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第80キロ  サラマンザラは苦労人

「酸塩基平衡を崩すと、アルカローシスやアシドーシスが起きるんですよ。」


正直に言って、多分微妙に栄養学の範疇じゃない気がする。どっちかと言うと医学なのでは。

でも、大事なのはそこじゃない。


「ほんのちょっと、コツを掴めば」


俺は指で物をつつく仕草をする。


「簡単に崩せちゃうんですよ。」


つまり、俺は、お前の酸塩基平衡を簡単に崩せると言いたいのだ。


……まあ!はったりだけど!!

嘘には真実も混ぜたほうが良い。


アルカローシスとアシドーシスの話は嘘じゃない。

俺が簡単に崩せるのは嘘だけどな!!


だけど、栄養大臣という得体のしれない知識の持ち主が俺だ。


「つまりお前は栄養魔法を編み出したと……?」


ナニソレ?!カッコいい!!

栄養魔法アシドーシス!栄養魔法アルカローシス!!

いや、栄養って名前を付けるほど栄養の範囲じゃない気もするけど。


「そうだよ。」


ここはその案に乗るしかない!


「代謝性アシドーシスとアルカローシス……呼吸性の方がお好みかな?」


まあ、メイなら原理を教えて、化学式を書けば実行できてしまいそうだけど。

ミクロ特化のゴールデンフェアリーな錬金術師である彼女に教えるつもりは無い。


血液中に溶けているカリウムやナトリウムをおかしくしてくれればいいので、電気系の魔法でも出来る人には出来るのかもしれない。後はナトリウムポンプとかの方向性の変更及び破壊かな。

……大体俺は知識を得るたびにどちらかと言うと殺人方法を思いつくタイプだ。こういう所が、自分が善人ではないと確実に思う所以の一つである。

実行できるか出来ないかは別として。


俺の栄養魔法を警戒したヤリッパは警戒して距離をとっている。発動条件が分からない以上近づけないのだろう。まあ、そんなものは無いのだけど。しかしこの状態もいつまでもつだろうか。ハッタリ以外に手段がないのでどうにかなる気が全くしない。結局は時間稼ぎなのだ。


「たああああああ!!」


そこに飛び込んできた人物がいた。


「サラマンザラ!!」


やって来たのはサラマンザラだ。

正直助かったというより、無事だったのかという感想だ。


ヤリッパはサラマンザラの攻撃を軽々とかわす。

それからサラマンザラの姿を確認して馬鹿にしたように笑った。


「お前か。お前の力量は分かっているぞ。お前が何したって無駄なんだよ!!」


すぐにヤリッパが反撃を始める。防いでいるようだけど、やはり戦力差があるのだろう。苦戦しているように見える。


「ミズタマン!サラマンザラを助けるぞ!!」

「実さんはっ!逃げてくださいっよっ!!」


サラマンザラがヤリッパの槍を捌きながら言う。


「そんな……。」


手助けしても勝てないということなんだろうか。

サラマンザラの言葉に戸惑っていると何かが俺の後方の雪の塊の影から飛び出してきた。


「行くぞ!メイ殿!!」

「ああ!!言ったよな?実に手を出すやつは潰すってよぉ!!」


何やら物騒なことを言いながら飛び込んできたのは恐らく今回の同行者の中でも大分強い2人である。サラマンザラもそれが分かっているからか撤退してヤリッパの前を2人に譲った。


「サラマンザラ!!」

「まあ、多分これで安心っすね~。」


ふうっと息をつくサラマンザラ。

俺は、そんな彼の肩をガシッと掴んだ。


「うわっ?!なんすか?!」

「お、俺、メイのことが好きみたいなんだけど、どうしよう?!」


サラマンザラはポカンとしてから


「今気づくことですか?!」


と叫んだ。


「大声出すなよ?!メイに聞こえるだろ!!」

「実さんの方が声が大きいっすよ!!ていうか、今ですか?!なんで今?!」

「こういうのに気が付くのは突然なんだよ!!多分!!」


今までこういう経験ないから知らないけど!!

そう言えばサラマンザラは呆れたような顔をして


「あっちがあっちなら、こっちはこっちか。」


と呟くように言った。


この後、サラマンザラは大分苦労する気がします。

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