表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/22

三匹の冒険家

 何よりふんわりウェーブのかかった金色の髪が印象的な女性だった。尻尾はあるが耳が見えず、姿だけでは何の動物かは判断できない。服はTシャツに短パン姿で、キッシュやネザーラより幾分年上に見える。


「お前達、冒険家になりたいんだってな。チワから聞いたぜ」


「あなたは?」


「俺はラングール。分かりにくいから先に言っとくが、猿の亜種だ」


「そうですか。それで、何か用ですか?」


 突然の来訪者に、物怖じしない性格のキッシュが応対するが、ネザーラは怯えて後ろに隠れていた。


「いやなに、仲間を探してるって聞いてな。それで、俺も仲間に入れてくれねぇか?」


「え?」


 唐突な申し出に、二匹は呆気にとられる。


「いやあ。俺もついこの前、冒険家を始めたばっかりでな。俺と同じ様な奴がいるって聞いて、これは好機だと思ったんだ」


「そうでしたか。どうしましょう?」


 キッシュは、先に仲間になったネザーラに聞いてみた。


「う~ん……いいんじゃないかな」


 ネザーラの時も同じだが、お互い初対面の状態では直感で相手を推し量る他は無い。

 余談だが、そうした直感は肉食動物より草食動物の方が鋭いとされている。


「まあそう固く考えるなって。一緒に冒険してみて、もし相性が悪そうなら解散すれば良いんだし」


「それもそうですね。それでは、これからよろしくお願いします」


 こうして、猿のラングールも仲間に加わった。


「よし! 決まりだな。それじゃあメシ食いに行こうぜ」


「どうしてそうなるかな?」


 ラングールの唐突な提案に、ネザーラが思わず突っ込んだ。


(ご飯を食べに行く? つまりこれから狩りにでも行くのでしょうか?)


 キッシュは会話の意味を正しく理解できず、的外れな想像をしていた。


「お互いを知るには、一緒に卓囲んでメシを食うのが一番早いだろ? だからそこで、改めて自己紹介とかしようぜ」


「なるほど、確かにそれは良い案だね」


「だろ? それに金の事は気にするな。今回は俺が払ってやるから……って、どうした? さっきから(だんま)りで」


 ラングールは会話に入って来ないキッシュの方に向き直った。


「僕にはよく分からないのですが、ご飯を食べると言う事は、まず獲物を狩って来るんですよね?」


 ここでようやく二匹は、キッシュが会話に着いて来れていない事に気付いた。


「そっか、キッシュちゃんは街は初めてだったんだね。ここでの食事は他とはちょっと違っててね」


「まあ実際に行けば分かるって。それにしても、ナリはちっちゃくてもちゃんと肉食動物(ねこ)なんだな。あははははは!」


「もう、笑い事じゃないよ。最初捕まった時は食べられるかと思ったんだから」


「大丈夫です。仲間は食べません……よほどお腹が空かない限りは」


 その言葉に、ネザーラはにわかに焦りだした。


「ほら早く行こう! キッシュちゃんのお腹が空く前に」


 ネザーラに押される形で、三匹は同じ道を進み始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