第79キロ たくさん喋ることが大切!
数値とか色々は一応調べて書いていますが、基本的には実がその場で思いついたハッタリなのでそこまで深く考えずに流して欲しいです。
「だから、すみません。」
ヤリッパについていくことは出来ない。
まあ、ヤリッパの人格を考えれば協力したところで、利用価値がなくなったら責任を押し付けてくるんだろうな。総合的に考えても駄目だな。
そう告げればヤリッパは目を吊り上げた。
「いいぞ。すぐにお前から協力したいって言わせてやるからな。」
ヤリッパはそう言うとその手元に槍を作り出した。トントンとミズタマンがバッと戦闘態勢をとる。だが、真っ向から戦っても俺に勝ち目は少ないだろう。仮にも相手は元将軍だ。
そうすると、俺が取るべき行動は――――。
「体の中の成分以外で大切なものは何だと思いますか?」
ヤリッパに尋ねてみる。成分じゃないものというか、成分で決まるものというか……性質っていうのだろうか。ヤリッパは顔をしかめた。
「何を言ってるんだ?心とか、そういうことが言いたいのか?」
「違いますよ。まあ、人は思い込みでも死ねますけど。」
普通に、短時間で殺すなら、心より体を狙うほうが良い。心が元気でも毒を盛れば体を殺すことは出来るのだから。
「phです。ピーエイチでもペーハーでも良いけど。」
ヤリッパはやはり怪訝な表情をしている。この世界で一般的に習う化学ではphを習わないのかもしれない。
「酸性とアルカリ性の話なんですよ。」
「それが今、何の関係があるんだ。」
「人間の血液にもphがあるってご存知ですか?」
尋ねればヤリッパは首を傾げた。分かっていないようだが、とりあえず動きが止まっているので良しとする。
「大体中性なんです。」
まあ酸性の血液とか、モンスターかよって感じだよな。
さて、ここで血液検査の基準値を見てみよう。赤血球数とか血糖値とか、色んな基準があるだろう。実は意外と範囲が広い。血球数と生化学検査基準値を比べるものでは無いのかもしれないけれど。ph的には血糖値と比べたほうがまだ近いだろうか?血球数は万とかいくし。いや、単位が違うから一概には言えないけどね?ただ、範囲が狭いものでも多くが1くらいの猶予があるわけだ。4.0~5.2とか、そんな感じで。
ところがphは動脈で7.37~7.43、静脈で7.32~7.38である。0.6とかそれくらいしか範囲が無いのだ。どうしてそんなに厳しく管理しているのか。まあ、はみ出すとやばいことになるからだ。
骨粗しょう症の原因の1つとして、カルシウムを摂っていないと骨を溶かしてカルシウムを血液中に送り出すのを知っているだろうか。体は骨より、血液が大切らしい。そうして血液の中のカルシウムには色んな役割があるけれど、その中の一つが酸塩基平衡を保つことである。
「呼吸を止めると苦しくなるじゃないですか?酸素が足りないから苦しいんだと思いましたか?違うんですよ。phが崩れるから、苦しいんです。」
まあ酸欠も苦しいんだろうけど。短時間で苦しくなる原因は大体酸素じゃなくて二酸化炭素のせいだ。
さっきカルシウムがどうとか言ったが、あれは別にメインじゃない。
メインで酸塩基平衡を保っているのは肺と腎臓です。呼吸とめたり、呼吸関係で起こる病状には呼吸性という言葉が付きます。過換気症候群で過呼吸になると呼吸性アルカローシスなります。
俺は飲み会の幹事を任されるたびに過呼吸を起こしかけてました!!ちなみに全然軽度のはずなのに本人としては死ぬかと思うくらい苦しいです。何の発作なのかと思うくらい。閑話休題。