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もはや都市伝説と化した最恐探索者、超有名アイドル配信者を救ってバズり散らかしてしまう  作者: コータ


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怖いのが苦手

「はぁーい! じゃあそれぞれ自己紹介していこうね。じゃあまずはあたしから、じゃーん!」


 軽快にひっくり返されたフリップボードには、以下の内容が書かれていた。主に探索者としての自己紹介と言える。


 ======

 名前:

 シャム

 血液型:

 A

 好きなもの:

 甘いもの、カラオケ、水泳

 嫌いなもの:

 ねずみ、G

 探索の得意分野:

 除霊

 回復魔法

 レイピア

 探索で苦手なもの:

 虫っぽい魔物が苦手

 Dダンジョンに挑戦したい?:

 機会があれば是非!!

 ======


 シャムのフリップボードが表示されると、視聴者達のテンションが大きく上がっていった。


:もうお馴染みだけど、やっぱ良いね!

:レイピア使いのヒーラーって貴重だわ

:分かる。ねずみは俺もダメ

:親の顔より見たデータw

:実家のような安心感

:シャムちゃんならDダンジョンだって余裕

:シャムちゃんのDダンジョン探索みたい!

:今度水泳配信してほしいです

:やっぱハイスペックだわ

:すげー

:回復魔法とバフ系って大事だよね

:シャムちゃんほどの実力者でもGは苦手か

:カラオケ得意ってだけでハイスペ

:ぜったい高校生活楽しい

:シャムちゃんと登校したい。もうおっさんだけど

:いいね!

:かっこいい

:Dダンジョンへの強い意志を感じる


「まあ、あたしの自己紹介はもうお馴染みって感じだよね。あはは! じゃー次は希空ちゃんいっとく?」

「ん、はい」


 続いて希空が、抱いていたボードをひっくり返す。


 ======

 名前:

 希空

 血液型:

 O

 好きなもの:

 お好み焼き、パンダ

 嫌いなもの:

 特にない

 探索の得意分野:

 剣、殴る、バフ

 探索で苦手なもの:

 ない

 Dダンジョンに挑戦したい?:

 まあ、機会があれば

 ======


:お好み焼き好きなんだ

:得意分野がとても分かりやすいです

:自分でバフかけれるってデカいよなぁ

:だからソロでも活躍できるんだ

:パンダが好きだったのかw

:パンダ情報は初

:Dダンジョンに挑むとこ見たい!

:やっぱゴリゴリのパワータイプ感ある

:シャムちゃんとは明確にタイプ違うよね

:Dダンジョンは人数制限で挑めないか

:質問! なんでいつもソロなんですか?


「あ、あたしも気になってた質問あったー! ねえ希空ちゃん、どうしていつもソロで潜ってるの?」


 シャムは画面を見つつ、気になった反応を拾っている。希空は足を組みつつ、面倒そうにしていた。


「別に。なんか合わない人多いからさ。一人のほうが気楽ってだけ」

「ふーん。あ、じゃあ気の合う人を見つけたら、パーティ組みたいって感じ?」

「どうかな。まあ、考えないこともないけど」

「そっか! じゃあ次はせんねこちゃんだね!」

「は、は、はい」


 幽奈は慌ててフリップボードをひっくり返したが、シャムは笑っており、希空は「あれ?」という顔になっていた。


「あはは! せんちゃん、上下逆だよ」

「あ、ごめんなさい!」


 幽奈のフリップボードには、下のような内容が書かれている。


 ======

 名前:

 せんねこ

 血液型:

 B

 好きなもの:

 石、花、ねこ

 嫌いなもの:

 怖い話

 怖い映画

 探索の得意分野:

 石を探すこと

 服を汚さない魔法

 探索で苦手なもの:

 配信が苦手です

 Dダンジョンに挑戦したい?:

 すみません。Dダンジョンが分かりません。

 ======


 ボードが表示されてから数秒後、コメント欄が賑わい始める。カードに目を通した視聴者達は、それぞれがツッコミどころを見つけてはコメントをしていった。


:なんか普通w

:石を探すの得意なのか

:配信苦手って探索界ではきついよね

:案外普通な感じ

:Dダンジョン知らないの?

