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僕の宝物

学生時代にひっそりと書いたものです。自分の趣味が爆発しててお恥ずかしい(笑)家にあるお米粒の数を数えるくらいしかやる事が無いくらいお暇な時に読んで頂ければ幸いです。


とある裏路地は昼夜問わず暗く、石畳にはゴミが散乱していました。異臭が鼻について、嗅覚がおかしくなるんじゃないか、と普通の人なら、そう考えるでしょう。これが僕の生きる世界の全てでした。


僕は孤児院で暮らしていましたが、訳あって、幼い頃に出ていきました。養ってくれる人がいない、お金の稼ぎ方を知らない子供が行き着く先は盗みを働くか物乞いをするしかありません。僕は前者でした。生活は苦しく、ただでさえ生きていくことに精一杯だったのに、人権すらありませんでした。肌が黒いと言う理由だけです。黒人と言うだけで、知らない人から暴言を吐かれ、暴力を振るわれました。両親に捨てられ、理不尽な事をされ続ける日々。孤児院を出て何年か経ち、自分の生きる価値というものを疑い始めた時、あの方にお会いしたのです。


あの日の事は今でも忘れられません。14歳の寒い冬の出来事でした。肌を突き刺すような冷たい風邪が吹き、同時に枯葉が舞いました。木の葉が地面を着地した時、1人の白人男性が多くの男を従わせてこちらの方に歩いてきました。顔を見る限り、僕より10くらい年上に見えましたが、若年の割には随分と貫禄のある方だなと思いました。その方が目の前を通り過ぎる事を願っていましたが、想像通り僕の前で立ち止まりました。白人達は決まって、僕に害を為すことしかしなかったので、思わず身構えてしまいました。しかし、彼は僕に一切手出ししませんでした。

「青年、聞きたいことがある。」

僕は体を縮こませたまま答えました。

「僕のような人間に答えられることなんてないよ。」

「おめえよ…」

男の部下らしき男が僕の態度と言葉遣いが気に入らなかったようです。部下は僕に何か言おうとしましたが、男が止めたようでした。

「彼はまだ子供だ。礼儀と言葉遣いという物を知らないのだろう。許してあげなさい。」

男はタバコを取り出したのか、ライターの点火音が聞こえてきました。そして、路地裏のゴミの異臭と共にタバコの匂いも漂ってきたのでした。

白人()の事が怖いかね?青年、お前が今まで出くわした白人達はお前を酷い目に合わせてきたようだね。だが、私とそいつらを一緒にしないでくれ。私のファミリーを見れば私がそこら辺の奴らと違うという事が分かるだろう。」

僕は恐る恐る男の部下達を観察してみました。すると男の部下達の中には黄色人種もいました。

「あ…」

思わず僕は呟いてしまいました。黄色人種も黒人と同じように差別対象にあったからです。

「理解出来たかね?」

僕は黙って頷きました。

「よろしい。ところで青年、私達は最近この辺りに来たばかりで、正直地理に疎い。青年、この辺りの地理に詳しいか?」

「多分、地元の人達より詳しいと思うよ。」

僕は出来るだけ被害に合わないように、いくつもの抜け道を知っていました。

「ふむ、他にお前に出来ることはあるかね?」

なぜ、この男は僕に関して質問してくるのか理解できませんでした。それでも僕は正直に答えました。

「記憶力には自信あるよ。1度見聞きしたことは忘れないんだ。」

「ふむ、気に入った。」

男は帽子を取り、座っている僕の高さまで、しゃがんでこう話しました。

「私の名はパオロ=フォルテ。フォルテファミリーのボスだ。」

フォルテファミリーと言えば、当時、新興勢力のマフィアでした。小さな組織ではありましたが、隣町を支配してた組織を追い出して、自分の縄張りにした少数精鋭のマフィアだと聞いたことがありました。

「青年、お前の名前を聞かせて欲しい。」

「ディエゴ。」

「では、ディエゴ。私はお前が欲しい。私の所に来ないか?」

「黒人の僕を仲間にするの?みんなから批判されるよ?」

ボスは吸っていたタバコを石畳に捨てて、靴で踏み潰しました。

「私は外見の違いに興味が無い。お前の能力を買って何が悪い。」

その時、僕は自分の胸が熱くなってきた事を感じました。

「ディエゴ、お前は理不尽な理由で差別され、悔しくないのか?世の中、力の強いやつが正義だ。弱者の言葉に誰も耳を傾けはしない。だから、私は力が欲しいのだ。私が考える正義を守るために。私も子供の頃は周りの環境に苦労させられたものだよ。」

その時のボスの表情は悲しそうに見えました。

「ディエゴ、もう1度言う。私はお前が欲しい。私の為に働いてくれ。」

ボスは僕に手を差し出しました。路地裏の少しの隙間から差す太陽の光がボスの後ろ側を照らしていました。その光が僕には希望の光に見えました。

「本当に僕を雇うんだね?」

「くどい。」

ボスは笑いながら答えました。


それから、僕は死ぬまでボスにお仕えすることになりました。ボスに出会ってから、僕の人生は一転しました。僕が歩むことになった人生は決して綺麗な世界ではありませんでしたが、仲間が出来たこと、守りたい人が出来たことは僕にとって人生の宝物になりました。

お米粒を数えるより、この作品を読む事を選んで下さってありがとうございました!文字に書き起すのが苦手など素人が作った作品なので、どんな反応されるかヒヤヒヤです(汗)良ければ感想頂けると嬉しいです。続きは考えたいけど思いつかない…困ったものです(汗)

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