はじまり
え?前話が最後だったって?
まぁまぁ、それは置いといて、本編始まりますよ
フェルもソエルも、ミヨも知らない時
最後の時からは随分と間隔のあいている
コウの物語
記憶喪失にも関わらず魔法の知識は覚えていた、そんな子どもの身長な子の物語
◇
ある鉱石を前にコウは唸っていた
非常に質のいい鉱石が手に入ったのだ
目指すは武器職人、のコウにとってこの鉱石を無駄にはできない
「ぶっつけ本番か…」
暗に練習したいと呟くコウ
それ程に貴重と思ってくれればいい
「コーウっ!」
「わっ!?マオか、どうしたの?」
コウの住む場所は職人としての工房も備わっている家
「いんやー?新しい武器を作るらしいから様子を見に、ね」
マオが後ろから覗き込むように鉱石を見る
「…なにこれ」
マオがその鉱石を見て呟く
その鉱石は光っているのだ、周りは昼間、なのにそれでも分かるくらいには光っている
「ひかる鉱石」
「見ればわかるわ…これを武器にするの?大人しくアクセサリーにしといたら?」
今までも貴重な鉱石、珍しい特性のある鉱石は見つけている
しかし、サイズによっては剣にすることは出来ないものもあった
そういう時はペンダントや指輪などのアクセサリーになっている
「だって大きさもなかなかだし…」
剣にする時に適している大きさというのがある、今回のひかる鉱石は大きさが剣にはちょうど良かったのだ
「じゃあひかる剣にすればいいじゃない」
マオが何を迷うの?と言ったような顔と口調で問いかける
「魔法陣使えば光らせれる…」
光魔法のライトは魔法陣とする時に模様程度に彫ると魔法陣として機能する
つまりは光らせるくらい簡単なのだ
「なんならずっと光り続けるのは使い勝手悪い…」
冒険者が使うことを想定しているコウはできた時のことを考えているようだ
洞窟や夜に奇襲の時に光る剣、なるほど、使いづらい
「ふーん、ま、私が思ってたほど凄そうなのは出来なさそうね、ちょっと街に行ってくるね」
ささーっと出ていくマオ
マオの興味はそこまで沸かなかったようだ
「無理だ、剣よりはずっと光り続ける玉でも作るか…」
コウもそうそうに諦めたようだ
◇
日が落ちてきたころ
マオが戻ってきた
「ただいまー」
コウの返事はない
テーブルの上には爛々と輝いている光の玉たちが…
「結局アクセサリーにするのね」
少し覗き込むと光に当てられたのか気分が悪く…
いや、光で気分が悪くなるなんて…
マオが何かに気が付く
「これ、魔法陣の形になってる?」
さらに、発動するであろう魔法は…
「ぁ…おかぇり…まお」
真後ろから声
それはコウの声だが弱々しい
振り向く前に後ろから抱きつかれる
「いっ…コウ?ちょっと、苦しいって」
抱きつくというか締め付けるに近い
振りほどこうとするが、その身なりでどこからそんな力が出てくるのか不思議な程に力強い
…あぁ、コウは背が小さいので抱きつかれて、手のある場所は私のおへそのすこし上…
「どこ触ってんの!?」
体を捻って振り向きざまに足も振り上げる
ついでに腰の魔物などから剥ぎ取るナイフを取り出す
「あひゅっ」
どごっ、ゴッ、どさ…
蹴り、天井に張り付き、床に落ちた
コウを見る
「あっ」
やりすぎた…
◇
「うぅん…」
痛い
お腹と、背中、前部の順に痛い
特にお腹なんて…
「あっ起きた?」
マオが覗き込んでくる、どうやら寝かしつけられているようで
「…おかえり、確かアクセサリーを作ってた気がするんだけど…寝てた?」
「うん、テーブルでぐっすりよ、ちゃんと横になって寝なさい」
あぁ…たまにあるんだよなぁ、無意識のうちに寝てしまうこと
アクセサリーの時が多いけど
…前は鎖で作った武器のときだったかな
「…また自覚無しなのね…魔法陣バカ…」
「んえ?」
考え事しててマオが何か言ったのを聴き逃した
「なんにも、どっか痛いところない?」
そんな、痛がってるのが分かるみたいに…
痛いんだけどさ
「お腹と背中と前部…」
「全部?あぁ、前部ね、いや、全部じゃない…やっぱり回復の魔法陣から研究したら?」
補足なのか原因は分からないけどね
と言ってるマオ
…なんで痛いんだろう
「でも回復系の魔法の使用は禁止されてるから…」
「ちゃんとしたきまりじゃなくて噂に近いようなもんでしょ?何年前の話よ、それ」
回復にはライセンスがどうとか、暗黙の了解と教えてくれたのはマオなんだけど…
りふじん…
だいたい常識とか価値観を教えてくれたのも全部マオなのに…
やっぱり試し斬りとかで外に出てるから変わってくるのかな?
という訳でこんな話がたんたんと書かれる予定です
いつかは最後になるかもしれませんが...
いえ、むしろ最後は書いたので既に完結積みみたいな所はありますね!(おい
不定期更新にはなりますが
こんな作品でも楽しんでいただければ...と思います
どうぞごゆるりと