表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハインソード・サーガ  作者: 威風
第3章 ~王都炎上、決意のハインリヒ編~
56/185

001 ハインリヒ、学校へ行く


――夢を見た。



それは、何度も何度も繰り返し見た、私の終わり。


生まれてきた時から私は、自身の死を予見していた。


燃え盛る王都。

積みあがる亡骸。


近付く影は――私の、死だ。



漆黒の暴虐。



その影が持つ、禍々しき神剣に――私は貫かれる。



夢のヴィジョンはそこで、いつも終わりを告げる。

抗う術など何もない。


――予見は絶対だ。


……けれど。



『ありがとよ、アルマナ……』



深紅の髪色をした親友が、私に向かって言ったのだ。



『――私の代わりに、諦めないでくれて、ありがとう』



私の顔を正面から見据えて――レシィは私にそう言ったのだ。


馬鹿ね……。


そんな顔で、そんな事を言われたら。

私だって、運命に抗いたくなるじゃない。



鍵はきっと、あの少年が握っている。



「まずはそうね――王位を得る事から始めましょうか?」



言って、私――アルマナ=ディ=リアネスは、ベッドから立ち上がるのだった。







カレル暦206年。

初月、黒土の曜日。



俺――ハインリヒ=セイファートは、何時もの様に傭兵団本部の団長室で執務をしていた。


現在、本部にいるのは俺一人だけ。


シュチャや子供達はテレサと一緒に孤児院にいるし、キッチェの奴もケーキ屋で働いている時間だ。


プレアの奴は……最近忙しいのか、ちょくちょく姿を消している。


傭兵団の活動?


ああ、勿論それはやっているさ。


今もザンスが持ってきた、討伐依頼をこなしている。

今日は2チームに別れさせてみた。


Aチームは、ファングとレイド。

Bチームは、ルーシーとグエン。


それぞれBランク級の魔物を討伐、素材を剥ぎ取りに行かせている。


一人余った俺は、溜まった書類を片付けているという訳だ。


面倒だが、これもまぁ団長の仕事だ。


一息を吐き、手元に用意していた果汁水入りのグラスを傾けていると、執務室の扉がノックされた。


――もう、帰って来たのか?


流石に早過ぎる様な? まぁいいか……。


「どうぞー」


机の上の書類に視線を落としながら、俺は適当に返事をする。


すると――


「よおハインリヒ! 久しぶりだなぁッ!!」


「……レシィ?」


満面の笑みを浮かべながら、団長室へと入ってくる赤い少女。


レシィ=クリムゾン。

王都にいる筈のこいつが、何でポンペイに?


疑問に思う俺に、レシィの背後にいた青い少女が、咳払いをする。


「アルマナ……お前もか」

「正確には、私が貴方に用事があるんですけれどね?」

「じゃあ、こいつは?」

「ただのオマケよ」

「おい!?」


ツッコミを入れるレシィに、くすくすと笑うアルマナ。

相変わらず仲の良い事で。


「……レシィには、私の護衛として付いてきて貰ったの」

「まぁ知ってる」

「なら、一々言わせんなよ……」


疲れた様に肩を落とすレシィ。

可哀想だから、そろそろ弄るのはやめてあげよう。


「で、本題は何だ? 俺に何の用がある?」


「ハインリヒ=セイファート。傭兵団【我神】の団長である貴方に、正式な依頼を持ってきました」


「……」


「父――シャルル=ディ=リアネスが、己の後継者を探しているのは知っているでしょう?」


「――ああ、シャルル王も高齢だしな。自身の子供から次の王を選ぶとかいう……アレだろう?」


「本来であれば、次期王は正室の息子であるクロード兄さんに決まっているのですが、父は自身の子供に平等な機会を与えようと考えています」


「……平等、ねぇ」


クロード=ディ=リアネスにしてみれば、不愉快な事だろう。

思わず、心中を察してしまう。


「王位を継承する者は、優れた者でなくてはならない。つまり、私達が王立学院を卒業する、今年が一番の勝負なのよ」


「卒業……? あー、そういう事か」


コイツ、飛び級してるのか。

兄と同じ土俵で戦う為に。


王立学院というのは、基本的に14才から入学し、18才までに卒業するのだが――俺と同い年のアルマナは今年で16才の筈だ。


つまり、二年も授業をすっ飛ばして、年上の連中としのぎを削っていたという訳だ。


普通の学校ならまだ分かるが、王立学院と言えば、リアネス中の俊才達が集まる名門だぞ?


よくやるなぁと、思わず感心してしまう。


「――そこで、貴方の力を借りたい」


「……?」


……え、何処で?

……今の話の流れで、俺が介入出来る余地なんて、あったか?


「ハインリヒ=セイファート。貴方には学院の中での私のサポートをお願いしたいのです。勉学での家庭教師の様なものから、課外授業での私を立てる様な行動、妨害を行う他の王族派閥の抑止になって欲しいの」


「……」


それってつまり……。


「俺に――学校に通えと? ……そういう事か?」


俺の言葉に、アルマナは頷く。


「期間は一年」


「……」



「貴方には――私と一緒に、王立学院へと通って貰います」


「……拒否権は?」


「無いわ」



……なんでやねん。


思わず、心中でツッコミを入れる俺であった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
アズワルド世界地図↓
html>
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