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第87キロ  海というシチュエーション

「ちょっとシュワシュワする。」


流石ソーダの海である。口元に飛んできた海水は甘い。


「この世界の海って全部こんなに甘いの?」

「いや、ここが特別なんだ。ここ以外に甘い海はほどんど存在しない。後は味が無い海と、しょっぱい海、苦い海、辛い海と色々ある。」


メイが青く透き通った海を見ながら答える。海は歩けば底の砂糖の砂が舞い上がる。


「味が色々あるってことは成分が色々あるのかな。」


独り言ちながら足元の感覚を楽しむ。


「そう言えば辛みは味じゃないって話知ってる?」

「は?」


メイに言うとメイは首を傾げた。


「味は5つ、基本味っていうのがあるんだ。」


舌の味蕾で味を感じんだけど、その味には5つある。


「甘味と、しょっぱさと……酸っぱさと?辛みは違うんだよな?えーっと……苦みか?あれ?今何個目だ。」

「4個目かな。」


甘味、塩味、酸味、苦味。あと1つ。

俺の世界で俺の国だと意外と皆わかるんだよな。


「後はうま味。」

「うまみ?」


俺の国のとある人が見つけて開発したりしたやつです。実は万国共通で「うまみ」って言うんだぜ!昆布とかから見つかったとか言うやつです。


「まあ、海が甘いから甘味の話から。」


たくさん研究されてて、無機質なのも有機物なのもあります。

因みに1番親しみがある甘味料は砂糖を代表とした糖類だと思います。


「ほとんどの単糖には甘味があるんだけど、実はこの中で最も甘いのは果糖のβ型だったりします。」

「果糖って果物の甘さってことか?」

「まあ間違ってはいないかな?で、果糖にはα型とβ型があるんだけど、温度によって構造が変わるんだよ。冷やすとβ型になります!!」

「つまり冷やしたほうが甘いのか。」

「そういうこと!!」


α型とβ型の甘さは大体3倍違うと言われている。砂糖であるスクロースの甘さを1とするとα型の果糖は0.6、β型の果糖は1.8だとか。


「あのー、お二人ともどうしてそんな研究的なこと話してるんですか?海ですよ。もっと楽しくはしゃぎましょうよー。」


呆れた顔をしたサラマンザラが俺たちのところにやって来た。


「よし!サラマンザラ、何して遊べばいいんだ!!非リア充生活しかなかった俺に、海で遊ぶ知識なんてほとんどないんだよ!!泳げばいいのか?でも泳ぐって大体1人でやることじゃないか?!なんかコミュニケーションをとりにくいよな?!」

「わかりましたー!!せっかく気を使っても、海というシチュエーションを全く生かせないことはよく分かりました!!」


サラマンザラはそう言ってから俺を見た。……何が言いたいんだろうか。


「それにしても実さんって泳げるんですか?」

「ふっふっふ。俺は意外と運動が出来るデブだぞ。運動神経があるデブだ。」


いや、運動神経は運動できない人にもあるけどね?人体的に。まあ、それは置いておいて。


「デブの浮力を舐めるなよ!!」


俺は安全性も考えて、とりあえず水しぶきが二人にかからないくらいの位置でバタフライを泳ぎだした。こう見えて、いや、こうだからこそかもしれないが水泳は結構得意である。

クロール、平泳ぎはもちろんバタフライ、背泳ぎも出来ます。……意外と潜水も出来なくもないので浮力は関係ないのかもしれない。


「……大分ダイナミックな泳ぎ方ですねー……。」


サラマンザラが驚いたように言った。

もしかしてこの世界じゃバタフライとかなかったかもしれない。


「ところで、フェアリーってどうやって泳ぐの?」


羽が邪魔そうだけど、消して泳ぐのだろうか。メイに尋ねれば


「ああ。色々あるけど、羽を使って泳ぐのが一般的だな。」

「羽を使うんだ。」

「まあ、空を飛べるだけの力が出せるなら、水もかけるんですかね?」

「手を使うより速く泳げるしな。」


折角なのでメイに泳いでもらう。

ちょっと遠めの場所で、メイがトビウオのように水中と空中を行き来する泳ぎを見せてくれた。ペンギンみたいな感じかと思ったけど、思ってたのと違う。


「大分ダイナミックな泳ぎ方ですねー……。」


サラマンザラ、そのセリフ本日二回目。サラマンザラは頭を抱えて


「あんたらに色気がないことはわかりました。」


と言った。

いや、俺に色気を求めるのは可笑しいけど、メイは結構あると思うんですが。口にするとセクハラになりそうなので口にはしないけど。

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