クイーン・トライアングル
親友が失恋した。
相手は、ずっと片想いしていた幼馴染みの男の子。結局、片想いは実らず、その幼馴染みの男の子が意中の人へと告白する背中まで押してあげたらしい。
それが、どれ程苦しくて、しんどいことだったかは、私には想像しかできない。
だから、私にできることは話を聞くことだけ。やけ食いにも、付き合うけど。体重計からは目を背ける。
「あのバカ……」
ドーナツ屋さんで、友人の好きなものを。今日のお会計は、私が。
「わたしが、わたしの方がずっと」
「うん」
それは、慟哭だった。
「頑張ってドMに性癖を歪めたのに、あんなぽっと出のドS女に靡くなんて」
「どうしよう。 急に慰める気がなくなってきた」
え、なに?
親友と転校生は女王さまってことですか。
てっきり幼馴染みと転校生の三角関係と思っていたのに、実際は女王さまの豚の取り合いだったってこと?
「あいつの性癖を、おっぱい星人だったのを、脚派にじっくり時間をかけて調教したのに。 なによ、脚も胸もきれいな女がこの世に存在するなんて……」
「クラスメートの男子の性癖の遍歴なんて知りたくないんだけど」
性癖の調教ってどうやったんだ。
「ベッドの下の秘宝を、すり替えてきて……最初にどぎつい脚系の雑誌にすり替えて……」
「もしもし、お巡りさーん?」
「幼馴染みは窓から侵入しても、不法侵入にはならないから大丈夫」
「大丈夫じゃないよ!」
幼馴染みでも、刑法の適応はできるよ。
なんなら、そっちが不法侵入での立証が無理でも普通に窃盗だよ。
「所詮わたしみたいな雑魚Sは天然Sには勝てないの」
「モンハ○の武器っぽいね」
雑魚S、天然Sってなんだっていう疑問はもう無視だ無視。
「きっついなあ……」
私の方がきついよ、とは言えなかった。
それは、親友の心からの叫びで。
今にも張り裂けそうで。
「これまではさ」
「うん」
「あいつのベッドの下に、私が用意した秘宝があったのにさ」
「うん」
突っ込まないぞ、耐えろ私。
「昨日、窓から侵入したら、あいつのベッドの下に、シリコン製のおもちゃが増えててさ。 ああ、もう以前みたいに鞭だけじゃ満足できなくなったんだなって。 あの子のものに、なったんだなって……」
「どこで、実感してんだこのボケ」
そして、日頃からこいつら鞭を使ってたのかよ。
今は、あの転校生に調教されてんのかよ私のクラスメート(豚)。
「あーあ、どこがいけなかったのかなあ」
「すべて」
お前らの道徳、倫理、性癖全部だよ。
「もっと……もっと早く……」
「だまされないからね」
「足技極めとけばな……」
「しるか」
「あの子、スゴいんだよ。 わたしも、この人なら女王さまって崇めてもいいかなって、思っちゃって……、ああこの人には敵わないなって」
もう、あの転校生にあんたも貰って貰え。
「今はまだ無理だけど。 いつか、他の豚も良いって思える日が来るのかな」
「養豚場行ってきたら?」
あれから数年がたった。
私は高校卒業後、大学に進学。最近は良い感じの人も出来た。
そして、親友は。
『昨日、あいつに貞操帯送ったの。 スゴく喜んでくれた』
「順調そうで何より」
女王さま達と豚は良い感じらしい。




