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もはや都市伝説と化した最恐探索者、超有名アイドル配信者を救ってバズり散らかしてしまう  作者: コータ


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練習でダンジョンへ

 とあるスタジオで、シャムは同じ事務所の配信者達と撮影をしていた。


 事務所のプロジェクト自体が二周年ということで、盛大な催しを計画している。どういうわけか歌を作ってライブをしよう、などという話まで持ち上がっていた。


 しかし、シャムにとってはあまり興味のない計画である。雑談を盛り上げ、スタジオを沸かせるに留め、自分は歌やライブには手を出さないと決めていた。


 ようやく収録が終わり、控え室に戻ろうとしていた時、マネージャーから声がかかる。


「シャムちゃん! Dダンジョンの応募者の件だけど、いい人見つかったよ」

「え!? 本当ですか」

「うん。国内ランカーだけど、解散しちゃって暇になったから、是非参加させて欲しいみたい」

「ランカーかー! ラッキー! じゃあ面談させてください」

「オッケー! 土曜日ならいつでも大丈夫らしいけれど、シャムちゃんどうする?」

「行きます! あたしもその日はフリーですっ」


 日が経つにつれ、シャムはどうしてもディープダンジョンに挑戦したいという気持ちが強くなっていた。


 しかし、かのダンジョンに挑むためには、最低でも四人、最大でも五人という参加ルールがある。理由や原理は不明だが、その人数でなければ入り口から先に進めないのだ。


 強敵だらけの王道ダンジョンであり、難易度が高いだけに得られる力も報酬も段違いである。


 シャムは今以上の自分になりたかった。一番戦力として期待できる幽奈は、快く同意してくれている。しかし、希空の反応は微妙だった。


 静にも声をかけてみたが、彼女の実力は未知数。もしかしたら参加させたことで、大きな怪我を負わせかねない。


 それならば今回は、はっきりと戦力になり、比較的融通も聞きやすいサポートとして二人雇ったほうが良さそうだ。そう彼女は考えた。


 詰まるところ、自分と幽奈が組むということを第一に考えていたのだ。面談は土曜日、スタジオを後にした彼女は、着替えた後は鼻歌まじりに友人と遊びに出かけた。


 しかし、元仲間達が謎の死を遂げていることを、忘れたわけではない。バッグには折りたたみ式の警棒のような武器と、多くの探索用護身アイテムを隠し持っていた。


 さらに、薄いダンジョン用プレートも服の中に身につけている。


 事件の捜査は以前続いている。きっと犯人はいずれ捕まるはずだ。しかし、自分の身は自分で守らなくてはいけない。


 彼女は普段どおりの自分を周囲に見せながら、普段とは違う警戒の中で生きていた。


 ◇


「こ、こんにちは。今日はちょっと遠くのダンジョンに来てます。練習に来ました」


 幽奈はボソボソと喋った後、暗い通路をただ歩いていた。


:来たああああああ!

:突然の探索配信w

:待ってたよせんちゃん

:今日はどんな恐怖の戦いが始まるのか

:あれ? 今日は自分視点なの?

:お! 普通にカメラ視点

:ここどこのダンジョンだろ

:タイトル名が「練習」で草

:なんの練習なのー?

:こんちゃー!

:ちわっす

:せんちゃーーーーー

:あ!? 投げ銭できるぞ!

:すげーーー!

:収益化おめでとう!

:いよいよの収益化

:やったね

:今日も頑張ってー

:コラボ目前だし楽しみ!


 始まった時点で同接数はみるみる上がっている。幽奈はコメントと同接の画面はなるべく見ないようにしつつ、スマホ片手に進んでいた。


 さらに今回は、ダンジョン用のプレートメイルを身につけているのだが。


(えええ、サイズ間違ったかも。ちょっときつい)


 以前はサイズが合っていたはずだが、いつの間にか胸の膨らみは増していたようで、思いの外窮屈に感じてしまう。


(でも本番でこうならなくて、良かったかも。新しいの買わなきゃ)


 幽奈とシャムの相談は続き、ディープダンジョンに潜ることはほぼ決まっていた。しかし、今のような拙い配信では良くないだろうと考え、練習として一人ダンジョンに潜っていたのだ。


「えぁっと。今日は、練習で潜っています。あの、今度シャムちゃん達と、潜る予定です」


 すでにシャムは、幽奈とダンジョンコラボする告知をしている。周囲の期待が高まっているのも、学校にいる時ですら分かるほどだった。


 高まる周囲の期待にプレッシャーを感じつつ、幽奈はとにかく進む。すると、曲がり角から奇妙な魔物がやって来た。


 四足歩行だが、遠目から見てもかなり大きい。中心にある顔はライオン。その隣には鷹の顔があり、反対側にはクワガタのような顎を持つ顔があった。


 翼を持ち、さらに尻尾は黒蛇となっている。魔物の中でも有名かつ厄介なキマイラであった。


:え、え!? キマイラじゃね?

:いきなり?

:あ、もしかしてせんちゃん、かなり深くまで潜ってた感じ?

:こいつガチ強いんよな

:魔法も物理も強い、耐性も高い。何より速い

:ソロで倒すのはかなりキツい

:せんちゃんは普通にやっつけそう

:一人で大丈夫かな

:今までの姿を見る限り、せんちゃんは普通に即キルしそう

:もしかして、深層に潜ってから配信スタートしたの?

:これ深層モンスターよね

:うへえええ! 怖い

:あたしには無理

:ぎゃあああああ

:めっちゃ睨んでる

:どう戦うんだろ

:あ、向かってきた

:多分チーターより足速いで

:こええええええ!!


 獰猛なキマイラは、探索者のみならず視聴者の間でも有名な猛者である。


 かつてこの魔物に殺されてしまった探索者は数えきれない。それだけ恐ろしく、狡猾で残忍。おおよそ深層に現れる存在であり、どの配信でも緊張が伴うシーンとなる。


 だが、幽奈は平然としていた。そして、向かってくる血に飢えた牙を見つめているうちに、何かに気がついた。

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