第85キロ 水着を着よう(主人公はまだ痩せていないのでお腹がプヨプヨです。)
何故か俺はいきなりリゾートっぽい場所に来ていた。
いや、一瞬研究所には帰ったのだが、必要なことをして大樹とかに説明して……。大樹ごとリゾートっぽいところに来ました。
小林さんやサラマンザラたちはそれぞれ客室で休んでもらっていました!!
家が動くって便利だよね?
いや、今回は半分迷惑な気もするけど。リゾートの近くの森に大樹は置いてある。
そして俺は今、ソーダの海の前にいる。感情でもなんでもなく、糖質を含む海なので、これを飲んだらカロリーになるのだろう。
頭の中に小学校のころ習った詩が浮かぶ。いや、これはソーダの海なのでもっと大層な規模になりそうだ……。うん。そうだで韻を踏みたくなるけど、気にしないでおこう。
俺はサーフ型の水着を着て、ソーダの海の浜辺に立っている。
青色のソーダの海はラムネと言っても良さそうな色をしている。サーフ型にしたってなんにしたって、俺の腹の肉は水着の上に乗る感じになるんだけどな!!デブなんてこんなもんだ!!
……いや、でも気になるな。歩くたびに腹が揺れるのが観衆の目にさらされるのはいかがなものか。プライベートビーチらしいけど。
白い腹が日焼けして、後で痛くなるのも嫌だ。とりあえずパーカーを羽織ることにした。
因みに光の国のプライベートビーチだそうです。
今、浜辺にいるのは俺一人。
この砂浜は砂糖的なもので出来ているらしい。水に溶けないのかと思ったりもするが、多分飽和していて、これ以上溶けないんじゃないだろうか。
……この海、すごく甘そう。
「実さん!お待たせしましたー。」
「おお、サラマンザラ。」
サラマンザラはブリーフ型の水着である。
しかも流石兵士。程よく筋肉が付いていて、結構な肉体美派である。
そりゃ隠さずに腹を晒せるよな?だって軽く腹筋割れてんじゃん!!
「プライベートビーチにして正解でした。」
フィールの声がして振り返る。まず目に入ったのは
「ま、眩しい!!」
「物理的に眩しいですねー……。」
「す、すまない。」
物理的に光っているゴールデンフェアリーさんでした。
広げた羽根も、髪も、瞳も金色で太陽の光が反射してキラキラ輝いている。
水着は黄色を基調に、他の色が虹のようになっている。
恥ずかしそうに少し俯きながら、俺の方をチラチラ見てきて、こっちまで恥ずかしくなってしまう。もしかして、俺の腹、気になる?!大丈夫かな?!
「その……実、どうだ?」
え?何が?!俺の水着のサイズ?!
「一応きつくないよ!!」
俺の言葉に周りのみんながハ?と言う顔になる。
「そこはメイさんの!水着に対するコメントを!する!べき!なんじゃあないですかね!!」
力いっぱいサラマンザラに方向修正をされた。
確かに!アニメとか漫画だとこういう場面って、女の子の水着にコメントすることが多いよね!!
「似合ってるよ!!やっぱり黄色が似合うよね!!」
溜めても恥ずかしくなるだけなので勢いをつけて言う。
いつもより露出が多い上に、女の子っぽい格好で、意外とスタイルが良いとか思うけどそういうことは言わないでおく。下手なこと言うとセクハラだろ、これ。
メイは何とも言えない表情で口をムズムズさせた。何か全体的に空気が生温かいものになるけれど、俺だけ言わせられるのも何か少し不服である。俺だってメイからの水着への感想が欲しい!!
「メイ、俺は?」
手を広げて全身を見せる。まあパーカーは着たままだけど。
俺が感想を求めると思わなかったのかメイ以外にも驚かれる。けど、俺だけが感想を言うのも不公平じゃない?
「え、えっと……。」
「ん?」
俺をチラチラ見ながらメイが視線を彷徨わせる。
うーん……似合ってないのかな?
「……だー!!!」
因みに俺の水着は青の炎っぽいモチーフの模様が入ったやつである。それでパーカーは白だ。
メイは何か声をあげながら俺のパーカーのファスナーをいきなり下げた。
「?!」
「ぎゃあああああ!!」
そして次の瞬間叫びながらもの凄い勢いでファスナーを上げられた。
自分で下げといてその反応は何なのか。目を丸くする以外反応が出来ないんだけど?!
「……ちなみに、その恰好で泳げるのか?」
「一応このパーカーは水陸両用です。」
少し動きにくいかもしれないけど。
「……じゃあ良いんじゃね……。」
小声!!小声でその感想はどうなのか!!一応褒められてはいるけれど!!
……いや、そもそも水着を褒めるとは何なんだ……?
水着自体のデザイン?それだとセンスを褒めると言うことになるのでは?似合っているかどうか?でも実際に似合っているかどうかの判断って難しくない?比較対象があればAよりBが似合うとかはあるかもだけど。普通の服ではなく、わざわざ水着を褒める場合においては、露出が関係するのだろうか。……つまり、スタイル?!俺のスタイルに、褒めるところなんて無くね?!そう考えると機能性を褒められたのでも上々なのかもしれない。