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もはや都市伝説と化した最恐探索者、超有名アイドル配信者を救ってバズり散らかしてしまう  作者: コータ


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コラボ雑談

 そして三日後のこと。


「えええ……シャムちゃん、ここって」

「今あたしが通ってるギルドだよ。じゃあ行こっか!」


 いよいよ当日となった雑談配信のコラボ。

 そう聞かされて向かった先にあったのは、日本有数のギルドの一つ【希望の船】だった。


 紹介制であり、よほどの信頼がおける探索者しか呼ばれないギルドとして、一部の界隈ではステータスとされている場所だ。


 そんなギルドに、今回幽奈も登録させてもらえることになった。


 光栄至極なことだが、それより幽奈にとって気になることがある。配信をするのに、どうしてここに来る必要があるのか。そこがよく分からない。


 さらには今日、シャムだけではなく、希空も雑談に参加することになった。人と交流するのが苦手過ぎる彼女は、すでに緊張で動きが固くなっていた。


 ぎこちない動きのまま、高級ホテルさながらの受付を通りすぎ、中に入ってエレベーターへ。四十五階まであっという間に上がりきったところで、開かれた先にはいくつもの部屋があった。


 そのうちの一室へ。中にあったのは配信機材が揃ったスタジオで、まるでバラエティ番組に使われそうなセットばかりだ。


「ここって配信もできるようになってるんだー。それに、あの人もこの好条件なら来てくれるんじゃないって思って」

「希空ちゃん、本当に来るのかな」


 あまり探索界隈のことに疎い幽奈には、この現場に来れる意味の大きさが分からなかった。程なくして、息を切らしながら金髪の女子がやってきた。


「おっすー。希空ちゃん、この前ぶりだね」

「マジで入れたんだけど……なんであたしを呼んだわけ?」

「言ったじゃん! 雑談配信のゲストだよー。人は多いほうが楽しいでしょ。ね、幽奈ちゃんも、そう思うよね?」

「え!? あ、うん」


 唐突に話をふられ、幽奈は慌てつつも同意した。また三人で集まることになるとは、想像もしていなかったけれど、嬉しくもある。


「まあ、ここの会員になれるなら、見返りとしては悪くないかな」


(希空さんもそういうってことは、凄いところなんだ)


 認識が周回遅れしている幽奈だったが、そんな彼女のことを待ってくれるはずもなく、雑談配信コラボは始まろうとしていた。


 ◇


「こんシャムー! みんなひっさしぶりー! シャムだよ」


:シャムちゃん、待ってたああああああ!

:こんシャムー!

:復活ダァ!

:シャム復活キタ!

:心配だったよー

:おかえりー!

:こんシャムうううう泣

:シャム配信復活

:今度はコラボ!?

:おおおおおおおお!

:コラボ相手マジ!?

:すげー!

:スタジオじゃん

:シャムちゃーん!

:元気になってる

:良かった!

:ずっと待ってた

:例のVIPスタジオじゃない?

:こんシャムー!

:投げ銭やべえw

:初っ端からロケット投げ銭

:やっぱシャムちゃんだよな

:強烈すぎる人気

:シャムちゃーん!

:おかえりー!


 久しぶりのシャムの復帰となり、ファン達が猛烈な勢いでライブに参加してくる。


 幽奈はその光景に圧倒され、人形のように固まるばかりだ。


「わあ! すっごい声援ありがと! あたしもみんなと早く会いたかったんだ。今とっても幸せ。それでね、実は今日の雑談配信なんだけどー……なんと! せんねこちゃんと、希空ちゃんに来てもらっちゃいましたー!」


 戸惑いつつ、最近急激にバズりまくっている渦中の探索者はぺこりと頭を下げつつ、シャムの隣の椅子に腰掛けた。


「希空です。よろしく」


 幽奈とは打って変わり、少々無愛想な空気を出しながら、彼女もまたシャムの隣に座る。


 今回のライブはシャムが中心であり、代わりに他の配信でコラボ出演する約束になっていた。


:せんねこちゃんだ!!

:きちゃ!

:希空もいるのかよw

:きたあああ

:ってか、せんねこちゃんと希空って一緒にいて大丈夫なの!?

:こんなコラボ実現させるってシャムちゃんエグすぎ!

:草

:まさかの三人

:たしか希空とのコラボは発表されてなかったよね

:おおおーーーーーーー!

:まさかの

:奇跡の三人

:可愛い

:シャムちゃんのコミュ力すげえ

:きちゃーーーーー!

:待ってました!


「そうそう! このコラボが実現した経緯っていうか、今まで何があったのか説明したほうが良いよねっ。えっと、まずあたしとせんちゃんのことなんだけど」


 シャムは幽奈とのいきさつを軽く説明し、自分が誤解しており、彼女はまったく危険な悪霊などではないことを説明した。むしろ命の恩人だったと。


 同時に希空が幽奈をダンジョンで襲ったことについても、すでに二人の間で解決していることを説明すると、視聴者の多くは納得した様子だった。


「じゃーそれぞれ軽く説明したんだけど、あたしはともかく、二人はまだまだ神秘のベールに包まれちゃってるよねえ」

「は? 何それ?」

「え、ええと」

「はーい! 自己紹介コーナー!」


 戸惑う二人をスルーしつつ、シャムは高らかに次のコーナーを宣言した。


 続いて、テレビ番組に出てくるようなフリップボードとペンをそれぞれ配る。


「ちょ!? こんなの聞いてないけど!」

「えぁっと、あ」

「こういうのはいきなりが楽しいんだよ! アドリブで好きに書いちゃっていいんだから。じゃあ制限時間一分でーす。はい、書いてー!」


 シャムの突然の無茶振りに不満を漏らす希空と、混乱している幽奈だったが、とにかくボードに書かれた質問にペンを走らせている。


「ったく、無茶苦茶なんだけど」


 文句を言いつつも、一番早く書き上がったのは希空だった。やがて一分が過ぎ、幽奈が慌てているところでタイムアップとなった。

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