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花鳥風月

転移をした、光がおさまり、視界が戻る


ちょっと酔いそうだな、なんて思いながら周りを確認しようとして、縛られていることに気がつく


「…あれ?」


「おまえ、だれだ、です」


立ったまま全身をグルグルに紐でされ、くい込んで痛い

うごけん


目の前に経つのは黄色の髪の女の子…誰かと雰囲気が似ている…


「…あぁ、チヤか」

髪の色と髪型が違うが紛れもなくチヤだ

とても綺麗な金髪は別の人に見せる程なのかぁ…


なんて思っていたら紐を通して電気を流された


「はづっ!?」


「だれだ、と聞いたですが?」


「コウ!コウだっ!」


もしかしなくてもチヤじゃないぞ!?


「あれ、コウさんでしたか」


後ろから声が聞こえる、ソエルさんの声だ


「おっほんとだ、何してんの?」

続けてマオの声


「縛られて電気流された」


「あぁ、侵入者とはコウさんでしたか…」



部屋に通され茶菓子を出された

そんで話を聞く


「つまり、キイって子は仕事を全うしただけと」


敷地内に知らない魔力反応、最速で動けるらしいキイが防犯のためにも自分を縛ったと


「…まぁ別にそこまできにしてませんけどね」


不法侵入には変わらなかったわけだし


そんな話もほどほどにこちらの話を少ししたところでソエルさんが深刻そうな顔をして話し始めた



「…決戦の時が迫ってきています」


…あれ?そんな話だっけ?


「マオさんとも話は着いていますので、明日にでも準備は完了させてください」


すごい、話が見えない


マオをちらりと見るとグッ!と親指を建てられた


なんのこっちゃ


「以前会ったセーラさんと…明日ミヨさんと顔合わせをしましょうか…?」


なんか知らない人の名前がでたわ


「その必要は無い」



後ろから声が聞こえる

振り向くと

真っ黒な女性が立っていた

……寝巻きの寝起きで


「初めまして、わたしがミヨ、よろしくね、風」


ふむぅ、かぜとね?


「コウだ、よろしく」


握手を交わすとミヨは手を離してくれず、そのまま目を瞑り何か呟き出した


え、なにそれこわい



「…ふぅん」


何かわかったように見下してくる

いや、身長的にね?


「ソエル、こいつをデカくしろ」


「マオさんいい?」


こいつと指さされたのは自分だ、しかし許可を求められたのはマオという


…?


「…んー、ミヨが必要なら…仕方ない、いいよ」


なにが!?

よくないよ!?


「まお!?」


「失礼します」

ソエルさんの手が肩に置かれ…っ!?


暖かいのに激痛が走るという、思いがけない痛みに気を失った




白くて暖かい空間にいた、ただたゆたって、微睡んでいた


そこに黒い雷がおちる


「…ふっ、さっきぶりだな風のエルフ」


…相変わらず寝巻きのミヨが雷から現れる


「ここは?」


「お前の夢の中だ」


「…あの、展開についていけないんですけど」


「はぁ?展開も何もお前がゲートを完成させたら氷人間の城に乗り込んで誘い出してきた現人王潰して終わりだぞ?」


氷人間と城とゲートまでギリわかった

潰して終わりとは?


「…それでなんで夢の中?」


「例えば、ここで作ったものがリアルで反映されるって聞いたら何作る?」


「なんでも作っていいの?」


「あぁ」



パッと思い浮かべる


今まで作ったものから改良したいところ

失敗作から、頓挫したやつ、作ってみたいもの

理論上可能なものから机上の空論まで



「…あ…れ…るっ!」


何かミヨが叫んでいるが


まるで

魔法陣に魔力を流した時に接続が悪く中途半端にしか効力が出ない魔道具のようだ


「っ!例えが!分かりづらい!」


息を切らしながら存在が戻ってくるミヨ


「先にゲートを思い浮かばせれば良かった…」


ゲートねぇ、思い浮かべたよ?


