第86キロ いざソーダの海へ
メイにばかり目がいってしまっていた。因みにフィールは赤紫っぽいビキニタイプ、田中さんは少し普段着っぽい感じのセパレーツタイプのものだった。
「すまない。鎧の着脱に時間がかかってな。」
その声に振り返ると、そこには筋肉の壁があった。
「って、マッチョン!!!」
名に恥じぬマッチョぶりである。腹筋がリモコンのようだ……。
この世界にリモコンがあるのか知らないけど。いや、大きさ的にはこういうマットレスのようだけど!!
マッチョンの水着は、まあ体に自信がないわけがないからか青のブーメランタイプだ。
「どちらかと言うと、海はマッパンの得意とするところだからな。」
「あの人、海じゃなくても大分露出してるじゃないですか。」
雪の国に水着同然の格好で行った事、忘れてないぞ?
そんな会話をしていると
「待たせたかな。」
何か色々持ってきた小林さんがやって来た。
救急箱と……?
「林さん、それは?」
「つめた~いボックス。飲み物とかが入っているんです。水泳は全身運動。水分補給はしっかりとしなければね。」
つまりクーラーボックスだろう。
そして小林さん、俺と同じサーフ型の水着だ。けれど俺のように水着が腹に食い込んだり、肉が出たりしていない。
なんか水着なのに白衣を羽織っていて、その白衣から程よくしまったお腹が腹ちらしております。
どこの特殊性癖を引っ掛けるつもりなんだ、と心の中でツッコミを入れてみる。
「次郎君!そ、その……水着、似合ってるね!!」
白衣を羽織ってるから雰囲気もあんまり変わらないもんな!
「ありがとう。田中……、花子も似合ってるよ。」
そう言えばこの二人、幼馴染だった。
仕事中はともかく、プライベートでは名前で呼び合う関係か。
何はともあれ田中さんには小林さんの水着姿が無事刺さっているようでなにより。
「とりあえず準備運動したら海に入ってみましょう~。チョタコとかアメイカとかが生きて泳いでる姿が見れるかもしれないですよ。」
そう言えばお菓子の国と言えばそれらの原産国でしたね?
今まで何度も食べたことはあるけど、どちらかと言えば生き物の形に作ったチョコ細工と飴細工のイメージだ。生きている姿を見てしまったらイメージがだいぶ変わりそうな気がする。