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1-5 


「ふぅ、猫をかぶるのも大変ね」

 

 ギルドから出た直後、オリアナがそう言った。

 時刻は一九時、もう辺りは暗く街灯がと窓から出る明かりで街は照らされていた。

 階段を降りながら見える通りには多くの人が見える。

 

「にしてもひどくなーい? この遺跡って奥には主がいるんでしょ? あぁやっぱ楽に探検隊組める人なんてそうそういないよね~」

 

 先程までの謙虚な姿勢から一転、饒舌かつタメ口。

 猫をかぶっていたというのは本当だったようだ。


一段飛ばしで階段を降りていくオリアナに僕は遅れて着いていく。


「これから、どうするんですか?」

「これから? うーんまずは仮探検隊結成記念に太陽の霊峰にお参りでも行こうかなぁ」



 太陽の霊峰と呼ばれた場所は、僕の出身地でもあるクレイ地方に位置する標高二五〇〇メートルの山の不思議なダンジョン。

 攻略難易度は普通かそれ以上、ある罠にハマれば難易度は最高クラスに跳ね上がるくらいにはレベルの高いダンジョン。

 

「そうだよー……あっ名前的に智也ってクレイ地方出身なのか」

「ですね。クレイ地方出身です」

「そっかぁ……なら五合目にある祠のこと知ってるよね」

「えぇもちろん」


 太陽の霊峰の五合目には太陽神に頂上から追い出された山の神様が祀っていると言われていて、これからの冒険者人生に幸あれ、って感じでお祈りを捧げることで有名な山でもある。

 

「よっと、とりあえず改めて自己紹介、あたしはオリアナ=アニマ。タイダル地方出身の新米冒険者! 主に魔法を扱ってダンジョンを攻略してるの、よろしくね」


 最後の二段をジャンプして降りると、振り返り僕にお辞儀をしてきた。

 遅れて僕も降り


「僕は沖汐智也、クレイ地方出身で今年で冒険者半年になるかな、よろしく」


 自己紹介をした。

 

「急にため口になってびっくりした?」

「うん、まぁ」


 嬉しそうにあるき出したオリアナに僕は出会ったときからの疑問を聞いてみることにした。


「なんで僕と探検隊を組みたいの?」

 

 その言葉を聞いたオリアナは急に立ち止まった。

 なんとなく重々しい雰囲気になったことを感じ取り額から冷や汗が流れる。


「一目惚れ、かな」


 そんな冷や汗をかく必要がなかったことが一言でわかった。


「一目惚れ!? 僕に?」

「うん……アイアスの森で見かけたときから……」


 ごくっと、唾を飲む。

 人生初の告白がこんな急に、しかも会ったばかりの女の子が一目惚れしたという理由。

 

「ちょっと言いくるめば、簡単に探検隊組んでくれそうだなぁって」

「……」


 父の教えに、女には絶対手を出すなということが合った気がする。

 父さん、僕その教え破ってもいいかな?


「まぁ、結果的に他の人と冒険者になるよりもかなーーーーり遠回りすることになってかなり落ち込んでいるわけですけどね」


 階段を一段とばしで降りて、道を嬉しそうな顔で歩いているオリアナに落ち込んでいる気配など一切見えない。

 この人はある意味ツワモノだ、と僕はなんとなく悟った。

 

「まぁ、お互いの実力も全く知らないし太陽の霊峰で腕試しってのも悪くないと思ったんだけどだめかな?」


 その案に関しては僕の中では普通にアリだった。

 五合目までは山の神様のおかげなのかわからないが低レベルの魔物で集まっている。

 三フロアずつに休憩スペースが設けられているからグダることもない。

 キングエレファントのようなレアエンカウントも無い。

 初のパーティーで潜るダんジョンとしては最適だと思っていた。


「うん、いいと思う」

「じゃあ決定、明日八時にゲート前集合で」

「えっ、あっ、はい」


 こんな成り行きで明日僕は初めて、複数人でのダンジョン攻略に挑戦することになった。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

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