【魔王前世12歳の日記】
1月8日
ボクは今日、自殺を試みた。
兄ちゃんはボクの命を盾に、長い間、無理矢理に嫌な仕事をさせられていると知ったから。
ここは治療施設なんかじゃなかった。巨大な科学実験場だった。
8歳のあの日からボクが兄ちゃんを苦しめてたなんて、本当に情けない。
でも、兄ちゃんに見つかって泣かれてしまった。
絶対に自分で命を絶たないと約束までさせられた。
ボクはどうしたら良いんだろう。
3月10日
今日から施設の中で兄ちゃんと暮らせる。
でもボクは永遠に車椅子が確定した。
奴らに足首から下を切られてしまったので、ボクはもう歩けない。逃げる事も出来ない。
4月11日
今日からボクも兄ちゃんの研究を手伝う事にした。
兄ちゃんばかりに背負わせたくない。ボクも同じものを背負うよ。
だからどうか、1人でもう苦しまないでほしい。
ボクは兄ちゃんが大好きだよ。
9月28日
ここの奴らは異常だ。人を殺す事に何も感じていない。
常にボクたちに『これで何人殺せるか』を聞いてくる。
兄ちゃんは奴らの前では淡々としてるけど、毎日、夢にうなされてるのをボクは知ってる。
ボクは無力だ・・・。
10月6日
今日、生きた実験体が届いた。ラットでも充分に効果を測定出来るのに、わざわざ人間を送ってきた。
様々な理由で組織が片付けたい人間・・・って事かな。
その中にボクたちの両親がいた。
奴らは、知っていてわざとボクたちのラボに送って来たのだと思う。
でも、悲しいことに母は組織にボクを売った事を覚えていなかった。
それどころか、ボクの存在すらも忘れていた。
ほんと、ボクたちの傷を抉るのがうまい奴らで嫌になる。
11月17日
ボクたちは人殺しだ。間接的とはいえ、たくさん殺してきた。自分達の命と引き換えに、知らない人間の命を奪っている。
だからボクも兄ちゃんも死んだら地獄に行くのだと思う。
それでもボクは兄ちゃんと一緒に居たい。




