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(二匹にとって)初めての遺跡

「ここが遺跡、ですか」


 街から歩いて約四半日。小高い山の中腹にある、洞窟のように見える横穴の前に三匹は来ていた。穴の大きさは、三匹が両手を広げて並んでもまだ余る程である。


「私も本で見た事があるよ。街から一番近い遺跡だね」


「ああ。ただ、元々すぐに行き止まりだから、遺物も何もあったモンじゃねぇけどな。逆に言えば大した危険も無いから、遺跡を経験するにはうってつけって訳だ」


「なるほど」


「それにここにだって、遺跡ならではの仕掛けとかもあるから、楽しみにしてると良いぜ」


 そう言いながらもラングールはどんどん中に入って行き、キッシュとネザーラもそれに続く。


「ラングールちゃんはここに来た事があるの?」


「ああ、ここともう一つは単独で行ってみた。何の成果も無かったがな」


「そうなんだ」


 穴は特に変化も無く、真っ直ぐ続いている。そして進むにつれて入り口から差し込む光は弱まり、暗くなっていく。

 そこでラングールは足を止め、手荷物の中からランタンを取り出した。


「あ、そっか。私やキッシュちゃんは平気だけど、ラングールちゃんは暗くなると見えないんだね」


「むしろお前らは見えるのか。じゃあ先頭はお前らに任せた方が良さそうだな」


「分かった。頑張るよ」


 そこからは、さっきまでとは逆にネザーラが前に出て、ラングールが追随する並びになった。ネザーラ同様、キッシュも暗さには強いはずだが、さっきからずっと足下を見ながら二匹に並んで歩いている。

 そこからしばらく進むが、特に変化も無く、同じ道が続いている。


「ずっと何も無いよ、ラングールちゃん」


「そうだな。実はもう、ここの仕掛けにバッチリ嵌まってるんだけどな」


「え? どうして黙ってたの?」


「それ自体は無害だからだ。ちょっと戻るか」


 ラングールに言われるがままに引き返すと、進んだ距離からは考えられない程すぐに外の光が見え始めた。


「あれ? これって……」


「これがこの遺跡の仕掛けだ。あのままいくら進んだとしても、実質全然進めていない」


「どうすれば良いの?」


「詳しい条件は俺も知らない。ただ一緒に入る数が多い程、先に進める確率は減るって話だ」


 いろいろ話し合う二匹の横で、キッシュは一匹、いまだに足下を見ながら考え事をしていた。


「数が多い程進めない……もしかして……」


「キッシュちゃん、どうかした?」


「この道の謎が分かったかも知れません。少し試してみても良いですか?」


「おう良いぜ。うまく行ったら、どんな仕掛けか教えてくれよ」


「分かりました」


 キッシュの指示の下、三匹は改めて遺跡の中に入って行った。

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