「…お前の体もそろそろ完成だし面白いことを教えてやる、今思い浮かべた時間だけで外で3日経ってたぞ」


「へぇ…へ?」


意識が浮き、体が浮かぶ

色々と聞きたいことはあるがミヨが下で手を振り、音が何も聞こえなくなった


寒さを感じ、痛みを感じ

目を覚ます


まるで初めて目を覚ましたかのように光が眩しく感じられ

まるで自分の体じゃないように思える…


手を見た、これは誰なのかと、そう思った


…ぐ、頭いてぇ



「コウさんは副作用でしばらく動けません、目の機能も生命力を与えての回復は破裂する可能性があるので自然回復で…それでも話しは続けます」


耳の機能もおかしいのか、ソエルさんのような声が聞こえる、少し聞きなれないが…


「死んだらわたしが貰うから最悪大丈夫だよ」

こちらも聞き覚えはあるが誰かは分からない


「…コウ、お主はとにかく聞いておれ、ソエルの話を聞いて判断するのはお前自身だ…セーラ、お前もだ」


「わってるよ」


二人目の人物はセーラさんだったようだ

確か赤髪の人



視界は寝転んだままの一面天井

腕しか動かず手しか見えない


全身が重くダルい


「そうですね、コウさん中心に話しますか、まずあなたのエルフの体は私たちと比べて8倍成長が遅いです」


「私たちが8歳の時ようやく1歳ということか?」

セーラさんの声、その言葉で自分も理解する


「ぅぁ…」

喉に痛みが走る

長年使ってなかったような感覚だ


いや、実際そのようなのでは?


「なので、無理やりに成長させました、年齢は私たちと、は分かりませんが私たちと年月は生きてるはずなので大丈夫ですよね?」


無理やり、成長させた…?


8倍の数年分…うがぁ、頭いてぇ




「…では、標的の話をしましょうか、簡単に、人が治める歴史で王様が変わったことがないのはご存じですか?」


「…えぇ、セーラさんが頷くように人族の王は初代から1度たりとも変わっていません、それは普通のことでは無いのです、そう認識させられているだけで」


「…つまり?」


「人王は人の生命力を自分のものにして生き続けています、花の力を得なければ知るよしもなかったことですが」


「補足をしよう、わたしが月の力を得た時に、人王が認識を変える力を使っているのを知った、花鳥風月の自然はこの摂理からはみ出た人王を許さない、そのために私たちに力を与えた」


「人王を殺すってこと?」


「いいえ、魔法を解くだけでいいんです、これは殺す戦いではなく、あるべき姿に戻す戦いなのだから」



黙って聞いていた、確かに、風の噂で人王のことを囁いてきたこともあった


でもあくまで他人だし、自分にその火の粉が降りかからなければいいと思っていた



いいこともあるんじゃないか?

長い間統治していたのだろう

トップがいなくなったら人の歴史にヒビでも入るのでは?



「…コウさん、人王を擁護する考えは全てがそう、誘導されている、と捉えた方がいいですよ」


うっすらと眠気、疲れ?かな?


…だいきぼなマホーだなーー…





フラフラとする、目線が高い


…マオよりも少し背が高い


「…お、おぉぅ…コウ…」

「…ん?」


「さすがエルフと言ったところか、やだ、すっごいイケメン…」


最初マジマジと見たあと普段の調子を取り戻すマオ、いや、少しテンションが高そうだ



「コウは寝ながら作ってたけど〜これがゲートだよ」


以前つくったものより軽い骨組みで作られている、うん、こういうのが作りたかったんだよ


夢の自分、分かってるじゃないか


ヴォン、とゲートが開く、向こう側の景色が見え、冷気が流れ込んできた



「どうやって開けたのですか?」


「…え、なんかこう、適当にやったら…」


「なんか口下手になった?」


ソエルさんに聞かれセーラさんに突っ込まれる

多分呂律が回らないだけだ


「これでフェルの空間と繋がったんですねっ」

ソエルさんがウキウキとゲートをくぐる


「歴史を取り戻す戦いか…熱いなっ!」

なんかミヨが変なこと言ってる


「…さむっ」

体から火の粉撒き散らしながらセーラがくぐる


「コウ、いこ!」


未だに見慣れない自分の手を握りマオに手を引かれる


「…あぁ」

ゲートをくぐる


目まぐるしく移りゆく現状に目を瞑り飲み込む、どうにもこの流れから抜け出せそうにないようだ



いわゆる超展開、誰も彼も置いていく速さ、まるで自分の意思が定まらないままに、物語だけは進んでいく

この話の続きが第1部分にあたる「最後」となります



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