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ハインソード・サーガ  作者: 威風
第3章 ~王都炎上、決意のハインリヒ編~
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013 海の離島サンクト~宿泊学習、開始~

今週分です。


※忘れちゃった人の為。


我神団

・キッチェ=ルヴィ…………幼馴染の天然少女。

・レイド=レヴァノフ………元首席の天才魔術師。

・ルーシー=スカイバーン…ヤニ臭いメイド。

・ファング=コードレス……ヤンキー系の黒銀狼。

・グエン・ドウェン…………実直な青年兵士。


カレル暦206年、山羊の月。

それは暑い熱気を伴った、海の季節でもあった。



『う、うおおおお――!!』



蒼い水平線に、白い雲。


荷物を背負い、制服姿のまま砂浜に降り立った生徒達は、その光景に歓喜の雄叫びを上げる。


王国所有の海の離島――サンクト。


宿泊学習の場所へと選ばれたそこは、富裕層の多い貴族組であっても最高のリゾート地と評判の場所であった。


庶民出身の秀才組の感動は、想像に難しくは無いだろう。


天然自然の美しい光景は、普段背伸びしていたエリート志向の生徒達を悉く童心に帰らせる力があった。



そしてそれは――白銀の髪の神童も例外ではない。


例外ではない、のだが……。


「わぁ! 凄い光景だな、ハインリヒ?」

「お、おう……」

「見ろ! 海がずっと続いている! こんなの僕も初めて見たぞ!」

「……」


クロード=ディ=リアネス。


リアネス王国第一王子……王子であった筈の<少女>に、屈託のない笑みを向けられ、ハインリヒはぎこちない返事を返すのだった。


保健室の一件以来、クロードはハインリヒに距離を詰めていた。


その突然の変わりようには、周囲も度肝を抜かれただろう。


貴族組のクロード親衛隊は、手持ち無沙汰となり此方を遠巻きに見詰めるのみ。


また、ハインリヒファンの女子生徒達も何かを察した様子で、クロードが近くにいる時には決してハインリヒに近付かなくなってしまった。


その様子を見た一部の生徒達の証言を抜粋すると、


『同性同士……良い事だと思います! わ、私もきっと……ッ』

『まぁ、仲が良いのは良い事だよね……?』

『……どうでもいい』

『馬鹿な! 王子がハインリヒにッ!? これは何かの悪夢か!?』


――皆、驚きを隠せない様子であった。


「……」


溜息を抑えながら、ハインリヒは一人遠くで佇むアルマナへと視線をやる。


「!」


視線には気付いた筈だが、ソレを無視してアルマナはそっぽを向き、他の生徒達の方へと歩いて行ってしまう。


「あーあ……」


呟きながら、ハインリヒはクロード共に、他の生徒達と同様の宿泊施設へと足を向けるのだった。







学院御用達の豪華な宿泊施設に荷物を置き、水着姿となった俺達は、再びサンクトの砂浜へと足を踏み入れる。


学年別、クラス別へと並ばされる生徒達。

列を形成し終えると、前方に立った教師から長い話が始まった。


……聞き流して良いな。


そう判断した俺は、照らされる日射に汗を流し、自身の足元に視線を落とす。



……最近、アルマナの奴と気まずくなっている。



何が原因なのかは一目瞭然なのだが、解決策が思い付かない。


昔、キッチェの奴と喧嘩した時もそうだったが、どうやら俺は、こういった人間関係のトラブルに弱いらしい。


はぁ……面倒くさ……。


ただ、嫌われるだけなら良いんだ。

こっちも気にせず無視をすれば良い。


それで問題は解消出来る。


俺の才能をやっかみ、勝手に嫌っていった人間だって、村の中には結構いたしな。


だが、今回はそれとは違う。アルマナとは多少なりとも縁があり、世話をして世話になった間柄だ。


少々自惚れはあるかも知れないが、奴が俺を本気で嫌ったとは思えない。俺だってそうだな。別にアイツは――嫌いじゃない。


問題があるとすれば、やはりクロードの事だろう。


俺はアルマナの味方をする為に、この学院へとやってきた。

そういう契約なのだ。

それなのに、俺はアイツの競合相手と仲良くしてしまっている。


仲良くする=アルマナへの裏切り。

そんな図式は有り得ないと、俺自身は思っていたのだ。


敵を知り、己を知れば百戦危うからず。古代の言葉にもある通り、交流する事自体は悪い事ではないと俺は思っていたのだ。


だが――相手も同じ事を思っているとは、限らない。


「――イン!」


結局の所、俺はアルマナの事を良く知らないんだと思う。


知らないからこそ、すれ違う。


そこまで分かっていながら、しかし、どう対処して良いのかがまるで分らない。


――経験の薄さが、痛いな。



「――ハイン!」


「……え?」



そこまで考えた所で、俺は自身の名を呼ぶ声に――顔を上げる。


それは、懐かしい声だった。



「……キッチェ?」



遠く、砂浜で。


ぶんぶんと手を振る幼馴染の姿が、そこにはあった。




「お前、何で此処に――ッ!?」




……あ。


言ってから、しまったと思うがもう遅い。


中断される教師の話。

学院中の注目を浴びた俺は、咳払いをしながら列へと戻る。


――くっそ……ッ!! 恥搔いた……ッ!!


――キッチェの奴めぇッ!!


理不尽な怒りを抱きながら、俺は声のした方角へとチラリと視線を送る。


そこには、キッチェだけではない。



レイド……何だその海パン姿。


グエン……うわ、一人で働いてる……相変わらず真面目だ。


ルーシー……水着姿は新鮮だな。


ファング……暑さに弱りきってやがる……。




傭兵団――我神の面子が揃っていた。



何かの任務という訳では無いだろう。

装備を見れば分かる。



――全く、アイツらは……。



内心呟きながら、自然と口角が上がってしまう。



俺も大概――単純だ。



山羊の月……【や】ぎ=8月。

国鯨の月……【く】にくじら=9月。


意外と適当です。

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