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ハインソード・サーガ  作者: 威風
第2章 ~傭兵団結成!城塞都市の攻防編~
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018 戦闘準備~傭兵団出撃す~

俺、ハインリヒ=セイファートは馬車に揺られ、王都を後にした。


レシィとの決闘後、やるべき事は終わったと、すぐに王都を去ろうとした俺だったが、アルマナや当のレシィの希望により滞在日数を三日に増やし、その間に王都観光を済ませたのだった。


初めはどうかとも思ったが、闘争心が薄らいだレシィとは案外ウマが合い、お互いキャッキャと遊び回ってしまった。


アルマナの奴も、意外と気さくな奴だったし。

結局、最後までタメ口を聞いても怒られなかったな。


王都を去る頃になると、ザンスの奴が俺の泊まる宿屋へとやってきて「また来て欲しい」と言ってがっつり握手をしてきたな。


あれは少し嫌だった。


馬車に乗る頃には、レシィの奴が「私も行きてぇッ!」と言って、無理やり同乗しようとして、アルマナに腰を引っ張られて怒られていたな。



「フッ……」



本当、馬鹿な奴。

だが、来た時に思ったよりも、ずっとずっと楽しめた。


気が向いたら、今度はキッチェも連れてこよう。


俺がそう思っていると……。



「随分、嬉しそうですね。先生!」



と――目の前に座るレイド=レヴァノフが俺に声を掛けてくる。



「……その、先生ってのは……どうなんだ?」


何度聞いても聞き慣れない。

そもそも年上の、しかも男に先生呼ばわりされても嬉しくない。


例えばこれが――リィンの様な美少女ならば――



『ハイン……先生♪』



うん。こんな感じだろう。


いけるいける。全然良いわ。むしろ明日からずっとこれで。

――と、頼みたくもなる。



「先生は先生ですから! それ以外に形容しようがありません!!」


「……そう」


一気に現実に引き戻されながら、俺は内心溜息を吐く。

まぁ――悪い奴じゃないんだけどな。







馬車に揺られ、十時間といった所だろうか。

然したる問題もなく、城塞都市ポンペイが見えてくる。


だが、その入口には違和感があった。



「――門が閉じている?」



夜半であるならばまだしも、何故こんな朝に?

疑問に思いながらも御者に頼み、入口前へと馬車を進めて貰う。


すると――


「止まれい!」


門の監視塔から、野太い声が上がる。


「そこの馬車、何用だ? 目的と身分を示せ!!」

「……はぁ?」


目的と身分っつったてなぁ……。

困る御者に代わり、馬車から出ようとする俺。


その行く手を、レイドが止める。


「僕が変わりましょう」

「……むう」


言われるまま、レイドに後を任せ、俺は再び席へと座る。


詳しくはないが、アイツも王立学院の生徒だという事は、家柄も良いのだろう。田舎の町長の息子は、黙っているのが得策である。


暫く門兵と会話をするレイド。


すると――



「お!」


閉じられていた門が、開いていく。


「戻りました」


馬車の中へとレイドが戻り、そのままポンペイへと足を進める。


「しっかし、何だったんだろうなぁ、今日は?」


こんな事は初めてだ。

まるで何か――外敵に備える様な構えを見せていた。



……外敵?



「その事なんですが先生――少し、耳に入れておく事が……」

「……あーいや、もう大体分かったわ」

「え?」



キョトンとした表情を浮かべるレイド君。



馬車の進行方向に此方へと手を振るメイドの姿を視認した俺は、思わず深い溜息を吐くのだった。







「やっぱ生きてたか……流石だな?」

「ああ」

「つーわけで、来てくれるな?」

「……ああ」


拒否権は無いんだろう?

というか、拒否したら余計面倒な事になるんだろう?


短いやり取りをしながら、俺達は領主の館へと足を進めた。



――で、来た訳だが。



「――は、ハインリヒ君ッ!? 生きてたァッ!?」



驚愕するスネップ=アノンドロワの様子を苦々しく見ながら、俺は事態の説明を求める。


大方は予想しているがな。

慌てまくるスネップの下手くそな説明を、辛抱強く聞く俺。



どうやら――

城塞都市ポンペイの関所が――亜人の襲撃を受けたらしい。

時刻は早朝。

亜人の種族は好戦的な【狼】である。

その数は――凡そ300。


この城塞都市の兵の数が1000である事を考えれば、少ないと思うかも知れないが――問題は相手が亜人であるという事だ。


亜人。それも【狼】の個の戦力は――人間の兵士の約10倍だと言われている。


単純計算で3000対1000である。


スネップ=アノンドロワが慌てる理由も、これで分かるだろう。



「――ど、どどど、どうしよう、ハインリヒ君ッ!?」

「あぁ、ウザったい! そもそもお前の父親は何やってんだ!?」

「ぼ、僕の父さんは――そのぉ、地下に閉じ籠ってて……」

「はぁ? この状況の事を知らないのか!?」

「いや知ってる……門を閉じてれば問題無いって……」

「……」


亜人を相手に、籠城する気か。

城塞都市というのだから――確かに、守りに厚い拠点ではある。

兵糧攻めと言っても、都市には十分な食料もある。

加減して食えば、数か月は持つだろう。

その間、王都からも救援は来るだろうし……悪くはないのか?


だが――そんな事、相手も分かっているだろう。

自殺志願で来る訳でもない。

そもそも、連中の目的は何だ?



「連中、何か言ってなかったか?」

「え? 何かって?」

「戦には理由が必要だ。何の大義もなく戦う馬鹿は野盗だけだ」

「で、でも……特に何も報告されてないけど……」

「……」


目的を敵に知られると、困難になるから秘匿しているのか?


此処までもっともらしく考えて見たが、実際何となく連中の目的は察しが付いている。


恐らくは――奴隷の解放。

それが第一の目的である筈だ。


此処――ポンペイには亜人の奴隷が多数存在する。

外の連中と呼応されたら、厄介かもしれないな。


それこそ籠城なんてしてたら、あっという間に堕とされるかもしれない。


街が荒れるだろう。

関係ない人間が、多く傷付くだろう。



「……」



キッチェ。孤児院の子供達。シスターテレサ。

プレアとスネップは……まぁどうでも良いとして……。


やはり、放っとく訳にもいかんか。



「傭兵団の初仕事が来たな……」

「先生?」

「おい、スネップ!」

「な、なんだい、ハイン君!?」



「俺に――兵を貸せ」



兵隊の指揮は初めてだが――何とかなるだろう。




「雇われてやるよ。――俺が、外の敵をやっつけてやる」



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― 新着の感想 ―
[一言] ついに傭兵団初出陣ですね!ここからどういう展開になるか非常に楽しみです。
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