呼び出された勇者たち
ここは体育会系の高校である国際体育高校。
特にスポーツに力を入れている学校であり、プロを輩出することが多かった。
そんな中夏休みだろうこの日に7人の学生たちが教室に集まっていた。
「夏休みってのにわざわざ補修に参加でんのだりぃなぁ…」
ぼやくように話すのは金剛力也。彼はボクシングをやっており、インターハイでも優勝できるほどの実力の持ち主だ。
ボクシングをしているというだけあって体は引き締まっており、身長は高く金髪で黒目のちょっと近寄り難い雰囲気の男だ。
「そんなこと言ったってしょうがないでしょ、りきちゃん」
それに応えるように返したのは、サッカー部の副キャプテンをしている木吉瞬。
茶髪ですらっとしたイケメンであり、クラスみんなと仲が良い爽やかな男子。
「というかー全然先生こないね!!!早くテストして帰りたいんだけど!」
元気でにぱっ!とした笑顔の女の子は八重愛。
まーだーまーだーと手足をバタバタさせている。
茶色の髪を三つ編みに結い眼鏡をかけた小動物のような雰囲気を持った彼女は弓道部で活動している。
「ほらほらそんな足パタパタしちゃだめよ?女の子なんだから」
嗜めるように言ったのは陸上部に所属している、高瀬百合。
陸上部だなんて言われなければ気が付かないほど白い肌に、耳にかけた黒髪が揺れた。
背が高く、整った顔立ちであ男女問わず人気が高い。
「でもそれにしても遅いですね、先生を呼びに行ってみましょうか?」
肌も髪の毛も透き通るように白く、目は赤みかがっている少年、伊勢雪彦。病弱ながらも、剣道部のキャプテンを務めており全国大会にもよく出場する。
他の二人は、疲れているのは机に突っ伏して寝ていた。
雪彦が、先生を呼びに行こうとしたところ教室の床が光っていることに気づいた。
「これは何の模様でしょう…?」そう口にするのと同時に
7人全ての意識が飛び、教室内から人の気配が消えた。
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雪彦が目を覚ますと、ベットのようなものに横たわっていた。
周りには見慣れない格好をした大人が複数人いた。
ここはどこなのか、そしてなにがあったのかを思い出そうとしても急に光が教室の床から放たれ、意識が暗転したことしか思い出せない。
そう悩んでいたとき声をかけられた。
「私はこのノア王国の国防大臣のシュートというものです。君たち7人は一体何者なのか、その他にも色々質問させてもらってもよいかな?」
その後情報を擦り合わせたところ、
・自分たちはなにかしらの手違いで勇者として呼び出されてしまったこと
・ここが全く違う異世界であるということ
・他7人も全員無事だが、一番最初にに目覚めたのが私だということ
・現状、私たちの世界に帰ることが現在不可能であるということ
が伝えられた。正直言って全くよくわからない状況であるとしかいいようがなかった。
そんな困惑を察してくれたようで
「君たちがいきなり違う世界にきたとか、勇者であるとか言われて困惑してしまう気持ちはわかる。こんなことになって申し訳ないと思っている。」
そういうシュートさんの表情には嘘偽りがないように思えた。
「だから君たち同郷の人たち7人で話し合ってみてほしい。君たちには勇者として戦う力があり、この国は滅びかけている。
こんな申し出をするのは情けないが助けてほしい。」
「…とりあえず、他6人と話し合ってみます。私もまだ情報を整理できてないので」
そう乾いた声で返すのがやっとだった。
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7人全員の目が覚め、この状況に対しての説明がなされた。
そして先程の言葉通りシュートさんは7人で話すための部屋を用意してくれた。
こんな状況でも同級生の顔を見れて少し安心した。
「なあなあ?これいったいどういう状況なんだ?雪。」
そう一番に声をかけてきたのは甲賀華。
寝ぼけているのか少しあくびをしている。黒髪のポニーテールに筋肉質よりの身体、目鼻立ちもはっきりしている女の子だ。
私とは幼馴染でまだ状況がよく飲み込めてないようだ。
各自この状況への理解の差があるので全員で今この状況について話し合うことになった。
話し合った最終的な結論、私たちは呼び出す方法があるのならば、帰るための方法もあるのではないかと考えた。
その方法を探るためにも、そして魔王と戦うというのはまだ決定せずとも王国の中で魔法やら能力と言ったものを鍛えることを決めた。
その旨を会議が終わったあとにシュート大臣のもとに報告したところ、明日国王陛下への謁見が決定されたこと
そのあと、魔王討伐の旅でサポート役に回る人との初対面、鍛えてくれるそうである騎士団への挨拶の予定があるということを告げられた。
「こんな状況で、申し訳ないが今日くらいはゆっくりしてほしい。明日以降またよろしく頼むよ。」
最後にシュート大臣がそう締め括ると
慣れない状況に未だ頭が追いつかず、その日は各自自分の部屋で休むことになった。
雪彦は慣れ親しんだベッドよりも硬く、ごわごわしたシーツに身を任せた。経験したことのない状況に心身ともに疲れ果てていたのだろう、すぐに睡魔は訪れた。
まどろみのさなか、これが夢であったらいいのに、なんてらしくもなく静かに祈る。
そのくらい一国を担うのは雪彦たちにとって重いことであった。
しかし、目を開けるとそこには変わらない殺風景な天井、宙ぶらりんな責任と現実がそこには広がっていた。