはだ:白ちゃんが壊れたおもちゃみたいになっちゃった
ひいろ:すまない、おばさんといってもお婆ちゃんの妹だ。
あさぎ:たぶんそこじゃないと思う
きはだ:な〜るほど、だからひいろちゃんは白ちゃんにタメ語なんだねぇ
ひいろ:いや、それは関係ないぞ?
あさぎ:そうなの?
ひいろ:ああ、これは白ちゃんに頼まれてやってることだからな
白ちゃん:あああの、お嬢?あーかい部のこと、どこまで教頭先生に
きはだ:お嬢www
ひいろ:どこまでも何も、読者の1人だぞ?投稿された内容はひと通り見てるんじゃないか?
ひいろ:あとお嬢はやめてくれ
白ちゃん: くぁwせdrftgyふじこlp!!??
きはだ:壊れちゃったデスゥ……
ひいろ:何か不味かったか?
あさぎ:不味くはないけどモーラさんが私の後ろで転げ回ってる
きはだ:これは明日から学校が楽しみですなぁwww
あさぎ:悪魔か