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ウナギは寂しいと死んじゃうんですよ!  作者: うな重(松¥1080
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湖の伝説

 『だうみ村へようこそ!~旅館周辺ガイド~』


 その1!だうみ村の歴史編


 だうみ村はその昔、湖の底にありました。底に水はなく平らで豊で農作物が盛んでした。ある時、火山が大噴火!さぁ大変!そこへ現れた神様に村はクルリと抱えられ緊急脱出!火山の脅威から逃れたのでした。

 それから村の跡のぽっかりあいた穴に水が溜まり、『だうみ』と言う湖が出来たのです。


 その2!だうみの伝説編


 『だうみ』と言う名前はこの地を守った神様の名です。蛇と湖で『蛇湖』(だうみ)と読みます。難読地名であることから基本的に平仮名での表記を使用しています。また、神様の姿が蛇に似たお姿であったことからこの名前がついたと現在まで言い伝えられています。残されている多くの絵から蛇ではなくドラゴンだったのではないか?という見方が現在は強いです。


 その3!だうみの決闘編


 『だうみ』はながらく神様に守られ現在まできれいな水を残してくれたとされます。その長い歴史の中でも一度だけ荒れたことがあると一部の書物に記載があります。


 隣の川とつながってしまった際に大鰻が仲間と共に大量に入ってきて、湖を占領してしまいました。


『だうみ』の神様はそれだけならお許しになったでしょうが、ウナギはあろうことか近くの村人を襲ったり、作物を荒らしたりしていました。このような化けウナギの伝承は日本各地で残されており、『だうみ』もその例だと言えます。


 さすがに怒った湖の神様はウナギに立ち向かおうとしますが、あまりの数に圧倒され撤退します。


 神様はしばらく様子をみて、隙を探すことにしました。そこで選んだのが『だうみ村』です。村から湖を監視して隙をついて鰻から湖を取り戻すことにしたのです。

 ですが、神様が村にいるとわかれば村は襲撃されるかもしれません。考えた神様は若い男に扮して村で働かせてもらうことにしました。

 駄賃も入らないので働かせて置いて欲しいという男に村人たちは怪しがりましたが、男は文句も言わず一生懸命に働いた為、すぐにうちとけました。

 

 ある日、村人は男の体調を気遣い休みを与えました。男は遠慮するそぶりを見せましたが村人の厚意に甘え部屋へ戻り寝息を立て始めました。


 半日たった頃、村人は飯の支度をすませ、男を起こしに部屋の前まで行くとまだ、寝息が聞こえました。よくよく聞くとその寝息が妙なのです。普通ならば息を吐く音と、すう音が交互に聞こえるはず。

 しかし、部屋からは吐く音しか聞こえません。村人は悪いと思いながらも少し覗き見ることにしました。


 すると、そこにはとぐろをまいた巨大な大蛇のような姿の生き物が寝ておりました。村人はそっと扉を閉め戻りました。驚きこそしましたが、村人は優しく尽くしてくれた男のことを思い、黙って受け入れることとしました。


 数分もしないうちに男が出てきて、事情を話し出しました。


 「申し訳ございません。騙すつもりはなかったのです。湖の鰻共を観察するのにここが一番よかったのです。最後のお願いがあるのですが、そこの刀をお借りできないでしょうか?今夜奴らと決闘します。見事打倒した暁には湖を奴らの血で真っ赤に染め上げてご覧に入れましょう」


 村人が刀を渡すと男は静かに礼をして出ていきました。


 翌日村人達が湖を見に行くと、一面真っ赤に染まり、沿岸には刀だけが残されていました。


 この日から現在まで、鰻は湖で確認されたことはありません。専門家は地底の熱が40度近くまで上がることがあり、鰻の生息に適した温度ではないとのことでしたが、村人たちは神様が現在も鰻から守っていると信じられています。


 当時の刀が現存しており、旅館に展示されています。ぜひ一度ご覧ください。

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