【第四部(2)】(人間)「動画」
第四部 ゆっくり動画
霊夢「ゆっくり霊夢と、」
魔理沙「ゆっくり魔理沙だぜ。霊夢、天空のマンションから男が落ちたという事故は知ってるか?」
霊夢「知ってるわよ。連日テレビとか週刊誌が報じてるじゃない」
魔理沙「そうだな。実は、この動画のうp主がどこよりも詳しい情報を入手したんだぜ」
霊夢「それは、本当なの。是非聞かせて欲しいわ!」
魔理沙「それでは…」
二人「ゆっくりして行ってね!!」
-- 画面中央は【Caution!!】の文字に切り替わる --
魔理沙「ではその前に、例によってショッキングな表現をしている箇所がある。なのでそれらが苦手な方は、ここから先は注意して観て欲しいんだぜ」
霊夢「うーーん、連日話題になってるから、気にはなるんだけど…」
部屋には白衣を着た何人もの人物が、動画に見入っている。
霊夢「分かった。おっけーおっけーしてみるわ!」
魔理沙「ヨシヨシ。早速本題に入るぜ!」
魔理沙「まずは落下した男の人物像だが、霊夢は分かるか?」
霊夢「分からないわよ、超能力者じゃないんだもの。」
魔理沙「そうだな。その男はクロマティックという組織と対立してたらしい」
部屋の一同「「!!!!」」
霊夢「なにそれ。シロノワールなら知ってるけど」
魔理沙「いいよな、コメダ珈琲。まあ、それは置いといて…」
画面では、ゆっくり(饅頭とも呼ばれる)の掛け合いが続いている。この場にはエピソード28で登場した上官も同席していた。
上官「どこまで、漏れてるんだ?」
一同は首を振る。
上官「…では、あの天空にアクセスを仕掛けた者はここに居るか?」
一人がおずおずと手を挙げた。
上官「ほぉ。大丈夫だ。分かっている事を話してくれ。本当の事を話してくれれば命は保証する」
その部下によれば、阿久津(男)が書いていた隠しページの日記を読むことまで出来たらしい。通常はソースと言って、HTMLに詳しくないと、何が隠された情報なのかすら、分からないのだが。
上官「で。我々のセキュリティを突破しようとしたが、結果的に出来なかったという訳かね?」
コクコク。
………。
声をひそめて、
上官「これは誰も知らない話なのだがな…、あ。念のため、この部屋と廊下付近のセキュリティレベルと、ここに盗聴機器などが仕掛けられてないか、調べてくれ」
直ちにこの部屋の全員でそれらが調べられ、会話を続行しても大丈夫だと判明した。
上官「で、奴が優秀なAIをエージェントにしていたというのは皆も知っているだろう。それだけではない。彼は何かが起こった時の為に、自分の知恵を現世に留めておく【思念体】(しねんたい)まで残しておいたのだよ……」
テーブルに突っ伏すように、上官は唸った。
東方の解説動画は末尾の位置まで近づいている。陽気な動画の二人と比べて、暫くはこの部屋から誰も、立ち上がろうとはせず、妙な静けさだけが辺りを包んでいた。
(つづく)
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