:血液型Bなんだ! Aだと思ってた

:怖い話嫌いだったのか!

:せんちゃんが一番怖いのに

:怖い話嫌いなのに、一番怖いw

:ダンジョンのほうが怖いでしょ

:せんちゃんかわいい

:ってか魔法が得意は納得

:あの魔法ってオリジナル? 全然他で見たことない

:衣服汚さない魔法ってめちゃくちゃ便利

:あの爪とかチェーンソーとか、武器も独特過ぎるところ好き

:普通に剣とか使わないの?

:あの長い爪で貫かれるところ想像すると怖い

:石どのくらい集めてるんですか?

:ダンジョン歴は?

:ってか、ダンジョンクリアしたの前回が初なの?

:すっごい気になるプロフ


「おおーー! せんちゃん、リアクションすっごいきてるよ。あたしも気になってることあったし、いくつか質問しちゃおっかな。まず武器だよね? あの爪みたいなのとか、どこで手に入れたの?」


 幽奈は数秒ほど固まっていたが、どうにか頭を働かせて答えた。


「えっと。あれは、私が使いやすい武器を考えているうちに、こういうのが良いかなって作った物で。魔石を使ってるの。なんか剣とか槍も使ってみたんだけど、合わなくって」

「え? 自分で作ってるの!? 他には何があるの?」

「斧とか、糸とか、ハサミとか」

「は、ハサミ!? えーすっご! ってかそんなにあの袋に入るの」

「……うん。袋はまだまだ入る」

「へー! ちょっと見たいかも。石も見たいなぁ! 今度見せてよ!」

「……うん。今度持って行くね」


 興味を持ってもらえた。その嬉しさのあまり、千個を超える大量の石を持ちこむことを決めた幽奈の考えを、シャムはまだ知らない。


 ここで黙っていた希空が、つい我慢できず口を開いた。


「ところでさ。この前ダンジョンクリアしてたよね? 今までどのくらいクリアしたことあんの?」

「えっと……何度か」


 すると、無口でぶっきらぼうに見える少女が、ぐいっと前に出る。


「何度か!? って具体的に何回くらい? ってかどういう規模のダンジョン? 階層は? タイムは?」

「え、え、えーと」

「希空ちゃん! せんちゃんが困ってるでしょー。また今度お話ししようよ。それより、Dダンジョンってディープダンジョンっていう場所なんだよ。知らなかったんだね」

「うん」


 シャムは希空の質問の数々をさえぎった。ディープダンジョンについての話題に持っていきたいという意図が、実は配信前からあったのだ。


「ディープダンジョンって、世界でも稀に見られるとっても深いダンジョンなの。魔物も報酬も、階層の深さも別格なんだよ。まさに王道ダンジョンっていう感じなんだけど、不思議な仕掛けがあるんだ。どういうわけか、最低でも四人のチームじゃないと挑むことができないようになってるの」


 ディープダンジョンについての説明は、幽奈以外は誰もが一度は聞いたことのあるものだった。


 最高の報酬と最強の敵。そして一度でも消滅させることができたなら、一生の栄誉を得られると言われる。


 しかし、今の彼女達はいずれも、その条件を満たしていない。


「まあ挑戦資格は他にもあるんだけどね。とにかく、そもそも入口が開かなくなっちゃって入れないわけ。あたしも、前はギリギリ入れたんだけどねー」


 希空はそっぽを向いており、幽奈はきょとんとした顔のままだった。


(よし。ここで、アプローチしてみよ)


 シャムは静かに深呼吸をした。そして幽奈の顔を真っ直ぐに見つめる。


「幽奈ちゃんどう? 興味湧かない?」

「あ、うん。なんか、面白そう」

「でしょー! でも、幽奈ちゃんこのままだと入れないよ。それってすっごくもったいないことだと思わない?」

「ん……ん」

「だよねー! ちょうど私も今、フリーになっちゃったし。ね、良かったら行ってみない?」


 突然の誘いに、幽奈は目を丸くして驚いていた。

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