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第94キロ  チョコレートの甘さって独特じゃないですか

どういうわけかわからないけれど、なんかチョコレートパーティが開催された。

どうしてこうなったんだか、俺にはよくわからない。ホテルの小ホールの一室を借りたらしく、会場には悠々とチョコを垂れ流しにする巨大なチョコマウンテンが設置されている。


「これでいいんですかねー。」


と呆れた目でサラマンザラがチョコマウンテンを見ている。


「美味しそうだし、良いんじゃない?」


メイに満足してもらって満足感のマシュマロを出してもらってたくさん食べたい。これぞウィンウィンの関係。


「馬鹿というかなんというか……。」


サラマンザラが言葉が見つからない

馬鹿ってなんだよ。失礼なのでは?


「馬鹿の後にとある名詞がつくので大丈夫です。」

「とある名詞って何?!」


そんなことを話しているとフィールに手を引かれたメイがやってきた。


「はいはーい!とりあえずさっさとチョコを渡しちゃいますよー。私からは義理チョコを皆さんに1つずつ。感情屋は平等ですから!!」


フィールはそう言ってその場にいた全員の手元にチョコレートを出した。くるくるっとした形のチョコレートは作り物めいて見えた。


「あ、甘い。」


味は普通にチョコレートだった。ミルクかビターかと聞かれると分かんないけど。


「み、実。今日は実のためにたくさんチョコレートを出してやる。食べ放題だからな!喜べよ!!」

「イエーイ!ノンカロリーチョコレート食べ放題!!」


フィールとかサラマンザラに喜ぶところはそこですか?と囁かれているけど気にしない。


「それだけじゃないよ。美味しいものをカロリーなしで楽しめるのは確かにすごい喜ばしいことだけど、メイから貰えるのがとっても嬉しい!!頑張って全部受け止めるから!!」

「「おおっ!!」」


フィールとサラマンザラがうるさい。なんでこっちの一挙一動を見守ってくるのだろう。

メイは何か固まってるし。どことなく顔が赤いけど、暑かったりするのかな?


「メイ、これは俺から。」

「え……?」

「いつもありがとう!これからも俺の傍に……いてくれたら嬉しいな。」


そう言いながら渡したチョコレートをメイが受け取ってくれた瞬間、チョコレートがポンポンポンと飛び跳ねた。すかさず口でキャッチする。うん。やっぱりどんなチョコレートより、メイの感情のチョコレートが一番美味しい。俺に向けられた感情だからだろうか。

でも


「チョコ出すときは事前に言ってもらえると助かります。」

「む、無理かもしれん。すまん。」


メイはチョコレートの箱で顔を隠しながらそう言った。


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