剣の秘密?
「こりゃたまげたな。本当に抜けやがったぞ」
今三匹は例の横穴の先、先程までとは違い、自然物っぽくない壁面が覗く場所にいた。
「ずっと足下を見てたけど、何があったの?」
「はい。地面の色と言いますか、質感に不自然な規則性があったんです。なので、何となく同じ所をぐるぐるしているような気はしていました」
「で。それを抜ける方法って、何だったんだ? 縦一列になって真っ直ぐ中央を進んで来たのが、その答えみたいだが」
「地面の感じは二種類あったのですが、その内の片方のみを通って進むのが正解のようです。誰か一匹でも間違った方を踏めば、周囲にいる全員が戻されるみたいなので、大勢だと進みづらいのはそのせいでしょう」
「へぇ。よく見つけたね、キッシュちゃん」
「僕もはっきりとは覚えてませんが、昔お父さんからそんな風な話を聞いた気がしたんです」
「ともあれこれで先に進めるな。とは言え……」
いかにも人工的なその通路は、少し進むと行き止まりになっていた。
「ここが終点なんだよなぁ。遺跡ってのは、ニンゲンが何らかの目的で作ったモノなはずなんだが、ここはどうにも分からねぇ」
『……ぁ……ぃ……』
「? 今何聞こえたような気がするのですが……」
「そうか? 俺には何も聞こえなかったぞ」
「これは、昔ニンゲンが使ってたとされる"遺跡語"だね。私も全部解読できる訳じゃ無いけど……何か、守護者、証明、確認、鍵、解除、みたいな事言ってた。どう言う意味だろう?」
ちなみに現在動物達が使用している言語は、この遺跡語をベースに様々な変化を経たものとされており、今やほとんど原型を留めていない。
突如聞こえた微かな声に、三者三様の反応を見せたその直後。行き止まりと思われていた正面の壁が音を立てて動き、奥に続く道が姿を表した。
「こいつは驚いた。まさか続きがあったとはな」
「とにかく、行ってみましょう」
そこはいくつかの区画に分けられた広い空間に、大量の棚がずらりと並んでいた。そして棚の上には、普段見ない多種多様な物が雑多に置かれていた。
「すごい……」
キッシュはやや興奮した様子で、単独で奥へと進んで行く。
「確かにな。これ全部遺物ってんだから、持って帰りゃすげぇ額になるぜ」
「ここは倉庫のようだね。長い間ずっとこのままだったのかな?」
「どうやらそのようです」
いろいろ見て回って落ち着いたらしいキッシュが戻って来た。
「へぇ。だったらもらって行っても大丈夫そうだな。持てるだけ持って帰ろうぜ」
「そうですね」
三匹はそれぞれ見繕い、持って帰る事にした。
「それにしても、なんで私達の時だけあの扉が開いたんだろう?」
「何か理由があるとしたら、やっぱ剣じゃないか?」
「う~ん……じゃあもしかしたら、他の遺跡でもあの剣で開く道があるのかな?」
「あるかもな。それを確かめるためにも、次の遺跡に行こうぜ」
「うん、そうだね」