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ハインソード・サーガ  作者: 威風
第3章 ~王都炎上、決意のハインリヒ編~
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003 第一印象は大事です


「えーっと……ハインリヒ=セイファートって言います。頭が良くて喧嘩も強いです。地元じゃ神童って呼ばれてブイブイ言わしてました。よろしくお願いします」


適当な自己紹介の後、自分の席へと着く俺。


学園生活なんて初めてだからなぁ……勝手が分からん。


今の紹介で良かったのだろうか? 少し不安だ。

何だか、周りの生徒の反応も静かだし。


「それでは、仲良くやる様に」


言い残して、担任の冴えない教師は教室から出ていく。


その瞬間――


「ねぇねぇ、ハインリヒ君! ハインリヒ君って彼女いるの?」

「睫毛長くない? 顔も整ってるし、マジイケメン!」

「地元って何処出身なの!?」

「良くこの学院で飛び級なんて出来たわね!?」

「勉強が得意なのかしら? 教えて欲し~い!」



生徒――主に女生徒からの熱烈な歓迎を受け――俺は。


「……お、おう」


若干、引いてしまうのだった。







授業を受けながら周囲の生徒を観察し、分かった事がある。


このクラスは、大まかに二つのグループに分けられるのだ。

一つは、貴族グループ。

家柄の良い彼等は、決まって貴族とばかり話している。

女子の方は俺に話し掛けて来たように、まだマシなのかも知れないが、男子の方は選民意識が強いのがはっきりと伝わる。


もう一つは、秀才グループ。

家柄では無く、実力で入学してきた生徒達の事だ。

上昇志向が強く、貴族の生徒に比べて余裕が無い様な印象。

何方かと言えば俺と似た立場だから、仲良くはしたいのだが……此方のグループからは誰一人話し掛けて貰っていない。


彼等のグループの中にも、それぞれリーダー格の存在はいる。


それが――クロードとガルシアだ。


貴族派のリーダーがクロード。

秀才派のリーダーがガルシア。


そうして、一人孤立しているのが、アルマナだ。



正直意外だったのだが、アルマナの奴……友達いないのな?



まぁ、周りを見て見れば癖の強い奴ばかりだし、同じ教室に王位を争う兄二人がいるのだ。そりゃ、おいそれと友人なんて作れないよな。分かっちゃいるが――コイツはキツイ。


この学院にアルマナのサポート役として来ている以上、このぼっちの状況を俺が解決しなきゃいけないって事だろう?


いやぁ、難しい。


正直、何も手が思い付かない。


ま、暫くは普通に学校生活を送って、周囲と溶け込むしかないな。







ハインリヒが学院へとやってきて、一週間が経過していた。


貴族の女子にチヤホヤされる彼を見ながら、同じく貴族である男子生徒達は彼に対し、反感を抱いていた。


「気に入らねぇな、ハインリヒ=セイファート」


男子の一人が、声を上げる。


「ちょっと顔が良いだけだぜ? 女共も馬鹿だよなぁ? あんな庶民に熱を上げちゃってさ!」


「お前のお気にのローズもアイツにお熱だしな?」


「あぁ!? そういうお前だって、許嫁のケイトを取られて悔しがってただろうがッ!!」


「なッ!? それを言うかお前ッ!!」


「はいはいはい、止めろ止めろ!」


暴れそうになる生徒を、制止させる貴族達。


「……やっぱ、クロードに言った方が良いんじゃないか?」


小説を読みながら、一人の貴族がそう呟く。


「俺達みたいな下級貴族、相手にされる訳ないだろう?」

「そもそも、親衛隊の連中に阻まれて、近づけねぇし」

「貴族と言っても、所詮俺達は木っ端よ木っ端」

「何か、聞いてたら悲しくなってきた」

「……俺も」

「っていうか、今はハインリヒの話じゃねーの?」


「そうだ――ハインリヒだ! あの野郎は……ッ!」



「俺が――どうかしたのか?」



『……ッ!!!』



男子達が声に振り返ると、そこには大量の女子を引き連れた白銀の髪の少年――ハインリヒ=セイファートの姿があった。


「どうしたのーハインくぅん?」

「いや、ちょっと名を呼ばれた気がしてな」

「ピエール達じゃん、気にしなくて良いんじゃない?」


『うぐ……ッ!』


その、あからさまな差別に、ぐさりと胸を抉られる男子一同。


そんな時だ――


「おや――この本は?」

「あ……」


男子生徒の一人が読んでいた小説を、目敏く見付けたハインは、彼からその本を受け取りその頁を捲る。


「これは……ジュスティーヌ=モンティの傑作だな!」

「――!」

「じゅすてぃーぬ?」

「何それ? 知らなーい」


「多くは恋愛小説を書く作家の作品だ。一世代前に流行した名作。こんな本を読んでいるという事は、君は随分と博識な人なんだな?」


「え、いやそんな……お袋が読んでただけだし……」


「そうか。受け継がれる物があるっていうのは、良い事だよな。君達も知らないのなら読んでみると良い。彼、センス良いよ」


『へぇ~~ッ!!』


ハインリヒの言葉に、男子生徒を見直す女子達。


中には彼へと「面白い本があったら貸してよ」と、交渉しだす生徒まで出ていた。


さっきまでとは打って変わって――モテモテだ。


その様子に、ごくりと唾を飲み込む男子達。



「……おや? よく見れば君のその制服のボタン――」


「え!?」


ハインリヒの品評会は、こうして更に続いていく……。



「有意義な話が出来たな! それじゃ、また!」



言って、女子を伴いながら去っていくハインリヒ。


残された男達は思った。



『アイツ――めっちゃ良い奴じゃんッ!!!』



――と。




経過日数7日。


ハインリヒ――人心掌握率30%


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